2019/04/22

信用保証協会(正式名称:一般社団法人全国信用保証協会連合会)は、中小企業や小規模事業者、いわゆる個人事業主の融資による資金調達を円滑化するために設立された公的機関です。

金融機関から融資を受けるために必要なのは、「この企業なら間違いなく返済をしてくれる」という信頼です。

しかし、創業仕立ての企業ではまだ実績がなく、信頼を示すのが難しいと言えます。

そんな中小企業・小規模事業者が融資を受けるために、会社に代わって信頼を担保(保証)してくれるのが信用保証協会です。

今回は、この信用保証協会について、わかりやすく解説していきます。

信用保証協会とは

信用保証協会の概要について紹介します。

信用保証協会は1955年に設立された一般社団法人です。

1953年に制定された「信用保証協会法」に基づき、中小企業や小規模事業者の金融円滑化を目的に設立されました。

なお、現在の信用保証協会の先駆けとなった東京信用保証協会は1937年に設立されています。

現在、信用保証協会は各都道府県に1カ所ずつと横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市に1カ所ずつの全国計51カ所に設置されています。

さらに、全国358万の中小企業のうち、126万社が信用保証協会を活用、つまり全国35%以上の中小企業に信用保証協会が活用されています。

信用保証制度とは

信用保証協会は、中小企業や小規模事業者の金融円滑化のために「信用保証制度」を実施して、銀行と一緒に保証付き融資を行います。

信用保証制度の仕組みや対象、流れや申し込み方法を見てみましょう。

仕組み

信用保証制度とは、中小企業・小規模事業者と信用保証協会、金融機関の三位一体で行います。

中小企業・小規模事業者が金融機関から融資を受けるときに、信用保証協会が間に入ります。

万が一融資を受けた中小企業・小規模事業者の返済ができなくなった場合、金融機関への代済を信用保証協会が請け負う保証が「信用保証制度」です。

保証の対象

保証の対象となるのは、「事業運営に必要な資金」に限られます。

具体的には運転資金または設備資金が該当します。

担保ありの場合中小企業信用保険における普通保険の限度額である2億円まで、担保なしの場合無担保保険の限度額である8,000万円までです。

信用保証制度の流れ

信用保証制度を利用するときは、流れによって6つの項目に分かれます。

・保証申込
・保証承諾
・融資
・返済
・代位弁済
・弁済

信用保証制度の流れについて、項目ごとにそれぞれ解説していきます。

保証申込

中小企業・小規模事業者が信用保証協会に保証申込を行います。

保証承諾

保証申込を受けた信用保証協会が中小企業・小規模事業者を審査します。

審査は事業内容や事業計画などを検討した上で保証の承諾または拒否を決め、金融機関に連絡します。

融資

保証が承諾されると、中小企業・小規模事業者は信用保証書の交付を受けた金融機関から融資を受けられます。

返済

返済条件に基づき、中小企業・小規模事業者が金融機関に借入金を返済します。

代位弁済

万一融資を受けた中小企業・小規模事業者が何らかの事情で借入金の返済できなくなった場合は、信用保証協会が金融機関に借入金を代位弁済します。

弁済

代位弁済を受けた中小企業・小規模事業者は信用保証協会へ返済を行います。

信用保証協会への返済の際には、中小企業・小規模事業者の事情に即した返済である「回収業務」が行われるのが特徴です。

回収業務によって返済された金額のうち、保険金の受領割合に応じて「回収納付金」が返納されます。

なお、回収業務を行っているのは信用保証協会自身ではなく、「保証協会サービサー」です。

「権管理回収業に関する特別措置法」に基づき、法務大臣の許可を受けた債権回収専門会社が保証協会サービサーとして信用保証協会が保有する債権の管理や回収業務を行っています。

