2019/11/21

この記事では、起業資金の調達に助成金や補助金を活用したいという方のために、起業に役立つ助成金と補助金について解説します。

基本的な助成金・補助金の話から、助成金・補助金を給付されるためのサポートをしてくれる士業についても紹介します。

これから会社を起業したいと考えている人の中には、起業するためのお金のことで悩み、起業を足踏みしている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そんな方に知っておいていただきたいのが、起業のために利用できる助成金・補助金です。

助成金や補助金は、国や地方公共団体から給付されるお金なので返済の必要がありません。

純粋に手元の資金を増やすことができる資金調達方法なのです。

ただし助成金にても補助金にても、だれでも給付してもらえるわけではなく、給付要件を満たしておく必要があります。

補助金に関しては、給付要件を満たしたうえで、審査に通過した企業だけが給付される仕組みです。

つまり、起業のために助成金や補助金を活用したいなら、助成金や補助金についての知識を持っておかなければなりません。

まずは助成金・補助金の基本のキから見ていきましょう。

助成金・補助金とは

助成金、補助金ともに起業の心強い味方です。

それぞれで特徴やメリット、注意点が異なるので、まずは助成金と補助金の基本的なポイントをおさえておきましょう。

助成金と補助金の違い

助成金、補助金ともに申請して交付決定すれば、返済義務なく受け取れるため起業の資金として有効活用できる制度です。

けれども助成金と補助金の違いを把握しておかなければ、申し込みをしても申請が通らず受け取れなかった…ということにもなりかねません。

助成金と補助金の特徴を比較しましたので、確認しておきましょう。

  助成金 補助金
対象 「従業員の採用拡大」
「人材育成」など
職場環境の改善や
業務効率化に関する
一定条件をクリアした
企業

「創業」
「事業拡大」など
国の政府や地方自治体が

国策、政策として打ち出している取り組みを行う
企業や事業者

管轄 厚生労働省 経済産業省
募集期間 一年を通じて公募 数か月と短い
資金調達の難易度 申請を行えば
ほぼ100%支給
審査に通りかつ
高倍率を潜り抜ければ
いけないため、必ずもらえるとは限りません。

助成金とは

助成金とは、「従業員の採用拡大」「人材育成」など、職場環境の改善や業務効率化に関する一定条件をクリアした企業に支給される助成金です。

労働拡充などを目的とした制度のため、管轄は厚生労働省になります。

条件をクリアした企業や事業者なら、申請を行えばほぼ100%支給されます。

さらに一年を通じて公募をしている助成金も多いため、起業のための資金調達方法としてもハードルが低めと言えるでしょう。

補助金とは

補助金とは、「創業」「事業拡大」など国の政府や地方自治体が国策、政策として打ち出している取り組みを行う企業や事業者に対して、国策や政策に合致した取り組みにかかった経費を助成する制度です。

助成金よりも種類が多く、助成される金額も助成金よりも高くなっています。

ただし、限られた予算内からしか補助金は出せないため、要件を満たして申請を行っても、審査に通りかつ高倍率を潜り抜ければいけないため、必ずもらえるとは限りません。

また募集期間も数か月と短いため、公募や申請方法などもつねにチェックしておく必要があります。

助成金・補助金のメリット

助成金、補助金の最大のメリットは、支給が決まれば返済不要ということです。

「資金不足でなかなか起業まで踏み出せない、新しい事業を起こせない…」
という場合でも、助成金や補助金を受ければ事業資金として有効活用できます。

さらに、助成金と補助金で企業や事業者としての自己資金が増えると、銀行などの融資も受けやすくなります。

金銭面以外のメリットが、企業や事業者としての社会的信頼につながることです。

助成金と補助金ともに、国や政府、市区町村などの自治体から認められた企業や事業者しか受け取れません。

起業仕立てで知名度が低い、中小企業や個人事業主などで規模が小さい場合でも、助成金や補助金を受けた企業や事業者と認定されれば、世間的にも信頼の高さをアピールできるでしょう。

助成金・補助金を受給するときの注意点

助成金・補助金とともに覚えておかなければいけない注意点が「すぐに受け取れない」ということです。

助成金は、実際に従業員の雇用拡大や育休制度の充実など、実際に助成金を受けるための条件を満たしたうえで、申請、受取となります。

さらに、補助金は起業や創業などにかかった経費の助成です。

補助金の申請を行い審査に通って交付が決定後、経費を使いきったあとに実際の補助金を受け取ることになります。

助成金・補助金ともに後払いのため、銀行などの融資と異なり、受け取ればすぐに使えるわけではありません。

起業資金が不足している場合には、助成金や補助金の後払いを補填できるような融資制度の利用も検討しましょう。

次に、起業に助成金や補助金を最大限活用するために、起業前に知っておきたい助成金と補助金をそれぞれ解説していきます。

起業前に知っておきたい助成金

起業前に知っておきたい代表的な助成金には以下のものがあります。

キャリアアップ助成金

パート、アルバイト、派遣社員などの有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者など、非正規雇用の従業員に対して、キャリアアップの取り組みを行った場合に支給されます。

