「もっと事業を拡大したい」
「法人化にむけて資金調達がしたい」
もしみなさんがこんな風に、個人事業主としてステップアップを目指しているのなら、助成金や補助金を利用しない手はありません。
助成金・補助金は、給付されたお金を返済する必要がなく、純粋に手持ちの資金を増やすことができる資金調達方法です。
助成金・補助金という名前が表しているとおり、あくまでもビジネスを助けるためのお金を給付してもらえるだけではありますが、それでも返済不要の資金が手に入るのは魅力的ですよね。
ただ、助成金・補助金という存在は知っていても、
「法人化していない個人事業主の自分では助成金や補助金を活用することはできないんだろうな…」
と調べる前からあきらめてしまっている方もいるのではないかと思います。
大丈夫です。
個人事業主の方が活用できる助成金も補助金もちゃんとありますよ。
この記事では、助成金や補助金を活用してビジネスに勝ちたい個人事業主の方にむけて、個人事業主が活用すべき助成金・補助金を消化します。
ただ紹介するだけではなく、個人事業主が活用できる助成金・補助金を給付されるためのポイントや申請するときの注意点も解説するので、最後まで読み逃さないようにしてくださいね。
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クレジットカード会社に26年の勤務歴あり。
カード会社勤務時代は督促業務、カード審査も経験しました。
クレジットカード会社に勤務していた経験を活かして、
公式サイトでは語られない審査の裏側などをお伝えしていきます!
助成金・補助金とは
個人事業主でも事業をしているからには、事業にかかる資金を調達する必要がありますね。
しかし、法人化していないと銀行などの金融機関からの借入は難しいのが現状です。
そこで助成金・補助金による資金調達をおすすめしたいのですが、助成金・補助金を明確に理解している人はそれほど多くないかもしれません。
まずは“助成金・補助金とはなにか”という点から解説します。
資金調達方法としての助成金・補助金
助成金・補助金も国や地方自治体が主に中小企業者に対して支援する資金のことです。
援助金という形なので融資のように利息も元金返済もありません。
つまり条件を満たしていれば、お金をもらうことができるのが助成金・補助金です。
この意味では助成金と補助金に違いはありませんね。
助成金・補助金の対象となるのは、主に中小企業法で定義されている中小企業者となります。
中小企業者は法人だけでなく個人事業主も含まれるので、安心して申請することができますよ。
対象にならないのは資本金が大きかったり、従業員が多かったりするいわゆる大企業です。
規模が小さい事業者ほど助成金・補助金の対象になるのです。
つまり個人事業主にとっては助成金・補助金は返済も不要で対象となる制度も多い、願ってもない資金調達方法と言えますね。
助成金と補助金の違い
基本的に助成金・補助金に違いがないとお伝えしましたが、まったく同じというわけでもありません。
助成金・補助金には以下のような違いがあります。
給付 | 助成金 | 条件を満たすだけで給付される。 |
---|---|---|
補助金 | 審査があり必ず給付されるわけではない。 | |
管轄 | 助成金 | 厚生労働省の管轄が多い。 |
補助金 | 経済産業省(中小企業庁)や地方自治体の管轄が多い。 | |
申請 | 助成金 | ほぼ1年中申請が可能。 |
補助金 | 年1~2回と回数も少なく、募集期間も短い。 |
上記の違いを見ると補助金は審査があり給付されにくく、募集回数や期間も短いというデメリットが目立ちますね。
しかし、助成金は使い道が限定されることがほとんどです。
それに対して補助金は、たとえば開業資金の補助金であれば設備資金でも運転資金でも自由に使え、補助金の審査に通ったならば会社に信用が得られるというメリットがあります。
まとめると、助成金はもらいやすいけれども使い道が限定される。補助金は反対に自由に使えるけれども審査があるので給付そのものが難しいと言ったところでしょうか。
助成金と補助金はどちらかひとつを選択しなくてはいけないわけではないので、自分の事業に必要なものを選択しましょう。
個人事業主が活用すべき助成金7選
それでは個人事業主でも資金調達に利用できる助成金を以下の7つ紹介します。
簡単な説明もしているので、まずは資金使途によって自分にあった助成金を選んでみましょう。