申込窓口

信用保証制度の申込窓口は金融機関・信用保証協会(・地方自治体や商工団体)に分かれ、窓口ごとに申し込む手続きが異なります。

窓口ごとの手続き方法を見てみましょう。

金融機関の場合

金融機関が申込窓口の場合、提携融資になります。

提携融資とは、金融機関(銀行)が融資を受ける中小企業・小規模事業者に変わって保証協会への書類や決裁書提出を行うことです。

金融機関が「融資が妥当である」と判断した、つまり信用がある中小企業・小規模事業者に対して融資を行うため、保証協会の審査が下りるまでが早いメリットがあります。

ただし、本来融資を受ける中小企業・小規模事業者がやるべき書類作成や決裁書提出を金融機関(銀行)へ一任するため、申込書類や決裁書は詳細な記述ができないことを覚えておきましょう。

信用保証協会の場合

信用保証協会が申込窓口は制度融資になり、直接信用保証協会へ信用保証制度を申し込むことになります。

相談のうえで手渡される申込書を始めとした書類は、すべて自分で記述して提出する必要があるのを覚えておきましょう。

自分で詳細まで書き込むことができるため、より正確な書類作成ができるメリットがありますが、一方で金融機関の提携融資よりも審査に時間がかかる傾向にあります。

金融機関と信用保証協会、どちらがいいのか

金融機関と信用保証協会どちらを申込窓口として選んだほうが良いかは、自分がどのように融資を受けたいかで異なります。

・細かに会社情報を伝えたいなら信用保証協会の制度融資
・決済に自信がある、審査を早く通して融資を受けたいなら金融機関(銀行)の提携融資

どちらかと言えば保証協会へ直接申し込みを行ったほうが、自身の企業や事業所の情報を詳細、かつ正確に伝えて申請ができます。

よって、書類作成や決済書の作成に自信がない場合は、保証協会へ申し込みを行い、詳細に記入できる制度融資を利用しましょう。

一方で、決裁書に自信がある、できるだけ融資を受けるスピードを速くしたい場合には金融機関(銀行)への提携融資の方が、メリットが大きいことになります。

地方によって申込窓口の選択肢は限定されるのに注意

信用保証制度の申込方法は、企業や事業所のある地方によって申込窓口はおのずと限定される場合があるので、覚えておきましょう。

例えば、東京なら金融機関からの申込も、信用保証協会からの申込も受け付けていますので、提携融資、制度融資どちらかを選択できます。

一方で、京都は金融機関との提携融資の保証制度のみを取り扱っていますので、金融機関からの申込一択となります。

申込を行う地方の信用保証協会の公式サイトなどで、申込先を確認しておいてください。

必要な提出書類

信用保証制度の申込時には、以下8点の書類が必要になります。

(1)信用保証委託申込書(保証人等明細)
(2)申込人(企業)概要
(3)信用保証依頼書
(4)信用保証委託契約書
(5)個人情報の取扱いに関する同意書
(6)確定申告書(決算書)
(7)商業登記簿謄本
(8)印鑑証明書

上記以外の書類が必要となる場合もありますので、詳細は近隣の信用保証協会への問い合わせがおすすめです。

保証付き融資はプロパー融資への第一歩

元々保証付き融資は、信用保証協会が原則100%保証していたので銀行は何のリスクも負わずに融資を行うことができました。

しかし、信用保証協会の立場からすると代位弁済したものの本来の債権者から回収できなかった場合、負債を自分達で抱えてしまうことが問題となりました。

これらを受け、平成19年には「責任共有制度」という金融機関と信用保証協会が協力し合って融資を行っていくことになりました。

責任共有という言葉そのままに、信用保証協会の保証割合を100%から80%に引き下げたもので、銀行も20%の貸し倒れリスクを負うこととなっているのです。

ただ、銀行が100%貸し倒れリスクを負うことになるプロパー融資と20%の保証割合を比較してみると分かるように、断然、保証付き融資の方が審査基準は下がるということが容易に予想することができます。

逆に言えば、同じ金融機関からの資金調達として、保証付き融資の審査が通らない状態でプロパー融資に申し込みしても、審査通過はほぼ間違いなく無理だと言えるでしょう。

最終的にプロパー融資を受けるには、まず保証付き融資で信用と実績を積み上げていく必要があります。

信用保証制度のメリット・デメリット

信用保証協会の保証付き融資を利用するメリット・デメリットを解説します。

信用保証制度のメリット

信用保証制度は以下のメリットがあります。

・融資枠の拡大
・ニーズに合わせた保証制度が揃っている
・長期の借入ができる
・連帯保証人が必要ない(法人は代表者が連帯保証人)
・担保がなくても利用できる
・赤字決算でも利用できる場合がある

