2019/07/29

個人事業主が取引をする場合の銀行口座は、事業用でなく個人口座を利用しても問題はありません。

しかし、事業専用口座を開設して取引をしているのが一般的となっています。

では、個人事業主がわざわざ事業用口座を開設する意味はどこにあるのでしょうか?

今回は個人事業主が事業用口座を開設する意味や、おすすめの銀行口座をご紹介します。

個人消費と事業経費を仕分ける

フリーランスや自営業者といった個人事業主は、個人消費と事業経費の管理が難しくなります。

実際、個人で事業をしている場合は、多少混同しても最終的にきちんと区分けされれば問題はありません。

しかし、ふだんから区別をしておくことで確定申告書の記載にかかる時間を短縮できます。

事業用口座の開設

個人消費と事業経費を区別するためには、お金の流れを分けるのが効率的です。

そこで、事業用のみに利用する口座を開設することで、ふだんからビジネスのお金の流れを一本化することができます。

また、事業用口座の名義は個人名だけでなく屋号付きにすると便利です。

事業用口座では「○○商店+個人名義」「☓☓屋+個人名義」といった屋号付きの口座名義が開設できる場合があります。

個人事業主が屋号付きの口座を開設するのには2つのメリットがあります。

・屋号から事業内容を取引相手に伝えることができる
・屋号があることで取引先から信用を得られる

どちらも抽象的で些細なメリットのように見えるかもしれませんが、事業を運営していく上で、信頼を書く行為はご法度。

「会社に振り込むつもりでいたのに、いざ振込先を確認すると個人名義の口座だった…」と先方に思われてしまうのはもったいない話ですし、機会損失につながりかねません。

屋号付き口座のデメリットとしては、多くの必要書類を提出しなければならないことと、審査があることが挙げられますが、これらを乗り越えて開設した口座を持っているという事実が、取引先からの信頼度アップに寄与します。

