2020/01/10

事業を始める上で個人事業主は事業用口座が必ず必要というわけではありません。

小規模事業であれば個人口座を利用しても何ら問題はありませんが、それでは個人事業主にとって事業用口座はまったく不要でしょうか?

今回は個人事業主と口座開設の必要性や、屋号がある場合の口座開設や必要書類に関することまで徹底的に解説し、口座開設に関する不安を解消します。

事業用口座開設のメリット

まずは事業用口座を開設することは個人事業主にとってどんな意味やメリットがあるのかを解説しましょう。

法人と個人事業主の違い

もし株式会社といった法人が代表者の個人口座を使って取引をしようとすれば、取引先は個人口座への振込を拒否し、その法人との取引そのものを取りやめるかもしれません。

法人は「法人格」と呼ばれていて法律上は「人」と同じ扱いになります。

つまり法律的は法人と代表者個人はまったく別人格として扱っています。

そうでなければ法人の連帯保証人に代表者個人が付くということは、債務者と同一人物が連帯保証になるということになり意味がありません。

つまり法人としての行動はすべて事業に直結しています。

しかし、個人事業主の場合は法人格を持たないので、個人が行なうことは事業用と個人利用が混在することになり、区別する必要が生じるのです。

経費と個人消費の区別

個人事業主は確定申告を行なうために経費と個人消費の区別をする必要があります。

白色申告でも青色申告でも確定申告書に記載する経費は、事業のために支出した内容を記載します。

事業経費は課税の対象外となるので、これに個人消費を含めることは税務署が悪質と判断すると脱税行為となってしまいます。

しかし、確定申告書作成をするときにいちいち仕分けしてするのは時間がかかります。

そこで個人口座とは別に事業用口座を開設して、普段から売り上げや経費の支出を事業用口座経由で処理していれば、仕分けにかかる時間を短縮できます。

これが個人事業主の事業用口座を作るメリットのひとつです。

事業への信頼度アップ

個人事業主は個人口座でも充分に取引ができますが、事業専用口座を利用すれば事業に対する信用度が高まるという効果が期待できます。

特に口座名義人を屋号付きにすることで、片手間でやっている仕事ではないということがアピールできます。

もし自分の取引先の口座が個人名義であった場合と、屋号付きの名義であった場合を想像してみると、後者のほうが信頼度は高まることがわかるでしょう。

取引先への信頼度は取引を重ねることで高まるものですが、初めての取引であれば第一印象が大切です。

屋号付きの事業用口座はその第一印象を良くする効果があります。

具体的な事業用口座開設と必要書類

事業用口座をまったくの個人名で作る場合は、単に経費と個人消費の区別をつけるための口座であって対外的な意味はありません。

その場合は個人口座の開設と同じですが、屋号付きの口座を開設する場合は特殊な必要書類と審査が必要となります。

メガバンク(都市銀行)は屋号付き口座の開設は難しい

メガバンクは屋号付きの口座は詐欺などに悪用される可能性があるので、簡単に作ることはできません。

またネットでの申込もできず店頭申込が原則です。

通常口座を開設するために必要な本人確認書類(運転免許証など)の他に開業届出書の写しや、屋号付きで営業していることを証明できる屋号確認資料(公共料金請求書、納税証明書、確定申告書など)が必要です。

