2019/11/11

ビズローンがお届けするプロフェッショナルインタビュー!

今回は、京都市東山区にある税理士法人らくよう綜合研究所|猪口公認会計士事務所の猪口建太朗先生にお話をお伺いしました。

実は、このインタビューを行う前日に、猪口先生からこんなメールをいただいていたのです。

(資金調達の)事例はいろいろありますが…

逮捕歴や金融事故歴のある事業者さまでも、融資引き出しに成功しています。

金融機関によって許容してくれる要素としてくれない要素があるので、その辺の実務ノウハウがうちの強みのひとつかもしれません。

成功率100%という訳ではないですが、ふつうの会計事務所より踏み込んだ準備・交渉をしていると思います。

「金融機関によって許容してくれる要素としてくれない要素がある」

「ふつうの会計事務所より踏み込んだ準備・交渉」

ビズローンを見ていただいている中小企業経営者・個人事業主なら、とても気になる内容ですよね?

今回のインタビューでは、猪口先生から資金調達の裏側についてたっぷりとお話をお伺いしました。

最後まで読み逃しのないように、よろしくお願いいたします。

猪口健太朗

京都市生まれ。

銀行系証券会社を経て、新日本有限責任監査法人に入所。
金融部に所属し、銀行業、証券業、投資顧問業、ファンド(投資信託、SPC等)の監査・保証業務に従事。
他方で、事業再生を専門として財務・事業デューデリジェンス、事業系計画策定支援に関与。特に東日本大震災後において、被災企業(主に中小企業・零細事業者)の再生案件に多数関与した実績があり、平成24年から東日本大震災事業者再生支援機構(仙台)に駐在派遣。
平成26年に新日本有限責任監査法人を退職後、猪口公認会計士税理士事務所を京都にて開業。
同年、経営革新等支援機関として財務局・経済産業局より認定。

ビズローン編集長の田中です

ビズローン編集長:田中
当サイト「ビズローン」の運営をしております、田中と申します。
中学3年生のとき、父親の借金によって家庭が崩壊・・・。
その後、母親の勤務している医療法人の奨学金制度を利用して4年制大学へ。
毎月5万円ずつの奨学金の返済を継続中。
しかし、この借金を背負ってでも、大学に行った経験はかけがえのないものとなっています。
借金の酸いも甘いも知るオトコとして、みなさんの資金調達のお困りごとを解決するサポートをしていきます!

逮捕歴や金融事故歴があっても金融機関から融資は可能?

 
猪口先生。今日はよろしくお願いします。
猪口健太朗さん

よろしくお願いします。

 

さっそくですが、事前にいただいていたメールにあった内容を是非お伺いさせてください!「逮捕歴や金融事故歴のある事業者さまでも、融資引出しに成功している」とあって、単純にすごいなと思いました。
猪口健太朗さん

ありがとうございます。この辺りは、ケースバイケースということになります。逮捕歴や金融事故歴があると、当然それは非常にネガティブな要素にはなりますし、金融機関によってはそれだけで足切りという場合もあり得ると思います。ただ、事情は人それぞれなので、形式論だけで絶対NGになるという訳ではないと考えています。ですので、それが理由でうちが謝絶するということは少なくともありません。

どういう理由で逮捕歴がついてしまったか、金融事故がおきてしまったのかが説明できれば、金融機関から資金調達は不可能ではないと?
猪口健太朗さん

はい。高いハードルではありますが、不可能ではないです。あくまで私の経験と私見ですが、金融機関によって審査のポリシーはそれぞれなので、逮捕歴や金融事故歴があった場合にどのような審査プロセスが進んでいくのかは金融機関によって異なりますし、決裁者によって判断が変わるケースもあり得ると思います。ですので、基本的にはあきらめずに前向きに検討していくというのがうちの姿勢です。

金融機関の審査って、意外と定性的な判断もされているんですね。
猪口健太朗さん

ただしこの話は、事業計画と資金計画、そして自己資金がしっかりしていることが前提です。なので、足元が火の車状態の人では、当然難しいと思いますが。どのような背景があったとしても、まじめに目の前の事業に取組しようとされていて、事業計画・資金計画・自己資金がしっかりしているならチャレンジする方針で模索する価値があると考えています。

