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2019/11/11

会社にとって、従業員はかけがえのない財産です。

そんな、従業員のキャリアアップを図ることで、助成金をもらえる制度があることをご存知でしょうか?

まさにそれが「キャリアアップ助成金」です。

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者を正規雇用に転換すること、それによって会社の生産性を向上させることを目的にした制度。

全部で7つのコースが用意されており、要件を満たすことで最大1,440万円の助成金を受給できます。

この記事では、キャリアアップ助成金を利用して、従業員のキャリアアップとともに、助成金を受給するための方法を解説します。


森野ミヤ子
フリーランスライターとして活躍する2児の母です。
労務・人事・マネジメントの経験あり。
その経験を活かして記事を執筆しています。
秘書検定も取得しているのでビジネスマナーもお任せください!

キャリアアップ助成金とは

キャリアアップ助成金とは、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者などの非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを目的とした、厚生労働省の助成金制度です。

非正規雇用の従業員を正社員にしたり、処遇を改善したりといったキャリアアップの取り組みは手間やコストもかかります。

そのキャリアアップのための手間やコストを、企業や事業者へ助成金として支給し、非正規雇用のキャリアアップを促進する目的で設立されました。

キャリアアップ助成金は7つのコースがある

具体的には、以下の7コースに該当する取り組みを行った事業主に対して支給されます。

  1. 有期契約労働者等の正規雇用労働者・多様な正社員等への転換等を助成する「正社員化コース」
  2. 有期契約労働者等の賃金規定等を改定した場合に助成する「賃金規定等改定コース」
  3. 有期契約労働者等に対し、労働安全衛生法上義務づけられている健康診断以外の一定の健康診断制度を新たに規定し、適用した場合に助成する「健康診断制度コース」
  4. 有期契約労働者等に関して、正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規定等を新たに設け、適用した場合に助成する「賃金規定等共通化コース」
  5. 有期契約労働者等に関して、正規雇用労働者と共通の諸手当に関する制度を新たに設け、適用した場合に助成する「諸手当制度共通化コース」
  6. 労使合意に基づき社会保険の適用拡大の措置を講じ、新たに被保険者とした有期契約労働者等の基本給を増額した場合に助成する「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」
  7. 短時間労働者の週所定労働時間を5時間以上延長し、当該労働者が新たに社会保険適用となった場合に助成する「短時間労働者労働時間延長コース」

支給される金額は企業の規模によって異なります。

たとえば有期契約労働者を正社員への転換を行った場合は「正社員コース」の適用となり、ひとりあたり中小企業(※)なら57万円、大企業なら42万7,500円が支給されます。
※キャリアアップ助成金における中小企業事業者の範囲は以下の通りです。

業種 資本金の額・出資の総額 常時雇用する労働者の数
小売業(飲食店を含む) 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

助成金と補助金の違い

なお、国が企業を支援する制度には「助成金」と「補助金」があります。

どちらも要件を満たせば利用でき、返還義務もありません。
ただし、助成金は要件を満たせば必ず受給できるのに対して、補助金は審査に通らないと需給はできません。

キャリアアップ助成金は「助成金」のため、要件を満たせば必ず受給できます。

また、ほかの助成金と併用もできますので、経営者としてはぜひ利用したい制度です。

次に、キャリアアップ助成金を受給するための適応要件やポイントなどを解説していきます。

キャリアアップ助成金を受給するためのポイント

キャリアアップ助成金を確実に受給するために、注意しなければならない5つのポイントが以下の通りです。

受給のための5つのポイント

  • 適応要件を満たすこと
  • キャリアアップ計画を作成すること
  • 手順とスケジュールを確認する
  • 生産性要件もおさえておく
  • 内容が改訂されることがある

キャリアアップ助成金を受給するために、ひとつずつしっかり把握しておきましょう。

適応要件を満たすこと

キャリアアップ助成金を受けるには、全コースに共通した以下の要件を満たす必要があります。

  • 雇用保険に加入した事業主である
  • 有期契約労働者のキャリアアップを図る担当者の「キャリアアップ管理者」がいる
  • コース実施日までにキャリアアップ計画をあらかじめ作成して、所轄の労働局長の受給資格の認定を受けている
  • キャリアアップ計画期間内で適切にキャリアアップの取り組みを行える
  • 対象労働者の名簿や賃金台帳、出勤簿などの法定帳簿を整備、保管している