融資枠の拡大

信用保証制度を利用すると、取引金融機関のプロパー融資と保証付融資の併用ができるため、融資枠の拡大が図れます。

ニーズに合わせた保証制度が揃っている

信用保証制度は、融資の目的や対象別で選べる保証制度がそろっています。

・創業資金
・資金繰りの改善目的
・経営に支障が出ている
・事業の海外展開資金
・農業信用保証保険制度との連携

全国で統一されている保証制度のほか、各都道府県の信用保証協会独自の保証制度を設けている場合もあります。

ニーズに合わせた融資が受けられるのも、メリットのひとつです。

長期の借入ができる

信用保証制度の中には、長期借り入れが可能な保証制度もあります。

連帯保証人が必要ない

原則として、法人代表者以外の連帯保証人は必要なく利用できます。

担保がなくても利用できる

通常、融資を受けるには不動産担保などの担保が必要なことも多いです。

信用保証制度は、不動産担保に過度に依存しない保証の推進に努めているため、担保がなくても利用できます。

赤字決算でも利用できる場合がある

信用保証制度は、「赤字決済である」ことを理由に保証申込を断ることはありません。

赤字の原因のほか、経営意欲や事業計画などを踏まえて総合的に検討し、利用の可否を判断しますので、赤字決済の場合でも利用できる場合があります。

信用保証制度のデメリット

信用保証制度のデメリットは以下の通りです。

・保証料がかかる
・保証してくれる業種が限られる

保証料がかかる

保証料とは中小企業信用保険の信用保険料や経費等、制度運営上必要な費用に充当するための資金です。

保証料の利率は、原則として9つの料率区分から適用されます。

CRD(中小企業信用リスク情報データベースCredit Risk Databaseの略称)で、信用保証協会や金融機関から中小企業の財務データ等を収集し、データベース化したもの)によるスコアリングシステムを活用して保証審査を行い、CRDの評価に応じて9段階の保証利率が決まる仕組みです。

ただし1000万円以上の融資、かつ最終期限前に信用保証付き融資を完済した場合は、各都道府県の信用保証協会の規則によって信用保証料の一部が返納されることがあります。

なお、不動産担保の提供がある場合保証料が割引になる制度や、一部を除く会計参与設置会社も保証料の割引が適用されます。

保証してくれる業種が限られる

原則として、保証を受けられる業種は以下の8業種に限られます。

・製造業など(建設業、運送業、不動産業を含む)
・ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)
・卸売業
・小売業、飲食業
・サービス業
・ソフトウェア業、情報処理サービス業
・旅行業
・医業を主たる事業とする法人

