2017/09/27

個人事業主の屋号というのは法人でいえば会社名・企業名に相当します。

しかし、すべての個人事業主が屋号を持っているわけではなく、フリーランスなどは個人名で仕事をしているケースもあります。

今回は屋号のメリット、屋号の付け方や変更方法など個人事業主と屋号に関する解説をしましょう。

個人事業主に屋号は必要か?

そもそも屋号は個人事業主にとって必要なものでしょうか?

店舗経営であれがネットショップであってもショップ名・サイト名が屋号となりますが、それ以外の業種でも屋号にはメリットがあるでしょうか?

その疑問にまず答えましょう。

屋号の意味

屋号はもともと江戸時代まで名字を名乗ることを許されなかった町民や商人が、他者と区別するように家に名称をつけたものです。

現在の屋号にも本来の意味が残っているので、ほかの個人事業主との区別をするというのが屋号の意味となります。

しかしそれだけでは個人名の他に屋号を付ける意味はありません。

個人事業主の屋号は、個人名だけではわからない事業内容をわかりやすくするという意味もあります。

また覚えてもらえるようにわかりやすい屋号をつけるという点では、会社名というよりキャッチフレーズというニュアンスも含まれると考えてもいいでしょう。

屋号の登録・変更

法人は会社名を商業登記する必要がありますが、個人事業主の屋号は登録する義務はありません。

法律による規制はないので自分で屋号を名乗ればそれでいいのです。

税務署に届ける「開業・廃業等届出書」に屋号を記載する欄がありますが、屋号を記載しなくても受付は受理されます。

また開業届を出した後に屋号を名乗ったとしても開業届けをやり直す必要もありません。

そもそも屋号は届け出の必要がないので屋号を変更しても変更届をする必要もないのです。

また複数の事業をしている場合は、複数の屋号を使うことも可能です。

屋号のつけ方

屋号をつける場合は事業内容がイメージしやすく覚えやすいとい事を意識する必要があります。

屋号を使用するケースとしては名刺への印刷もあるので、名刺の配る目的を考えればわかりやすく覚えやすいというのは大きなポイントとなります。

法規制がないので屋号は日本語だけでなくアルファベットや数字を使うこともできます。

法規制のある商業登記ですら会社名にアルファベット、アラビア数字、一部の符号を使うことができるので、個人事業主の屋号はそれ以上に自由につけることが可能です。

事業の対象が特定地域であれば地域名を含めることも、わかりやすさにつながるでしょう。

■屋号をつけるときの注意点

・商標登録されている言葉が含まれていないか
・すでに存在している屋号ではないか
・法人と誤解される名称ではないか

上記の点は最低でも確認しておきましょう。

商法登録されているかどうかは特許電子図書館で確認できます。

屋号がすでに存在しているかどうかは、Yahoo!やGoogleを検索して調べましょう。

「株式会社」や「有限会社」「会社」といった名称を屋号に含むことも禁止されています。

屋号はどんなところで使えるか?

屋号は取引先との契約書に記載するなど、法人名と同じように使うことができます。

具体的にどんなところで使えるのか、そのメリットをご紹介しましょう。

事業をアピールするために使う

事業を広く世間にアピールする目的で屋号を使うこともできます。

名刺、看板、広告に使うのが個人名だけでは世間にアピールするどころか、逆にあやしまれることになります。

事業内容がわかりやすい屋号にすることで、これらの宣伝効果が生まれるのです。

また、将来事業が拡大して人を雇う場合でも、求人広告は個人名よりも屋号付きのほうが応募が多くなるでしょう。

取引先との書類に使う

事業を展開していると取引先と請負契約書を交わすといったことが普通になります。

契約書や請求書に記載するのは個人名でも法律的効果はありますが、相手が法人で会社名を記載しているのに、取引相手として個人名で記載するというのは格下に見られるようで気分はよくありません。