キャリアアップ助成金(以下表示がないものはすべて厚生労働省管轄)
従業員として非正規雇用をメインとしている個人事業主で、従業員のキャリアアップや労働環境改善に取り組みたい場合はキャリアアップ助成金がおすすめです。
キャリアアップ助成金には以下のコースがあるので幅広い取り組みも可能ですね。
- 正社員化コース
- 賃金規定等改定コース
- 健康診断制度コース
- 賃金規定等共通化コース
- 諸手当制度共通化コース
- 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
- 短時間労働者労働時間延長コース
人材開発支援助成金
以前は「キャリア形成促進助成金」と呼ばれていた助成金。
従業員の知識や技能の取得など人材育成に取り組む事業主におすすめです。
雇用者がいない個人事業主本人も利用可能ですよ。
- 特定訓練コース
- 一般訓練コース
- 教育訓練休暇付与コース
- 特別育成訓練コース
- 建設労働者認定訓練コース
- 建設労働者技能実習コース
- 障害者職業能力開発コース
トライアル雇用助成金
安定的な就職が困難な求職者について、ハローワークや職業紹介事業者等の紹介により、一定期間試行雇用した場合に助成します。
対象となる該当者は下記のとおりです。
- 生活保護受給者
- 母子家庭の母等
- 父子家庭の父
- 日雇労働者
- 季節労働者
- 中国残留邦人等永住帰国者
- ホームレス
- 住居喪失不安定就労者
- 生活困窮者
特定求職者開発助成金
高年齢者や障害者等の就職困難者をハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として雇い入れる事業主に対して助成します。
地域雇用開発助成金
雇用機会が特に不足している地域の事業主が事業所の設置・整備を行うと同時に、その地域に居住する従業員を雇い入れる場合に助成します。
中小企業退職金共済制度に係る新規加入助成および掛金月額変更掛金助成
中小企業退職金共済制度(中退共制度)に新規加入する事業主に対して、月額掛金の半額を最長1年助成します。
掛金の増額をする場合にも助成があります。
地域企業応援ファンド(スタート・アップ型)
独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)は、今回ご紹介する助成金の中で唯一経済産業省管轄です。
地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ型)」は、中小機構と各都道府県の公共団体・金融機関等が共同出資し組成される地域独自の官民ファンドです。
地域貢献性が高い新事業に取り組む中小企業者等は、ファンド運営会社(各都道府県の中小企業支援機関等)に対象事業が採択された後、そのファンド運用益から資金の助成を受けることができます。
個人事業主が活用すべき補助金5選
助成金の次は個人事業主が利用できる補助金の紹介です。
数ある補助金の種類のなかから以下5つをご紹介します。
創業・事業承継補助金(中小企業庁)
個人事業主として開業するときに必要な資金を調達することができます。
補助率は1/2までで50万円から200万円が限度となるので個人事業主向けと言えます。
ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業(ものづくり補助金)
生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための中小企業・小規模事業者の設備投資等の一部を支援。
中小企業庁の管轄で全国の都道府県中小企業団体中央会が窓口です。
中小企業ホームページ作成補助金(東京都など)
ネットの時代となっている現在ではホームページを公開するのはもはや当たり前となっています。
個人事業主がビジネス口座を開設するときに、事業実態を証明するのにホームページアドレスを求めるネット銀行もあるくらいです。
ホームページ開設の知識が全くない場合は業者に依頼することになります。でもその費用も馬鹿になりませんね。
東京都をはじめとして各地方自治体にはホームページの開設支援をする助成金があるので、一度自分の自治体で調べておきましょう。
中小企業・小規模事業者海外展開戦略支援事業(中小企業庁)
個人事業主だけれども海外を目指すという方はこちらを利用しましょう。
補助金の支援だけでなく海外の法規制や輸出手続きに関する助言も得られるメリットがあります。