法人カードの活用

生活費と事業経費を簡単に区別する方法として、法人カードの利用があります。

法人カードはビジネスカードとも呼ばれ、個人事業主でも作ることができます。

事業経費を法人カードで決済し、個人消費は個人カードで決済するということをふだんから徹底すれば、確定申告の期日が迫ってもあわてることがなくなります。

しかし、公共料金などを家事按分している場合は、法人カードを利用しただけでは区分けができません。

また法人カードと個人カードの引き落としが同じ個人口座だと区別がつきにくくなります。

法人カードの引き落とし口座は事業用口座にして、個人カードは個人口座にすることでお金の流れをきちんと分けることができます。

またクレジットカードを利用せず口座振替で支払う場合も、口座を分けることで区別がつきやすくなります。

会計ソフトの活用

公共料金の家事按分については、法人カードや事業用口座の利用をしてもきちんと振り分けることはできません。

毎月きちんとその都度、振り分ければすむことですが、個人事業主は経理担当者を雇う余裕がなければ、自分で経理もしなければいけません。

そんな場合は会計ソフトを活用しましょう。

家事按分をあらかじめ設定しておくことで、そのつど計算する必要がなくなります。

また、事業用口座の取引を自動的にデータとして取り込むことができるので、個人利用との区別が簡単にできます。

会計ソフトを利用することで事業用口座の効果を高めることができるのです。

事業用口座の作り方

事業口座の作り方を解説します。

印鑑・スタンプの作成

銀行口座を作るには銀行届出印が必要となります。

個人事業主の事業用口座の届出印は個人印となりますが、個人通帳で使用している印鑑とは別に作成しましょう。

法人であれば代表者印・銀行印・領収書用の角印等、数種類作るのが一般的です。

個人事業主の場合はそれほど細かく分ける必要はないでしょう。

ビジネス用の印鑑は必需品

また、口座用だけでなく取引先との契約などにも印鑑は必要です。

ビジネス用にある程度大きめの印鑑を準備しておくことをおすすめします。

さらに「屋号名+個人名」のスタンプも準備しておくと、手書きよりも取引先への印象が良くなります。

WEBで作成依頼もできますので、口座用を作成するのと合わせて、用意しておきましょう。

銀行の選び方

銀行イメージ

同じ銀行でも都市銀行、地方銀行、信用金庫やネット銀行まで幅広くあります。

取引先に対しては都市銀行に口座を開設できれば印象が良くなりますが、最近は個人口座の開設も難しくなっています。

犯罪による資金洗浄を防止するため個人口座の開設でも身分証明書が必要となっています。

特に事業用口座の場合は犯罪に利用される可能性が高いので、開設そのものが難しいのが現状です。

屋号付き口座の場合、実際に事業をしているかどうかの事実を証明する書類が必要となります。

開業したてでメガバンクは難しい

特に開業したばかりで事業用口座を作るのはメガバンクでは難しいでしょう。

それに対して、地元に密着した信用金庫等の中小バンクやインターネットバンクでは、比較的に簡単に事業用口座を作ることができます。

まずは比較的簡単に口座開設ができる金融機関の口座を作ってから、業歴を積み重ねてメガバンクの口座開設をしましょう。

銀行口座の種類

事業用の口座には法人口座がありますが、個人事業主は開設することができません。

また、当座預金口座は法人でも取引が長くなければ開設が難しい口座です。

個人事業主が開設できるのは個人用のビジネス口座となります。

銀行によっては一般的な個人口座扱いとなる場合と、個人口座とは別扱いの事業用口座となる場合があります。

いずれの場合も個人口座に準じているので、屋号名だけの口座名義にすることはできません。

口座を作る前に銀行によく確認しておきましょう。

個人事業主におすすめの銀行口座

それでは個人事業主が口座を開設しやすい銀行をご紹介します。

おすすめするのは以下の4行のネット銀行です。

 銀行名 屋号付き 固定電話 振込手数料無料 個人口座
ジャパンネット銀行 開設可能 必要なし 無料期間なし 必要なし
GMOあおぞらネット銀行 開設可能 必要なし 無料期間なし 必要
住信SBI銀行 開設不可 必要 ランクによる 必要なし
楽天銀行 開設不可 必要 ランクによる 必要

ひとつずつ詳しく説明していきます。

ジャパンネット銀行

ジャパンネット銀行LP

ジャパンネット銀行の事業用口座は「ビジネスアカウント」と呼ばれています。

口座開設に必要な必要書類は次のとおりです。

▼本人確認資料(いずれか1点)

・運転免許証のコピー
・個人番号(マイナンバー)カードのコピー
・パスポートのコピー
・各種健康保険証のコピー
・住民票の写し(6ヶ月以内の原本)
・印鑑証明書(6ヶ月以内の原本)
・住民基本台帳カードのコピー

▼業務内容が確認できる資料

A.会社実態の確認資料(下記からいずれか1点)
・個人事業開業届出書(控)
・青色申告承認申請書(控)
・確定申告書(控)
・国税または地方税の領収書または納税証明書(発行日または領収日より半年以内)
・主たる事務所の建物登記簿謄本(現在事項証明書・原本)
・主たる事務所の建物賃貸借契約書(控)
B.事業内容の確認資料(下記からいずれか1点)
・会社案内、パンフレット、チラシなど
・各行政機関発行の許認可証
法人用会社概要フォーマット(上記2点がない場合)

ジャパンネット銀行では、申込法人、申込者の業務内容をホームページで確認しています。

ホームページは、例えばネットショップを運営していなくても、会社のPR用のホームページでも構いません。

業務内容が確認できるホームページを持っていない場合は、AとBの書類をどちらも提出する必要があります。

ホームページを持っていて開業6ヶ月以内の場合はAの書類のみ、6ヶ月以上経過している場合はURLに届け出するだけで書類は不要です。

またジャパンネット銀行には振込手数料が安いというメリットもあります。

ただし、無料で利用できる期間は設けられておりません。

振込額 ジャパンネット銀行 他行
3万円未満 54円 172円
3万円以上 54円 270円

ジャパンネット銀行は個人事業主にとっては口座開設もしやすく、振込手数料も安いので経費節約の面でもメリットがあります。

ジャパンネット銀行の口座があるとビジネスローンも利用できる

ジャパンネット銀行は、法人・個人事業主むけのビジネスローンの提供も行っています。

ジャパンネット銀行ビジネスローンのLP
このジャパンネット銀行ビジネスローンは、個人事業主が申し込んだ場合、最短で審査通過の翌営業日から利用できる優れもの。
審査のために必要な書類もないのが嬉しいポイントです。※利用限度額が300万円超の場合、契約までに所得証明資料(納税証明書その2、住民税決定通知書、所得証明書、確定申告書等のいずれか)の提出が必要