取引相手とは対等でありたいと思うなら、契約書類には屋号を使いましょう。

実務的な理由ではありませんが、事業を続けていく上ではメンタルな面も大事にしましょう。

銀行口座の名義に使う

銀行イメージ

事業用の口座開設をするときに口座名義人に屋号を使うことができます。

個人事業主として事業をするのにビジネス用口座は絶対必要ではありませんが、個人消費と区別するために事業用口座を開設することはメリットがあります。

個人事業主は個人消費と軽人を区別する必要がありますが、口座を別にすることでその区分けが簡単にできます。

「営業性個人」という扱いになり、メガバンクではすでに個人口座を持っていると開設できないという銀行もあるので、比較的開設しやすいネットバンクをおすすめします。

ただし、基本的に屋号だけの口座は作ることはできません。

確定申告書に使う

確定申告書イメージ

青色申告や白色申告の確定申告書には屋号を記載する欄がありますが、これは必須ではありません。

税務署にとって重要なのは個人名であって屋号ではないので記載する必要がなく、屋号があれば記載しておけばいいという程度のものです。

屋号を確定申告書に記載していないのに領収書に屋号が記載されていても、領収書に個人名があれば問題はありません。

屋号を使うなら屋号印も作ろう

個人事業主も用途に応じた印鑑が必要になります。

事業用口座を作るときには銀行印、契約には実印(丸印)、角印、屋号名と個人名があるスタンプなどもあると便利です。

角印は事業主が発行したことを証明する意味で使われていて、請求書や見積書などに使います。

ひとつに印鑑ですべての用途に使うこともできますが、印鑑登録した実印をすべてに利用するのは紛失したときにリスクが大きいのでなるべく用途別に作っておきましょう。

個人の認印ひとつをあらゆるビジネスシーンで使用するのは、信頼性という意味でもマイナスになります。

将来法人化を考えるなら商号登記

個人事業主は商業登記をすることはできませんが、屋号を「商号登記」して保全することができます。

商号登記はどのようなものか、必要となるのはどんな場合か解説しましょう。

商号登記をする意味

個人事業を法人化する場合それまで使用していた屋号をそのまま法人名にすることができれば、法人化もスムーズになります。

しかし、法人化するときにその屋号が法人登記に使えるかどうかはわかりません。

そのため事前に同業他社ですでに登記していないか、商標登録をしていないかということを調べてから商号登記をしましょう。

登記をして権利を保全しておけば、個人事業から法人化までの間に先に登録することも防ぐことができます。

商号登記手続きに必要なもの

商号登記は法務局に申請するので申請にかかる費用の他にも必要なものがあります。

■商号登録に必要なもの

・登記料3万円
・実印・印鑑証明書(個人)
・商号登記申請書
・屋号印、商号印(なくてもよい)

登録は個人の実印でできますが、商号・屋号の印鑑作成をして印鑑登録をしておくと、契約書に捺印をする場合も個人の認印よりはビジネス上信頼性が増します。

商号登記申請書は法務局には備え付けていないので、自分で作成する必要があります。

事前に法務局に確認してから作成しましょう。

商号登録と商標登録の違い

商号登録は法務局に、商標登録は特許庁に申請するという違いがありますが、それ以外にも違いがあります。

商号は同一住所に同一の商号を登録することは禁じられていますが、「類似商号規制」が撤廃となってからは同一市町村でも類似した商号を登録することができます。

これに対して商標登録した名称は全国どこでもその効力が及ぶので、より強力な保護を受けることができます。

事業が全国展開するほど拡大したときには商標登録することを考えましょう。

まとめ

個人事業主であっても事業が拡大するほど屋号の必要性が高くなります。

しかし、事業が拡大してから急に屋号を使用するよりは、起業の時から屋号を使うほうが、最初からビジネスアピールができます。

販売業であれば屋号をつけるのが普通ですが、フリーランスでは個人名をアピールした方がいい場合もあるので、事業内容によって屋号を使うかどうか判断しましょう。

将来法人化することを目標として個人事業をしているのであれば、屋号をつける段階から法人名を意識して他社の商標と同じにならないよう慎重に決めましょう。

上手に屋号をつけることで事業の成功に結びつく可能性もあるので、事業内容に合わせてふさわしい屋号を考えましょう。

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