ほとんどの商工業の業種は利用できますが、農林漁業や金融業などの一部業種は保証の対象外です。

全国の信用保証協会一覧

保証制度や保証料は各信用保証協会によって異なりますので、詳しくは事業を構えている地域の保証協会に問い合わせをするようにしましょう。

北海道・東北地方 住所 電話番号
北海道信用保証協会 札幌市中央区大通西14-1 011-241-5554
青森県信用保証協会 青森市新町2-4-1 017-723-1351
岩手県信用保証協会 盛岡市長田町6-2 019-654-1500
宮城県信用保証協会 仙台市青葉区本町2-16-12 022-225-6491
秋田県信用保証協会 秋田市旭北錦町1-47 018-863-9011
山形県信用保証協会 山形市城南町1-1-1 023-647-2245
福島県信用保証協会 福島市三河南町1番20号 024-526-2331
関東地方 住所 電話番号
茨城県信用保証協会 水戸市桜川2-2-35 029-224-7811
栃木県信用保証協会 宇都宮市中央3-1-4 028-635-2121
群馬県信用保証協会 前橋市大手町3-3-1 027-231-8816
埼玉県信用保証協会 さいたま市大宮区桜木町1-7-5 048-647-4711
千葉県信用保証協会 千葉市中央区中央4-17-8 043-221-8181
東京信用保証協会 中央区八重洲2-6-17 03-3272-3081
神奈川県信用保証協会 横浜市西区桜木町6-35-1 045-681-7172
横浜市信用保証協会 横浜市中区山下町22 045-662-6622
川崎市信用保証協会 川崎市川崎区日進町1-66 044-211-0503
甲信越地方 住所 電話番号
新潟県信用保証協会 新潟市中央区川岸町1-47-1 025-267-1311
山梨県信用保証協会 甲府市飯田2-2-1 055-235-9700
長野県信用保証協会 長野市南長野県町597-5 026-234-7288
東海地方 住所 電話番号
静岡県信用保証協会 静岡市葵区追手町5-4 054-252-2120
愛知県信用保証協会 名古屋市中村区椿町7-9 052-454-0500
名古屋市信用保証協会 名古屋市中区栄2-12-31 052-212-3011
岐阜県信用保証協会 岐阜市薮田南5-14-53 058-276-8123
岐阜市信用保証協会 岐阜市吉野町6-31 058-267-4553
三重県信用保証協会 津市桜橋3-399 059-229-6021
北陸地方 住所 電話番号
富山県信用保証協会 富山市総曲輪2-1-3 076-423-3171
石川県信用保証協会 金沢市尾山町9-25 076-222-1511
福井県信用保証協会 福井市西木田2-8-1 0776-33-1800
近畿地方 住所 電話番号
滋賀県信用保証協会 大津市打出浜2-1 077-511-1300
京都信用保証協会 京都市下京区四条通室町東入函谷鉾町78 075-354-1011
大阪信用保証協会 大阪市北区梅田3-3-20 06-6131-7567
兵庫県信用保証協会 神戸市中央区浪花町62-1 078-393-3900
奈良県信用保証協会 奈良市法蓮町163-2 0742-33-0551
和歌山県信用保証協会 和歌山市十二番丁39 073-423-2255
中国地方 住所 電話番号
鳥取県信用保証協会 鳥取市本町3-201 0857-26-6631
島根県信用保証協会 松江市殿町105 0852-21-0561
岡山県信用保証協会 岡山市北区野田2-12-23 086-243-1121
広島県信用保証協会 広島市中区上幟町3-27 082-228-5500
山口県信用保証協会 山口市中央4-5-16 083-921-3090
四国地方 住所 電話番号
香川県信用保証協会 高松市福岡町2-2-2-101 087-851-0061
徳島県信用保証協会 徳島市南末広町5-8-8 088-622-0217
高知県信用保証協会 高知市上町3-13-14 088-823-3261
愛媛県信用保証協会 松山市一番町4-1-2 089-931-2111
九州・沖縄地方 住所 電話番号
福岡県信用保証協会 福岡市博多区博多駅南2-2-1 092-415-2600
佐賀県信用保証協会 佐賀市白山2-1-12 0952-24-4340
長崎県信用保証協会 長崎市桜町4-1 095-822-9171
熊本県信用保証協会 熊本市中央区南熊本4-1-1 096-375-2000
大分県信用保証協会 大分市金池町3-1-64 097-532-8336
宮崎県信用保証協会 宮崎市宮田町2-23 0985-24-8251
鹿児島県信用保証協会 鹿児島市名山町9-1 099-223-0273
沖縄県信用保証協会 那覇市前島3-1-20 098-863-5302

まとめ

スタートアップ時期の中小企業や小規模事業者には、事業資金の調達方法が限られています。

そんな中、信用保証協会は、中小企業や小規模事業者が融資による資金調達を円滑に行えるようにサポートしてくれる団体です。

まだ銀行からプロパー融資を受けられるだけの実績がないという場合は、信用保証協会の保証付き融資を検討してみてください。

気をつけなければいけないのは、保証をしてくれるとはいっても、返済義務は無くならないということです。

万が一金融機関への返済が滞った場合、今度は借入金を立て替えた信用保証協会に返済をしていくことになります。

返済計画をしっかりと立てておくようにしましょう。

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