2019/11/21

日本政策金融公庫は政府の政策を実施するために設立された政府系金融機関のひとつです。

特に中小企業向けに民間金融機関ではできない低金利融資を提供することで、運転資金の調達を容易にする目的があります。

そのため日本政策金融公庫の制度融資は低金利で、無担保でも利用することができます。

中小企業経営者にとって日本政策金融公庫の融資に関する知識は不可欠といえるでしょう。

今回はその中でも日本政策金融公庫の金利について解説していきます。

日本政策金融公庫の金利体系

日本政策金融公庫の金利は基準金利を基本として、さらに低金利の特別金利が設定されています。

どの金利が適用されるかは融資条件などによって違っています。

国民生活事業の主要金利

日本政策金融公庫には幾つかの事業がありますがそのひとつに国民生活事業があります。

国民生活を支援する事業で教育ローンなど個人向け融資も行なっていますが、小規模事業者向け融資も取り扱っています。

事業者融資には以下の特徴があります。

・融資先の9割が従業員数9名以下
・平均融資残高は700万円以下の小口融資
・8割以上は無担保融資

以上の特徴から小規模事業者向けの小口無担保融資が中心ということがわかります。

国民生活事業で取り扱う無担保融資の貸付利率は以下のとおりです。

➀担保を不要とする融資を希望される方

基準
利率
特別
利率A 
特別
利率B
特別
利率C
特別
利率E
特別
利率J
特別
利率P
特別
利率U
 1.36

1.95
0.96

1.55 
0.71

1.30 
0.46

1.05 
0.25

0.55 
0.31

1.60 
1.86~2.25  1.56~1.95 

 (平成30年8月24日現在、年利%)

②新創業融資制度(無担保・無保証人)を希望される方
(確定申告を2期終えていない方)

基準利率 特別利率
A
特別利率
B
特別利率
C
特別利率
E
特別利率
J
特別利率
P
 2.26

2.85
 1.86

2.45
1.61

2.20 
1.36

1.95 
 0.86

1.45
1.21

1.80 
2.06

2.45 

(平成30年8月24日現在、年利%)

 ③担保を提供する融資を希望される方 

基準利率 特別
利率A 
特別
利率B
特別
利率C
特別
利率E
特別
利率J
特別
利率N
特別
利率P
特別
利率R
特別
利率U
 1.16

2.35
0.76

1.95 
0.51~1.70  0.30~1.45  0.30~0.95  0.30~1.30  0.86~1.65  0.96~1.95  0.96~1.75  0.66~1.65 

(平成30年8月24日現在、年利%)

④災害貸付、東日本大震災復興特別貸付(震災セーフティネット関連を除く)、
平成28年熊本地震特別貸付(その他被害者を除く)、
平成30年7月豪雨特別貸付(その他被害者を除く)をご利用される方

基準
利率
特別
利率A
特別
利率B
特別
利率C
特別
利率E
特別
利率J
特別
利率P
特別
利率U
1.36

1.95 
 0.96

1.55
 0.71

1.30
 0.46

1.05
 0.25

0.55
 0.31

0.90
 1.16

1.55
 0.86

1.25

(平成30年8月24日現在、年利%)

⑤中小企業経営力強化資金(2,000万円以内の無担保・無保証人部分)
を希望される方

特別年利S
2.21~2.50

(平成30年8月24日現在、年利%)

⑥経営者の保証を不要とする融資(「経営者保証免除特例制度」など)を希望される方

「経営者保証免除特例制度」を希望される方

➀、②、④の融資との併用になり、各利率 +0.2%となります(事業承継・集約・活性化支援資金(企業活力強化貸付)を適用する場合は上乗せはありません)。

ただし、「経営者保証免除特例制度」については、法人と経営者の一体性の解消が図られていること等があります。

「ソーシャルビジネス支援資金(企業活力強化貸付)」を希望されるNPO法人の方

➀、③、④の利率 +0.1%となります。

⑦小規模事業者経営改善資金、生活衛生改善貸付を希望される方

特別年利F
1.11

(平成30年8月24日現在、年利%)