必ずこの要件を満たしているかどうかを確認してから、助成金申請や取り組みを行いましょう。

キャリアアップ計画を作成すること

前述の要項の通り、キャリアアップ助成金受給に該当する取り組みを行う前に「キャリアアップ計画書」を前もって作成する必要があります。

キャリアアップ計画書とは、対象の従業員や内容、期間、目標など従業員のキャリアアップのために具体的にどのような取り組みを行うかを記載した計画書です。

そのさい、厚生労働省の「有期契約労働者等のキャリアアップに関するガイドライン」に沿っての記載が必要ですので、キャリアアップ計画書作成時に必ず確認しておきましょう。

なお、キャリアアップ計画書はあくまで「計画」のため、作成後の内容変更も可能です。

ただし、変更のさいには管轄労働局に「キャリアアップ計画変更届」の提出が必要であることも、合わせて覚えておきましょう。

手順とスケジュールを確認する

キャリアアップ助成金制度を利用するさい、計画書の作成から取組の実施、申請から助成金の受給まで長い期間がかかります。
さらに、既定の手順通りに行わないと、助成金が受給できない場合があるのです。

また、利用するコースによっては、就業規則の作成や変更が必要な場合があります。

たとえば、正社員化コースで有期雇用契約の従業員を正規雇用する場合は、正社員登用制度などの就業規定を作成したり、変更したりしなければいけません。

就業規則も含めて手順とスケジュールを確認しておきましょう。

生産性要件もおさえておく

キャリアアップ助成金には、通常支払われる助成金のほか、「生産性要件」があるのも覚えておきましょう。

キャリアアップ助成金の目的のひとつに、「不足する労働力不足を補うため」というのがあります。

同じく労働力不足に有効なのが、同じ時間やコストで、より多くの成果を出す生産性を向上させることです。

生産性要件とは

生産性要件とは、労働生産性を上げるための取り組みを行った事業者に対して、実際に生産性が上がる効果が認められた場合に、キャリアアップ助成金が上乗せされる制度です。

たとえば、前述の「正社員コース」の適応となるとひとりあたり中小企業なら57万円、大企業なら42万7,500円が支給されますが、正社員登用を行ったことで生産性の向上が認められた場合は、ひとりあたりの助成金が上乗せされ、中小企業なら72万円、大企業なら54万円が支給されます。

ただ従業員をキャリアアップさせるだけでなく、事業の労働生産性を向上させると、より多くの助成金が支払われることになります。

企業の生産性向上にもつながりますので、生産性要件も踏まえつつ、キャリアアップ計画書の作成や、実際の取り組みを行いましょう。

内容が改定されることがある

キャリアアップ助成金は、内容が変更や改定されることがあります。

たとえば、平成29年度までコース内に、非正規雇用の従業員に対して職業訓練などを行った場合に支給される「人材育成コース」がありましたが、平成30年度では人材育成コースは廃止となり、「人材開発支援助成金」という構成労働省の別の助成金に統合されました。

キャリアアップ助成金を利用するときには、最新の内容を参照するのが重要です。

インターネットの情報は古くなっている場合があるため、厚生労働省の該当ページを確認することと、変更や改定が行われていないかも合わせて見ておきましょう。

参考:厚生労働省 キャリアアップ助成金

次に、具体的なキャリアアップ助成金のコースの概要を、助成金の支給額や申請方法とともに解説していきます。

正社員化コースとは

有期雇用・無期雇用の従業員を正社員に転換、または直接雇用したとき、勤務地限定正社員や時短正社員など、多様な働き方に合致した正社員に転換したときに助成金が支払われます。

正社員化コースの支給条件は、以下の条件を満たした従業員を正社員に転換させたときです。

  • 雇用期間が通算して6ヵ月以上の有期契約労働者
  • 雇用期間が6ヵ月以上の無期雇用労働者(下記4に該当する者を除く)
  • 同一業務に6ヵ月以上継続して労働者派遣に従事している派遣労働者
  • 事業主が実施した有期実習型訓練を受講し、修了した有期契約労働者等

正社員化コースの支給額

正社員化コースの支給額は以下の通りです。

  中小企業での支給額
(1人当たり)
中小企業以外での支給額
(1人当たり)
有期雇用労働者を
正規雇用へ転換
57万円<72万円> 42万7,500円<54万円>
有期雇用労働者を
無期雇用へ転換
28万5,000円<36万円> 21万3,750円<27万円>
無期雇用労働者を
正規雇用へ転換
28万5,000円<36万円> 21万3,750円<27万円>