ジャパンネット銀行ビジネスローンを利用するためには、ジャパンネット銀行の法人口座(個人事業主向け口座)を開設する必要があります。
ジャパンネット銀行ビジネスローンに申込んでから口座を開設することも可能なので、資金調達先を確保しておきたいかたには、まさに一石二鳥と言えるでしょう。

GMOあおぞらネット銀行

GMOあおぞらネット銀行は、大手普通銀行のあおぞら銀行と大手IT企業GMOインターネットが、共同で設立したネット銀行です。

還元率の高いVISAカードや振込サービス、万全のセキュリティ対策が揃っています。

どのサービスも無料で利用することができるので、初めて事業用の口座を作る法人や個人事業主にはぴったりの口座と言えます。

個人事業主が事業用口座を作るために必要な書類は2点です。

・開業届、青色申告承認申請書、確定申告書、納税証明書いずれか1点
・事業内容がわかるホームページのURLまたは会社パンフレット、チラシなど

さらに、法人が口座を開設ための必要書類は、郵送で送らなければならないのに対し、個人事業主の必要書類はカメラで撮影してアップロードするだけとかなりお手軽です。

ただし、GMOあおぞらネット銀行で、個人事業主が事業用の口座を開設するには、まず個人用の口座を開設しておく必要があります。

個人用の口座は本人確認書類のみで申込できるので、まだGMOあおぞらネット銀行の個人口座を持っていないのなら、まずはそちらから申し込んでください。

個人口座を開設後、お客様情報の設定から、改めて個人事業主口座を申し込むことになります。

住信SBIネット銀行

住信SBIネット銀行LP

住信SBIネット銀行では残念ながら屋号付きの事業用口座を開設することはできません。

事業用として利用する場合でも個人名が口座名義人となります。

しかし、住信SBIネット銀行には「スマートプログラム」があり、取引内容によってランクが決定され特典が与えられます。

ランク2・3

・月末総預金残高30万円以上(ランク3は300万円以上)
・月末総預金残高1,000円以上+住宅ローン残高あり
・月末総預金残高1,000円以上+以下から2つ以上のサービス利用(ランク3は3つ以上)
 外貨預金月末残高あり
 SBIハイブリッド預金月末残高あり
 月内の給与・賞与・年金の受取
 Big・toto購入、公営競技利用2万円以上
 カードローン月末残高あり(50万円以上は2カウント)
 VISAデビットカード月末残高1万円以上(2万円以上は2カウント)
 クレジットカード(ミライノカード一般)確定金額1万円以上(2万円以上は2カウント)

ランク4

・月末総預金残高500万円以上
・月末総預金残高300万円以上+住宅ローン残高あり

上記のいずれも該当しない場合はランク1と判定されますが、それでもATMの出金手数料は月2回無料、他行への振込手数料も月1回無料です。

なお入金手数料はいつでも無料です。

ATMの引き出し手数料は有料の場合でも1回108円と、他校に比べると安い手数料です。

ランク別手数料無料回数

▼ATM引き出し手数料
ランク2・・・5回
ランク3・・・7回
ランク4・・・15回

▼他行への振込手数料
ランク2・・・3回
ランク3・・・7回
ランク4・・・15回

個人利用でランク3や4の条件を達成するのは難しいですが、個人事業主として事業用で利用すれば高いランク達成の可能性があります。

住信SBIネット銀行は屋号付き口座の開設できませんが、個人として利用し経費を節約できる銀行です。

楽天銀行

楽天銀行

楽天銀行は屋号付きの事業用口座を開設するのが最も簡単な銀行です。

楽天銀行では個人口座の他に事業用口座を持つことができ、別のアカウントとして区別されます。

ただし、個人ビジネス口座は個人口座を持っていることが条件なので、持っていない場合は先に申込む必要があります。

必要書類もシンプルで本人確認書類以外は、開業届出書の写し(税務署の受付印要)を提出するだけで開設することができます。

また楽天スーパーポイントと連動することで、ポイントを振込手数料に使用することも可能です。

住信SBIネット銀行と同じようにランクによって各種手数料が無料になるので、屋号付き口座と経費節約が同時にできます。

まとめ

個人事業主が事業用口座を持ったほうがいい理由はおわかりいただけたでしょうか?

仕事用と個人用の口座を区別することで、取引先に対する信用や確定申告書の作成にもメリットがあります。

またビジネス口座を持っていない個人事業主は、自分の事業にあっている銀行選びをして、事業用口座を開設しましょう。

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