非正規雇用従業員の正社員化、賃金規定の改定、短時間労働者労働延長など取り組みによって7つのコースがあります。

中途採用等支援助成金(生涯現役起業支援コース)

中高年齢者(40 歳以上)でこれから起業を行う、または起業して間もない企業や事業者を対象に支給される助成金です。

同じく中高年齢者などの従業員雇い入れに関わる費用の一部助成が受けられる「雇用創出措置助成分」、さらに雇用創出措置助成分を受けた後一定期間経過後に、生産性が向上していると認められれば「生産性向上助成分」が受け取れます。

地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)

域中小企業応援ファンドは中小企業基盤整備機構(中小機構)と各都道府県の公共団体、金融機関などが共同出資して設立された官民ファンドです。
地域への貢献度が高い新規事業を行う中小企業を対象に補助金の給付を行っています。

自治体の農林水産物や伝統技術などの特産物、名産品を使った商品開発や新たな販売活路を見出すなどの取り組みを行う中小企業に対して給付される「地域中小企業応援ファンド」と、地域の農林漁業者と連携のうえで商品開発などを行う中小企業に給付される「農商工連携型地域中小企業応援ファンド」の2種類があります。

ホームページ制作助成金・補助金

ネットで借入できるイメージ

市区町村の各自治体では、企業のホームページを開設したときや、新しい事業関連で既存のものに加えて外国語版のホームページを作成したときなどに受けられる助成金や補助金制度を設けています。

具体的な内容や条件、金額上限などは自治体によって異なりますので、企業のある自治体の公式サイトにて、ホームページ制作助成金・補助金を設けているかどうかもチェックしておきましょう。

三年以内既卒者等採用定着奨励金

学校既卒者、または中退者の就業拡充や定着を目的とした助成金です。

既卒者や高校中退者などの募集や採用、採用後に一定期間定着させた企業や事業者に対して支払われます。

トライアル雇用奨励金

職業経験や技術、知識の不足などにより安定して就職ができない求職者を、ハローワークなどを通じて一定期間(原則3ヶ月間)試用雇用した企業や事業者に対して支払われる助成金です。

起業前に知っておきたい補助金

起業前に知っておきたい代表的な補助金は以下の通りです。

地域創造的起業補助金

新たな雇用や需要を創出し、国の経済を活性化させることを目的とした補助金です。

新しく事業を起こす企業や事業者に対して、創業に必要な経費の一部を助成します。

事業承継補助金

親族での承継や外部から招致した人材へ経営者が交代したことによって事業を承継した企業や事業者、または事業の再編や統合、事業や株式の譲渡などを行って誕生した企業や事業者が、承継後に新しい取り組みを行ったさいにその経費の一部を助成する補助金です。

小規模事業者持続化補助金

持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者の地道な販路開拓などの取り組みや、事業効率化のための取り組みを支援するための補助金です。

最大50万円までの補助金の支給のほか、事業計画作成や販路開拓のさいに、商工会議所から指導や助言も受けられます。

ものづくり補助金

日本の製造業の国際競争力の強化や新たな事業の創出を目的とした「ものづくり中小企業支援」の一環として実施されている補助金制度です。

中小企業・小規模事業者が、生産性向上に資する革新的サービス開発や試作品開発、生産プロセスの改善などのために行った設備投資の経費を国が一部助成します。

女性起業家のための助成金・補助金と支援制度

デザイナーやSEとして活躍していた女性が、独立してフリーランスになり、個人事業主になる、自宅でセミナーなどを開催していた主婦が会社設立をする、など女性で起業を検討している人も多いでしょう。

女性起業家が利用できる助成金や補助金、さらに支援制度には以下のものがあります。

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業

小売店の台頭やインターネットショッピングの普及により、活気がなくなりシャッター街となってしまった商店街も少なくありません。

これらの商店街を有効活用、活性化させるための取り組みが、東京都中小企業振興公社が行っている「商店街起業・承継支援事業」。
その一環として設けている補助金制度が若手・女性リーダー応援プログラム助成事業です。