※<>は生産性の向上が認められた生産性要件に該当する場合、上乗せで支給してもらえる金額になります。

なお1年度あたり1事業所で、上記3要件合算で支給申請上限人数20人までと決まっています。

さらに、派遣社員を正規雇用、ひとり親世帯を正規雇用または無期雇用へ転換させた場合はさらに加算が発生します。

正社員化コース申請の流れ

正社員化コースの申請は以下の流れで行います。

対象労働者を6ヶ月以上雇用(入社時に正規雇用にすると約束するのは不可)
キャリアアップ計画書の作成および提出
就業規則の整備
該当従業員の正社員等への転換
転換後の賃金を6ヵ月分支給した日の翌日から起算して2ヵ月以内に申請する

賃金規定等改定コースとは

賃金規定等改正コースは、有期契約労働者の賃金規定を改定し、基本給を2%以上増額させた場合に助成金が支給されます。

賃金規定等改定コースの支給額

賃金規定等改定コースの支給額は以下の通りです。

【すべての有期契約労働者等の賃金規定等を2%以上増額改定した場合】

対象労働者数 中小企業での支給額
(1事業所当たり)
中小企業以外での支給額
(1事業所当たり)
1人~3人 95,000円<12万円> 71,250円<90,000円>
4人~6人 19万円<24万円> 14万2,500円<18万円>
7人~10人 28万5,000円<36万円> 19万円<24万円>
11人~100人 28,500円<36,000円> 19,000円<24,000円>

※<>は生産性の向上が認められた生産性要件に該当する場合、上乗せで支給してもらえる金額になります。

【一部の賃金規定等を2%以上増額改定した場合】

対象労働者数 中小企業での支給額
(1事業所当たり)
中小企業以外での支給額
(1事業所当たり)
1人~3人 47,500円<60,000円> 33,250円<42,000円>
4人~6人 95,000円<12万円> 71,250円<90,000円>
7人~10人 14万2,500円<18万円> 95,000円<12万円>
11人~100人 14,250円<18,000円> 9,500円<12,000円>

※<>は生産性の向上が認められた生産性要件に該当する場合、上乗せで支給してもらえる金額になります。

また、中小企業において3%以上増額改定した場合には以下の助成金が加算されます。

  • すべての賃金規定等改定:1人当たり14,250円<18,000円>
  • 一部の賃金規定等改定:1人当たり7,600円<9,600円>

職務評価の手法の活用により賃金規定等を増額改定した場合、以下の助成金が加算されます。

中小企業での支給額
(1事業所当たり)
中小企業以外での支給額
(1事業所当たり)
19万円<24万円> 14万2,500円<18万円>

※1事業所あたり1回のみ申請できます。
※1年度1事業所当たり100人までの申請上限人数が決まっています。

賃金規定等改定コース申請の流れ

キャリアアップ計画の作成・提出する
賃金規定等の増額改定を実施する
増額改定後の賃金に基づき6ヵ月分の賃金を支給する
6ヵ月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2ヵ月以内に支給申請

健康診断制度コースとは

有期契約労働者などを対象とする「法定外の健康診断制度」を新しく規定、のべ4人以上実施した場合に助成金が支払われます。

なお、「有期契約労働者など」に該当するのは、以下の条件を満たした従業員です。

  • 無期雇用契約者ではない者
  • 週当たり所定労働時間数が、正社員の4分の3以上ではない者
  • 検診受診日に雇用保険の加入者である者
  • 社長・取締役の3親等以内の親族ではない者
  • 支給申請日に離職していない者

健康診断制度コースの支給額

コースの支給額は以下の通りです。

中小企業での支給額
(1事業所当たり)
中小企業以外での支給額
(1事業所当たり)
38万円<48万円> 28万5,000円<36万円>

※<>は生産性の向上が認められた生産性要件に該当する場合、上乗せで支給してもらえる金額になります。
※1事業所あたり1回のみ申請できます。

健康診断制度コース申請の流れ

健康診断制度コースの申請は以下の流れで行います。

キャリアアップ計画の作成・提出をする
就業規則等へ健康診断制度の規定を行う
4人以上に健診を実施する
実施日の属する月の賃金支給日の翌日より2か月以内に支給申請

賃金規定等共通化コースとは

有期契約労働者などに対して、正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規定等を新たに作成し、適用した場合に助成されます。