⑧その他

挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)については、毎年の業績に応じた利率が適用されます。
遅延損害金の割合は年8.90%です(平成30年4月1日から平成31年3月31日までの貸付け)。
なお利率は、金融情勢によって変動しますので、お借入金利(固定)は、記載されている利率とは、異なる場合があります。

 

参照HP:国民生活事業(日本政策金融公庫)

事業融資別金利

どの事業融資制度でどの利率が適用されるかは、下記を参照してください。

普通貸付 ほとんどの事業者が対象となる最も一般的な事業融資で利率は基準金利
セーフティネット貸付 ・経営環境変化対応資金:基準利率、特利R・T
・金融環境変化対応資金:基準利率
・取引企業倒産対応資金:基準利率
新企業育成貸付 ・新規開業資金:基準利率、特利A・B
・女性、若者/シニア起業家支援資金:基準利率、特利A・B
・再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資):同上
・新事業活動促進資金:基準利率、特利A・B・C
・中小企業経営力強化資金:基準金利、基準金利-0.1%、特利S、特利S-0.1%
企業活力強化貸付 ・企業活力強化資金:基準利率、特利A・B・C
・IT資金:同上
・海外展開・事業再編資金:同上
・地域活性化・雇用促進資金:同上
・ソーシャルビジネス支援資金:基準利率、特利A・C
・事業承継・集約・活性化支援資金:基準利率、特利A・B・C
・観光産業等生産性向上資金:基準利率、特利A・B
環境・エネルギー対策貸付 ・環境・エネルギー対策資金:基準利率、特利A・C
・社会環境対応施設整備資金:基準利率、特利A・B・C
企業再生貸付 ・企業再建資金:基準利率、特利A・C

各利率には幅がありますが、利用する融資制度の融資額・資金使途や借入期間によって変動します。

しかし、一度適用された金利は返済完了まで変わらない固定金利なので安心して利用できます。

中小企業事業

事業者融資は「中小企業事業」でも提供されています。

国民生活事業で提供されている事業者融資のほとんどでは中小企業事業でも利用することができます。

事業者の規模によってどちらで利用するかを選択しましょう。

利率は中小企業事業のほうが低く、5年毎に金利を見直しできる制度もあります。

また代理貸付制度があり、希望があれば日本公庫中小企業事業の代理店で申し込みをすることも可能となっています。

貸付期間 主な貸付利率
 基準利率 特別利率1  特別利率2  特別利率3 
5年以内 1.21% 0.81% 0.56% 0.31% 
5年超6年以内 1.21% 0.81% 0.56%  0.31%  
6年超7年以内 1.21% 0.81% 0.56%  0.31%  
7年超8年以内 1.21% 0.81% 0.56%  0.31%  
8年超9年以内 1.21% 0.81% 0.56%  0.31%  
9年超10年以内 1.21% 0.81% 0.56%  0.31%  
10年超11年以内 1.22% 0.82% 0.57% 0.32%
11年超12年以内 1.24%  0.84% 0.59%  0.34% 
12年超13年以内 1.26% 0.86% 0.61%  0.36% 
13年超14年以内 1.29% 0.89% 0.64%  0.39% 
14年超15年以内 1.40% 1.00% 0.75%  0.50% 
15年超16年以内 1.40% 1.00% 0.75%  0.50% 
16年超17年以内 1.40% 1.00% 0.75%  0.50% 
17年超18年以内 1.40%  1.00% 0.75%  0.50% 
18年超19年以内 1.50% 1.10% 0.85%  0.60% 
19年超20年以内 1.50% 1.10% 0.855 0.60%