都内商店街で女性または若手男性が新規開業をする場合、店舗の新装や改装、設備導入等に要する経費の一部を助成します。

女性新ビジネスプランコンペティション

日本政策投資銀行が実施している、女性経営者による事業を対象としたコンペです。

起業したての企業はもちろん、事業開始から5年以内なら第二創業でも応募できます。

表彰されると、各賞に応じた事業奨励金の支給と事業サポートが受けられます。

女性、若者/シニア起業家支援資金

日本政策金融公庫の子なっている、事業資金の融資制度です。

これから新しく事業を始める、または開業7年以内の女性、35歳未満の若年層、55歳以上のシニア起業家が対象で、国民生活事業と中小企業事業の2種類があります。

女性専用クラウドファンディング「Kanatta」

起業のための資金調達法のひとつに、インターネット上で多くの人から資金を募るクラウドファンディングがあります。

女性起業家で、クラウドファンディングの利用を検討している人にぴったりなのが女性専用クラウドファンディング「Kanatta」。

目標金額に達成した場合にプロジェクトの実行や商品の提供が行われる目標達成型と、目標金額に達成しなくてもプロジェクト実行や商品提供が行われる実行確約型があります。

また、クラウドファンディングだけでなくコミュニティサービスも提供しているため、企業の情報発信やブランディングなどにも役立ちます。

起業のための助成金・補助金を見つける方法

助成金や補助金は多くの種類があり、ひとつひとつを探していくのはとても大変です。

起業のタイミングで役立つ助成金や補助金を見つけるには、以下3つの方法があります。

自治体のホームページで探す

助成金、補助金のなかには厚生労働省や国などが公表しているもの以外にも、地方自治体独自の制度もたくさんあります。

自分の住んでいる、または起業する市区町村のホームページには、自治体独自の助成金や補助金の情報が得られるのです。

もしも前年度の助成金や補助金制度の情報が載っている場合には、今年度の制度の有無や概要について問い合わせを行ってみましょう。

商工会議所や産業振興センターに問い合わせる

商工会議所や産業振興センターは、該当地域の事業者に向けていろいろな支援や情報発信を行っています。

起業に役立つ助成金や補助金で利用できるものはないかを、事業の内容や規模、業種に応じて相談可能です。

直接商工会議所や産業振興センターへ足を運んでもよいですし、電話相談もできます。

J-Net21の「支援情報ヘッドライン」で検索

独立行政法人 中小企業基盤整備機構の運営するサイト「J-Net21」のなかのコンテンツ「支援情報ヘッドライン」では、国や地方自治体が公募している助成金や補助金の検索ができます。

助成金・補助金の申請をサポートしてくれる士業とは

助成金や補助金の申請は自分で行うことができますが、申請書や事業計画書などの書類作成や煩雑な手続きがあるため、準備に手間や時間が多くかかってしまいます。

助成金や補助金の申請を正しく、手間なく行いたい、さらに採択率も上げたい、という人におすすめなのが、専門家に申請手続きを代行してもらうことです。

助成金・補助金の申請サポートを行ってくれる、士業は以下の通りです。

それぞれの士業が行っているサポートや、得意な分野について解説します。

弁護士

事業承継や事業再生、倒産処理など事業経営に明るい弁護士で厚生労働省管轄以外の助成金申請のサポートを行っているところが多いです。

弁護士の報酬には、案件に着手する着手金、実際に案件が成功した場合に支払う成功報酬などがあります。

助成金申請サポートの報酬については、各弁護士によって異なるため、確認しておきましょう。

税理士・公認会計士

企業の会計に関する独占業務を行っている、税理士や公認会計士は厚生労働省管轄以外の助成金・補助金両方の申請代行が可能です。

なお、税理士とは税務申告や書類作成、相談など税務に関する独占業務、公認会計士は起業の財務諸表が適切であるかを評価する監査業務が独占業務となっています。

起業のための創業補助金は倍率も高く審査もあるため、交付認定を受けるには認定支援機関のフォローを受けるのが必須と言えるでしょう。

よって、認定支援機関である税理士や公認会計士に依頼するのが有効です。

税理士を探すなら税理士.com

助成金や補助金の必要性に関わらず、会社を上手く経営していくためには税理士のサポートがかかせません。

税理士を探すときは、全国4,200名以上の税理士が登録している税理士.comというサイトを活用してみてください。

税理士と顧問契約を結ぶのが初めてという方は、まず自社の業界に強いかどうか、そして自分と年代が合うか合わないかをチェックしながら、候補を絞り込んでいきましょう。

行政書士

行政書士とは、官公署に提出する申請書などの作成と提出手続き代行などを行う士業です。

厚生労働省管轄以外の助成金の申請書類を所定の様式での作成から、申請代行まで行います。

社会保険労務士

企業の採用から退職、社会保険や労働に関することなど、主に人材に関する業務を担っているのが社会保険労務士です。

社労士とも呼ばれています。

厚生労働省管轄の助成金申請代行が行える士業は、社会保険労務士のみです。

なお、逆に社会保険労務士は厚生労働省が管轄する助成金以外の助成金申請代行の業務はできません。

中小企業診断士

中小企業の事業や経営のコンサルティングなどの業務を行っているのが中小企業診断士です。

特に、倍率が高い補助金の申請を行う場合には、できるだけ採択される可能性を高めなければいけません。

補助金の審査のなかには書類だけでなく、面接やプレゼンもありますが、その面接やプレゼンの審査担当者が、実は中小企業診断士なのです。

そのため、補助金の審査のさいに加点されるポイントを踏まえた申請書や計画書の作成を依頼することができます。

まとめ

起業のための資金調達に有効な助成金や補助金はいろいろな種類があります。

起業のタイミングにスムーズに申請するには、申請できる助成金や補助金を知ることと、後払いであることを踏まえて事業計画を立てるのが重要です。

また、専門家のサポートを受ければ、助成金や補助金申請の手間が省けるだけでなく、採択の可能性もアップします。

ぜひ、起業のための助成金や補助金申請を行って、起業のための一歩を踏み出してください。

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