また、WEBサイトの外国語化だけでも「WEB支援」として対象になります。
小規模事業者持続化補助金(日本商工会議所)
持続的な経営にむけた経営計画に基づく、小規模事業者の地道な販路開拓等の取り組みや、あわせて行う業務効率化(生産性向上)の取り組みを支援。
補助率1/3で上限50万円です。
補助金に関しては募集期間が限られているので、申請する前に最新情報を調べておきましょう。
助成金や補助金を給付されるためのポイント
助成金・補助金を今まで申請したことがないという個人事業主の方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで助成金・補助金をスムーズに給付されるためのコツやポイントを簡単にご紹介します。
助成金・補助金をスムーズに給付されるためのコツとポイントは以下の4つです。
- 情報取集をして適切な助成金・補助金を選ぶ
- 客観的で具体的な事業計画
- 助成金・補助金の趣旨を理解する
- 何度も挑戦する
ではひとつずつ解説します。
情報取集をして適切な助成金・補助金を選ぶ
最も大切なことは助成金・補助金に関する情報を収集して、自分の事業にあったものを選ぶということです。
助成金・補助金は国や地方自治体が政策として行っているものです。
たとえば雇用を増やすことを目的として行っている助成金であれば、従業員を必要としない事業者には不向きです。
しかし事業が順調で人を増やしたいと考えているのであれば、その助成金はまさにぴったりということになりますよね。
助成金・補助金をスムーズに受けたいのであれば、まずはこうした適切なマッチングを心がけましょう。
そのためにはネットなどを利用して情報収集することが重要です。
客観的で具体的な事業計画
助成金・補助金を受けるためには事業計画書の提出が必要です。
しかし形式的で特徴がない事業計画書では、給付が難しくなります。
特に審査がある補助金を受けるのは難しいでしょう。
給付を受けたい補助金の情報収集をして、その趣旨をよく理解したら、趣旨に沿って具体的な事業計画書を作成します。
はじめて事業計画書を作成するのであれば、すでに補助金を受けたことがある知人や税理士に確認することも大切です。
地元の商工組合や青年会議所などに所属していれば、そうした経験者は必ずいるはずです。
もちろんネットで情報を収集するのも有効です。
考えられるツテをフル活用して客観的で具体的な計画書を仕上げましょう。
助成金・補助金の趣旨を理解する
助成金・補助金を受けるために面談やプレゼンテーションが必要な場合があります。
こうしたプレゼンは最終段階で行われるので、これを乗り切れば給付まではあと少しという状況になります。
プレゼンで重要なのは自分が考えている事業内容が成功すれば、助成金・補助金が目的としていることが確実に実現できるという説明です。
前述のように助成金・補助金にはそれぞれ政策的な目的があります。
この目的や趣旨を十分に理解して自分の事業にいかに絡めていくか、それがうまくできればプレゼンは成功するでしょう。
何度も挑戦する
助成金・補助金の中でも特に補助金は競争率が高く、給付される可能性は低いものがほとんどです。
しかし1回申請して失敗したからと言ってあきらめる必要はありません。
むしろ1回失敗したことで成功に一歩近づいたと考えましょう。
助成金・補助金の申請は成功するまで何度でも続けることができます。
失敗したらその理由を分析して次の成功に結びつくように何度でも挑戦しましょう。
ここまで助成金や補助金を給付されるためのポイントを説明してきましたが、また解説していない重要なポイントがあります。
それは申請に関する重要なポイントなので次で個別に解説します。
【万全を期すために】助成金・補助金を申請するときの注意点
助成金・補助金、ともに申請する場合には必要書類を準備しなくてはいけません。
一般的な必要書類は以下のとおりです。
- 応募申請書
- 事業計画書
- 経費明細書
- 事業要請書
上記は申請するときの書類です。
それ以降も採択、交付、実施、報告、確定、交付とそれぞれのタイミングその都度書類を提出します。
これを間違えたり、提出し忘れたりしただけで、給付に影響が出ます。
特に個人事業主という立場では、申請に関する書類を準備して正確に記載するだけでも大変な時間がかかることでしょう。
そこで助成金・補助金の申請を確実に行うためにも専門家への依頼をおすすめします。
もちろん報酬が発生するので心理的な抵抗があるかもしれませんが、申請段階でつまずいてしまっては元も子もありませんね。