賃金規定等共通化コースの適応となる従業員は、以下の条件を満たさなければいけません。

  • 新たな賃金規定の導入日の前日より3ヶ月以上前から、導入後半年以上継続雇用されている有期契約労働者
  • 正社員と同一区分に格付けされている労働者
  • 新たな賃金規定導入日以降の期間に雇用保険の加入者である者
  • 社長・取締役の3親等以内の親族ではない者
  • 支給申請日に離職していない者

賃金規定等共通化コースの支給額

コースの支給額は以下の通りです。

中小企業での支給額
(1事業所当たり)
中小企業以外での支給額
(1事業所当たり)
57万円<72万円> 42万7,500円<54万円>

※<>は生産性の向上が認められた生産性要件に該当する場合、上乗せで支給してもらえる金額になります。

※1事業当たり申請は1回のみです。

さらに、賃金規定を共通化後対象者が2人以上いる場合は、上限を20人として以下の金額が加算されます。

中小企業での支給額
(対象労働者1人当たり)
中小企業以外での支給額
(対象労働者1人当たり)
20,000円<24,000円> 15,000円<18,000円>

賃金規定等共通化コース申請の流れ

キャリアアップ計画の作成・提出をする
有期契約労働者と正社員に共通する賃金規定の作成・実施する
新たな賃金規定に沿った形で6ヶ月分の賃金を支給する
3の賃金支給日の翌日より2か月以内に支給申請

諸手当制度共通化コースとは

有期契約労働者などに対して、家族手当や住居手当などの正規雇用労働者と共通の諸手当制度を新たに設け、適用した場合に助成されます。

諸手当制度共通化コースの対象となる労働者の条件は以下の通りです。

  • 新たな諸手当制度の導入日の前日より3ヶ月以上前から、導入後半年以上継続雇用されている有期契約労働者
  • 新たな賃金規定導入日以降の期間に雇用保険の加入者である者
  • 社長・取締役の3親等以内の親族ではない者
  • 支給申請日に離職していない者

諸手当制度共通化コースの支給額

コースの支給額は以下の通りです。

中小企業での支給額
(1事業所当たり)
中小企業以外での支給額
(1事業所当たり)
38万円<48万円> 28万5,000円<36万円>

※<>は生産性の向上が認められた生産性要件に該当する場合、上乗せで支給してもらえる金額になります。
※1事業当たり申請は1回のみです。

対象労働者が2人以上いる場合は、上限を20人として以下の金額が加算されます。

中小企業での支給額
(対象労働者1人当たり)
中小企業以外での支給額
(対象労働者1人当たり)
15,000円<18,000円> 12,000円<14,000円>

同時に共通化した諸手当が2項目以上ある場合は、上限10手当までで2つめ以降の諸手当は以下の金額が加算されます。

中小企業での支給額
(諸手当の数1つ当たり)
中小企業以外での支給額
(諸手当の数1つ当たり)
16万円<19万2,000円> 12万円<14万4,000円>

諸手当制度共通化コース申請の流れ

諸手当制度共通化コースの申請は以下の流れで行います。

キャリアアップ計画の作成・提出する
新たな諸手当制度の導入
新たな諸手当制度に沿った形で6ヶ月分の賃金を支給
3の賃金支給日の翌日より2か月以内に支給申請

選択的適用拡大導入時処遇改善コースとは

従業員の労働日数や時間数に応じて加入が義務付けられているのが社会保険です。

多様な働き方を受けて社会保険の選択的適用拡大制度が導入されることとなりました。

これにともなって、新たに社会保険の適用対象となる有期契約労働者の賃金を、一定額引き上げた場合に助成金が支給されるコースです。

以下すべての条件を満たした労働者が対象となります。

  • 有期契約労働者である者
  • 賃金引き上げ日の前日より3ヶ月以上前から継続雇用されている有期契約労働者
  • 賃金引き上げ日の前日より以前の3ヶ月間、社会保険の加入対象ではなかった者
  • 社長・取締役の3親等以内の親族ではない者
  • 支給申請日に離職していない者

選択的適用拡大導入時処遇改善コースの支給額

基本給の増額割合に応じて、支給額が変わります。

コースの支給額は以下の通りです。

基本給の増額割合 中小企業での支給額
(1人当たり)
中小企業以外での支給額
(1人当たり)
3%以上5%未満 29,000円<36,000円> 22,000円<27,000円>
5%以上7%未満 47,000円<60,000円> 36,000円<45,000円>
7%以上10%未満 66,000円<83,000円> 50,000円<63,000円>
10%以上14%未満 94,000円<11万9,000円> 71,000円<89,000円>
14%以上 13万2,000円<16万6,000円> 99,000円<12万5,000円>