また、みずほ銀行では個人口座をすでに持っている場合は、事業用口座も「営業性個人口座」とみなしているので新規に開設することができません。

全般的にメガバンクでは屋号付き口座の開設は、受付はしてもらえますが提出書類も多く開設までに時間がかかります。

またメガバンクに限らず屋号のみの口座名義人では、ゆうちょ銀行以外は開設できません。

ゆうちょ銀行は屋号名義だけの口座ができる

屋号だけの名義人で口座を作るということは匿名で口座を開設することになるので、銀行では作ることができませんが、ゆうちょ銀行では例外的に作ることができます。

一般的な総合口座ではなく「振替口座」という種類の口座で、送金や決済に利用する口座です。

そのため総合口座と比較して次のような違いがあります。

・入出金は開設した支店の窓口のみ
・利息がつかない
・通帳がない
・預入上限はない

本来はサークルや同好会などで利用されている口座ですが、個人で利用することもでき開業届の写しと、印鑑(個人印でも可)、本人確認書類で開設できます。

通常の事業を行っている場合は匿名の口座を作る必要はありませんが、ネットを利用して匿名で事業をしている場合には便利です。

ネットバンクは比較的口座開設が簡単

楽天銀行やジャパンネット銀行は屋号付きの口座開設は比較的簡単にできます。

楽天銀行

楽天銀行では個人口座を持っていれば個人ビジネス口座を開設することができます。

すでに口座を持っているので本人確認書類は必要なく、ネットで申込をすると開業届を送付する返信用封筒が郵送されてきます。

開業届出書のコピーを送付すれば手続が完了します。

個人口座を持っていない場合は先に口座を開設してから申し込みましょう。

ジャパンネット銀行

ジャパンネット銀行LP

ジャパンネット銀行でビジネスアカウント(営業性個人)の口座を開設するためのには、通常の口座開設に必要な本人確認書類の他に、営業内容の確認が必要になります。

・開業6ヶ月以上の場合(ホームページやサイトのURL)
・開業6ヶ月未満の場合(ホームページURLと確認書類A)
・ホームページを持たない場合(確認書類AとB)
・A.会社実態の確認資料(いずれか1点)
個人事業開業届出書(控)
青色申告承認申請書(控)
確定申告書(控)
国税または地方税の領収書または納税証明書(発行日または領収日より半年以内)
主たる事務所の建物登記簿謄本(原本)
主たる事務所の建物賃貸借契約書(控)
・B.事業内容の確認書類(いずれか1点)
各行政機関発行の許認可証
会社案内、パンフレット、チラシなど

楽天銀行はどの業種でも開業届出書さえあれば開設でき、ジャパンネット銀行もネットショップなどネットビジネスを6ヶ月以上運営している人は簡単に口座開設が可能です。

印鑑は事業用の印鑑を作ろう

屋号付きの口座を開設するのであれば、事業用の銀行印を作っておくと便利です。

個人事業主でも用途に合わせた印鑑があれば信頼性も増し、個人と別にすることで盗難・紛失の場合のリスク回避にもなります。

個人事業主に必要な印鑑

実印
(丸印)
印鑑証明書用の印鑑。契約書などに使用する。
法人以外は実印をひとつしか登録できないので、プライベート用と兼用になります。
認印
(角印)
見積書など事業として発行する書類に使用
銀行印 銀行の預金引き出しに使用する

ひとつの印鑑で十分対応できますが、その場合印鑑を紛失するとすべての事業行為に影響が出るので、なるべく用途別に作成することをおすすめします。

WEBで作成依頼もできますので、口座用を作成するのと合わせて、用意しておきましょう。

個人事業主と屋号

最後に個人事業主にとっての屋号の意味を考えてみましょう。

屋号はなくても恥ではないが役に立つ

個人事業主にとっての屋号は事業が大きくなってからで十分と考えている人もいるかもしれませんが、事業が拡大する前に屋号をつけるほうが有利です。

最初から屋号を付けておけば将来事業が拡大して法人化する場合でも、屋号をそのまま法人名にするとスムーズに法人化できます。

事業用口座も屋号付きで作っておけば、銀行に対しての信用力もあるので法人口座を作るときも簡単です。

また、サラリーマンの副業として事業をしている場合も、屋号があったほうが便利なこともあります。

屋号名で匿名性を高める

サラリーマンの副業の場合、会社に副業が発覚するとトラブルに成ることがあるので、屋号で取引をしていることで発覚のリスクが減少します。

ゆうちょ銀行の振替口座を利用することで屋号だけの口座を作ることができるので、匿名のまま金銭の授受をすることができます。

屋号があることで匿名性を高めることができるので、あまり実名を表に出したくない場合には便利です。

まとめ

法人に限らず個人事業主にとっても事業用口座は重要です。

実務としては個人口座で十分役割を果たすことができますが、取引先や金融機関からの融資などいろいろな面で、個人口座よりは屋号のある口座のほうが信用度は高くなります。

小規模な事業、サラリーマンの副業であっても、事業用の口座があることで事業の運営もスムーズになるので、ぜひビジネス専用口座を作りましょう。

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