融資金利を引き下げる方法

融資制度によって適用する利率が決められていますが、複数の利率が適用できるケースや、同じ利率でも幅があります。

例えば、「女性、若者/シニア起業家支援資金」の場合は、条件によって次の利率が適用されます。

・運転資金および設備資金:特利A
・技術・ノウハウ等に新規性がみられる方の運転資金および設備資金:特利B
・土地取得資金:基準利率

それぞれの適用利率を比較しても大きな差があります。

まずは条件を満たすかどうかをよく確認する必要があります。

・基準金利:1.81~2.4%
・特利A:1.41~2.0%
・特利B:1.16~1.75%

特利Bの最低金利と最大の基準金利では1%以上の差があります。

さらに同じ適用利率の中でさらに金利を引き下げるには、担保提供や返済期間が影響します。

中小企業事業の利率表を見るとわかるとおり、返済期間は短いほど低金利となります。

また提供できる担保物件があれば、さらに金利を引き下げることが可能です。

ちなみに金利によってどれくらいの返済額に違いが出るかを事前に知りたい場合は、日本政策金融公庫のホームページにある返済シミュレーションを利用しましょう。

日本政策金融公庫のメリット・デメリット

日本政策金融公庫は政策によって設立されているので中小企業にとっては大きなメリットがあります。

その反面、デメリットもあるのでそれを踏まえた上で利用しましょう。

日本政策金融公庫のメリット

日本政策金融公庫のメリットは以下の点です。

・低金利(固定金利)
・長期返済が可能
・無担保融資が基本
・審査通過率が高い

低金利の融資には銀行融資もありますが変動金利が多く、同じ固定金利で比較すると日本政策金融公庫のほうが低金利です。

また、多少金利は高くなりますが、日本政策金融公庫の融資では最長20年の返済期間も利用できるので、高額な創業融資や設備資金にも利用できます。

基本的には無担保で融資を受けられ、担保提供をすれば金利を下げることができるのもメリットです。

日本政策金融公庫には中小企業を支援するという目的があるので、銀行融資と比べても審査を通過しやすいという特長があります。

また、「小規模事業者経営改善資金」といった融資制度もあるので、個人事業主や自営者でも利用しやすいというのもメリットのひとつです。

税理士を味方に付ければ審査通過率が上がることも

顧問税理士がいる場合と顧問税理士がいないばあいでは、顧問税理士がついている経営者の方が信頼は高いと言えます。

なぜなら、「税理士がついていながらいい加減な事業計画書を作ってもったくることはまずありえない」と融資担当者に判断される可能性が高いからです。

とくに創業融資では、申込んだ時点では経営者に何の返済実績もないため、公庫の融資担当も審査が慎重になります。

はじめて日本政策金融公庫から融資を受けるときは、税理士のサポートを受けて有利に審査をすすめられるようにするのも効果的です。

税理士を探すときは、全国4,200名以上の税理士が登録している税理士.comというサイトを活用してみてください。

税理士と顧問契約を結ぶのが初めてという方は、まず自社の業界に強いかどうか、そして自分と年代が合うか合わないかをチェックしながら、候補を絞り込んでいきましょう。

日本政策金融公庫のデメリット

基本的に日本政策金融公庫を利用するのにデメリットはありませんが、注意する点はあるので利用前に確認しておきましょう。

・創業資金の借り入れは自己資金が30%程度必要
・融資審査に時間がかかる

日本政策金融公庫で創業資金の融資を受ける場合など、融資制度によっては自己資金が必要なことがあります。

自己資金比率は平均30%といわれています。申し込みをする前に担当者に十分相談しておきましょう。

日本政策金融公庫の弱点は融資に時間がかかること

日本政策金融公庫は、融資実行までにかかる期間の平均が3週間となっています。

事業主には、急な資金不足のために、即座に資金を調達しなければいけない事態がやってくることがあります。

クライアントの未払いや経済情勢の悪化といった予期せぬアクシデントだけではなく、業績好調の波に乗り先行投資したために手元の資金が…という嬉しい悲鳴もあることでしょう。