申請に時間を掛ける余裕がないという人は、専門家に相談してみましょう。
助成金の場合は社会保険労務士、行政書士。補助金の場合は中小企業診断士や専門のコンサルティング会社がおすすめです。
開業時に役立つ資金調達方法
助成金・補助金は個人事業主の資金調達方法としては返済の必要がないという点で大きなメリットがあります。
しかし、事業にあっている助成金がない、補助金の審査に落ちたといった理由ですぐに活用できないケースもあります。
特に開業資金が必要な場合は、次の申請まで1年待つというわけにもいきませんね。
まして補助金は翌年必ず給付されるわけでもありません。
そこで助成金・補助金以外に個人事業主が利用できる開業資金の調達方法をまとめてみました。
それぞれメリット・デメリットがあるので自分に合っている調達方法を探してみましょう。
日本政策金融公庫
事業資金の調達方法としては銀行融資が最も一般的です。
しかし個人事業主、特に実績がまだなにもない段階での開業資金の借入先として、銀行は適切ではありません。
なぜかというと銀行などの金融機関は長い取引がないと、簡単に融資を認めてくれないからです。
特に都市銀行や地方銀行から、個人事業主が開業資金として借り入れることはほぼ不可能でしょう。
その点国が政策として中小企業者に貸付すること目的に設立した「日本政策金融公庫」は、個人事業主でも開業資金の調達が可能です。
しかも、銀行よりも低金利で自己資金が1割以上あれば、残りはほぼ借入可能となります。
ただし、申し込みから融資実行まで3週間はかかるので余裕を持って申し込みしましょう。
日本政策金融公庫のメリットとデメリットまとめ
メリット | 個人事業主でも開業資金の調達が可能 |
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デメリット | 申し込みから融資実行まで3週間はかかる |
信用金庫・信用組合
都市銀行や地方銀行では難しい個人事業主への融資も、信用金庫や信用組合では可能です。
ただし、地元の支援を目的とした金融機関なので、管轄の地域に居住していたり、事業所があったりといった条件付きとなります。
また、金融機関としての規模が小さいので、それほど高額、低金利の融資は期待できないというデメリットもあります。
しかし、個人事業主であればそれほど高額な資金を必要としないケースが多いので、信用組合や信用金庫も資金調達先として考えておきましょう。
信用金庫・信用組合のメリットとデメリットまとめ
メリット | 個人事業主への融資が可能 |
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デメリット |
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家族・親戚・知人
最初に検討してみるのが家族や親戚、友人、知人と言った身の回りの人からの借入や資金提供です。
経済的に余裕がある人が身の回りにいる場合は検討してみましょう。
ただし身近な人だからといって書類も作らずに借り入れたり、資金提供を受けたりすることは避けるようにしてください。
人間関係が壊れる一番の原因はお金と言われています。親族知人からお金を借りる場合でも、きちんとした契約書は必ず作成しておきましょう。
家族・親戚・知人のメリットとデメリットまとめ
メリット | 家族、親戚、知人なら様々な手間がかからない。 |
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デメリット | お金のことで揉めたら人間関係が壊れてしまう。 |
まとめ
この記事では個人事業主が活用できる助成金・補助金について以下の内容で解説してきました。
- 助成金・補助金とは
- 個人事業主が活用すべき助成金9選
- 個人事業主が活用すべき補助金5選
- 助成金や補助金を給付されるためのポイント
- 助成金・補助金を申請するときの注意点
- 開業時に役立つ資金調達方法
助成金・補助金をそもそも知らなかった人も、自分が活用できる助成金・補助金を見つけることができたはずです。
また、確実に給付を受けるためのポイントや注意点も覚えていただけたことと思います。
また、助成金・補助金は資金調達方法のほんの一部であって、それ以外の調達方法があることも説明しました。
この記事をきっかけに助成金・補助金を活用できる個人事業主の方が増えたら嬉しいです。