※<>は生産性の向上が認められた生産性要件に該当する場合、上乗せで支給してもらえる金額になります。
※1事業所当たり1回のみの申請となり、支給申請上限人数は45人までと定められています。

選択的適用拡大導入時処遇改善コース申請の流れ

選択的適用拡大導入時処遇改善コースの申請は以下の流れで行います。

キャリアアップ計画の作成・提出する
社会保険の適用拡大措置に関する労使合意措置
有期契約労働者の社会保険加入手続きと基本給アップの実施
基本給アップ後6ヶ月分の賃金支給日の翌日より2か月以内に支給申請

また、洗濯的適応拡大導入時処遇改善コースは、令和2年3月31日までの暫定措置となりますので、導入や申請時期に注意しましょう。

短時間労働者労働時間延長コースとは

短時間労働者の週所定労働時間(一週間あたり1時間以上5時間未満)延長し、新たに社会保険を適用した場合に助成金が支給されます。

次のいずれかの要件にあてはまる労働者が対象となります。

  • 一週間あたりの所定労働時間を5時間以上増やした日より6ヶ月以上継続雇用されている有期契約労働者
  • 一週間あたりの所定労働時間を1時間以上2時間未満増やした日より6ヶ月以上継続雇用されている有期契約労働者で、延長後の基本給が延長前より13%以上増額した者
  • 一週間あたりの所定労働時間を2時間以上3時間未満増やした日より6ヶ月以上継続雇用されている有期契約労働者で、延長後の基本給が延長前より8%以上増額した者
  • 一週間あたりの所定労働時間を3時間以上4時間未満増やした日より6ヶ月以上継続雇用されている有期契約労働者で、延長後の基本給が延長前より3%以上増額した者
  • 一週間あたりの所定労働時間を4時間以上5時間未満増やした日より6ヶ月以上継続雇用されている有期契約労働者で、延長後の基本給が延長前より2%以上増額した者

短時間労働者労働時間延長コースの支給額

コースの支給額は以下の通りです。

【短時間労働者の週所定労働時間を5時間以上延長し新たに社会保険に適用した場合】

中小企業での支給額(1人当たり) 中小企業以外での支給額(1人当たり)
16万9,000円<21万3,000円> 22万5,000円<28万4,000円>

※<>は生産性の向上が認められた生産性要件に該当する場合、上乗せで支給してもらえる金額になります。

なお令和2年3月31日までの間、支給額を増額しています。

【労働者の手取り収入が減少しないように週所定労働時間を延長し、新たに社会保険に適用させることに加えて、賃金規定等改定コースまたは選択的適用拡大導入時処遇改善コースを実施した場合(こちらは令和2年3月31日までの暫定措置)】

  中小企業での支給額
(1人当たり)
中小企業以外での支給額
(1人当たり)
1時間以上2時間未満 45,000円<57,000円> 34,000円<43,000円>
2時間以上3時間未満 90,000円<11万4,000円> 68,000円<86,000円>
3時間以上4時間未満 13万5,000円<17万円> 10万1,000円<12万8,000円>
4時間以上5時間未満 18万円<22万7,000円> 13万5,000円<17万円>

※<>は生産性の向上が認められた生産性要件に該当する場合、上乗せで支給してもらえる金額になります。

1年度1事業所当たり支給申請上限人数は45人ですが、これは令和2年3月31日までの上限人数緩和措置のため、申請時期によっては上限人数に気をつけましょう。

短時間労働者労働時間延長コース申請の流れ

短時間労働者労働時間延長コースの申請は以下の流れで行います。

キャリアアップ計画の作成・提出する
一週間あたりの所定労働時間延長を実施する
延長後6ヶ月分の賃金を対象労働者へ支給する
3の賃金支給日の翌日より2か月以内に支給申請

まとめ

今後労働力不足が懸念される業種では、今いる従業員のキャリアアップを行うのが生産性を高めるのに有効です。

さらに、従業員の労働力というのは、企業にとっても大きな財産となります。

キャリアアップ助成金は要件を満たして所定の手順を踏めば、もれなく支給される助成金です。

今後の企業の人力構築のために、キャリアアップ助成金を上手に活用しましょう。

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