このとき、日本政策金融公庫から融資を受けようにも、融資までに時間がかかってしまい、必要なタイミングで資金を調達することができません。

急を要する資金調達はビジネスローンを利用する

日本政策金融公庫では、融資までに時間がかかってしまいますが低金利で融資を受けられるメリットには代えられません。

そこで、急を要する資金調達はノンバンク系のビジネスローンを利用し、政策金融公庫から融資を受けることができれば、そのお金でビジネスローンを繰上返済するという方法をおすすめします。

ノンバンク系のビジネスローンは金利が平均15%。金利だけを考えると利用に不安を感じるかもしれませんが、低金利の融資を得られるまでのつなぎ融資として、計画的に利用すれば現状を打破するための武器になります。

オリックスVIPローンカードBUSINESSオリックスVIPローンカードBUSINESSは、当日14:30までの審査申込なら最短60分で審査が完了。最短即日で融資が実行されます。

また、オリックスVIPローンカードBUSINESSは年会費が必要ないにもかかわらず、オリックスグループの幅広い事業と提携した優待サービスを受けることができます。

・オリックスレンタカーのレンタル料金10%オフ
・オリックスグループの運営するホテルが優待価格で利用できる

オリックスVIPローンカードBUSINESSは、上記のようなビジネスで役立つ多数の優待サービスを揃えています。

資金使途も事業用に限ってはいないので、自由度の高いカードローンです。

金利いらずで即日資金調達が可能なファクタリング

また、金融機関に頼らない資金調達方法として、ファクタリングというサービスがあります。

ファクタリングは売掛債権を現金化し、資金調達をする方法です。

融資を受けるわけではないため、金利が発生することなくキャッシュフローの改善ができるメリットがあります。

しかし、現金化する際に手数料を必要とする点がデメリットとなります。

ただ、手数料は売掛先が支払えなくなるリスクごと買い取ってくれたと思えば納得できる金額(平均20%程度)になっています。

売掛先を含めず、ファクタリング会社と2社間で行う取引であれば、売掛債権を即日現金化することも可能。ビジネスローンと合わせて検討したい資金調達方法です。

ビートレーディングでのファクタリングなら最短即日で現金化も可能です。

また、ビートレーディングなら2社間、または3社間ファクタリングの両方に対応しているため、売掛先の取引先に債権譲渡の事実が発覚することはありません。

取引先に知られずに売掛債権を現金化できるので、信頼関係を維持したまま資金調達が可能です。

日本政策金融公庫に申込むときの流れ

最後に、日本政策金融公庫の申込の流れを解説します。

日本政策金融公庫に申込むときの流れは以下の通りです。

1.窓口で担当者に相談・申込書を提出
2.申込書に添付する書類を準備
 ・創業計画書
 ・設備資金の申し込みの場合は見積書
 ・履歴事項全部証明書または登記簿謄本(法人の場合)
3.申込書の提出は窓口で行ないますが、オンラインでも可能。
 その場合、添付書類は郵送する。
4.事業計画に関する面談
 店舗や工場などへの訪問もある。
5.融資決定後、契約書を作成
6.融資実行

面談をする理由は代表者や個人事業主の人柄を確認するという意味があります。

事業計画の内容についても偽りのない記載をして、誠実であることをアピールしましょう。

まとめ

日本政策金融公庫は、特に中小事業者にとっては小口融資から創業資金といった高額な事業資金まで調達できる便利な金融機関です。

低金利・無担保で借り入れができるので、中小企業経営者は融資を利用する場合は最初の選択肢として検討しましょう。

また、融資は同じ金融機関を何度も利用すると、実績になり次の融資の条件が良くなります。

日本政策金融公庫も繰り返し利用することで、金利も下がり審査期間も短くなるメリットがあります。

低金利融資は一度だけでなく何度も利用してさらにメリットを高めましょう。

関連記事