ふつうの会計事務所よりも踏み込んだ準備・交渉とは

そこで、猪口先生ならではの「ふつうの会計事務所より踏み込んだ準備・交渉」が活きてくるわけですね!具体的にはどういうことをしているんですか?
猪口健太朗さん

金融機関に融資を申請する際の補足資料作りです。例えば日本政策金融公庫にしろ、地方金融機関にしろ、融資の申請をする際には大抵決まったフォーマットがあるんですよ。会社の概要や簡単な事業計画などを記入する用紙で、普通はそれらの用紙の作成と、必要資料(確定申告書や決算書など)の提出を求められるくらいだと思います。

日本政策金融公庫 創業計画書

日本政策金融公庫 創業計画書

これさえ埋めればOKなんですか?
猪口健太朗さん

創業融資の場合は、基本的にはそんな感じだと思います。むしろ、みなさんそれを一生懸命埋めるために頑張るわけです。はじめての融資だと、これも自力で作成しきれないという経営者の方もいらっしゃいます。慣れ不慣れがあるので仕方がないですが。

その基本フォーマットにプラスアルファで添付する資料を作成しているんですね。どれくらいのボリュームなんですか?
猪口健太朗さん

だいたい20ページくらいですね。

 

20ページですか!?すごいですね…。
猪口健太朗さん

会計事務所を開業した当時、もともと僕自身が普通の融資申請の感覚がなくて、これくらいしっかりした資料を用意しないと融資は難しいんだろうなと思っていたっていうのが経緯なんですが。今でもその当時の水準で仕事を続けているというオチになります。

相談にこられる方もそういうイメージを持っているんじゃないですかね。「一枚の申請用紙だけで本当に大丈夫なのかな…?」と、初めての融資に対する不安を抱えている人がいるんじゃないかなと思います。
猪口健太朗さん

たしかにそうかもしれないですね。

 

その補足資料って、どんな内容になっているんですか?
猪口健太朗さん

例えば飲食店を出店する場合、お店の概要や出店する場所の立地、調理工夫、略歴を掲載します。それから大事なのが競合分析ですね。資金調達の際は、「自社の強み」を教えて下さいって絶対聞かれるんですよ。または、書類に記載する箇所があります。でも、自分でそれを言葉にするのって意外と難しいので、それを確認・表現する為にも競合店の特徴や強みを一緒に考えてみて、それと比較して自分のお店はどうなのかってことを検討します。そして自己資金。創業融資の場合は特に大事なのが自己資金になりますが、これまで開業に向けてどのように準備を進めてきたのか、きちんとストーリーを伝えられるように工夫します。もちろん、本人の信用情報などについても正直に自己申告で記載します。

なるほど…。ボリューム満点の資料ですね!作るの大変じゃないですか?
猪口健太朗さん

大変ではありますが、これをやっておくと、事業に対するうちの理解も深まるので。その後の、お付き合いでも適切な助言等を行っていく予備知識になりますね。例えば、補助金の申請をしたいってなったときなどにも役立つんです。

じゃあこの補足資料は、お客様への今後の提案にも役立つわけですね。
猪口健太朗さん

そうですね。あとは、金融機関の担当者が行うプレゼンを助けてあげるという視点もありますね。

金融機関の担当者のプレゼンを助けるというと?
猪口健太朗さん

金融機関に融資の申請をしても、窓口になる担当者に決裁権があるわけではないので。彼らは申請された書類を上にあげて、上席者にプレゼンするんです。稟議をあげる、というやつです。そのプレゼンの準備のために、融資担当者は何度も経営者と面談を重ねたりするわけですが…。

なるほど。
猪口健太朗さん

ちょっと失礼な言い方になるのですが、例えば、こちらの知らないところで、担当者の方のプレゼンがまずくて、融資が通らなかったらいやじゃないですか。だから突っ込まれそうなところは先回りして潰しておくっていう感じで、補足資料を作っています。

確かにそうですよね。紙一枚の申請用紙だけだと、会社の実態がイメージしにくいですし、猪口先生が作られるこの補足資料は効果絶大だと思います。

融資にむけた会計士のサポートはメリットになる?

やっぱり、中小企業や個人事業主が金融機関から事業資金を借りようと思うと、会計士さんや税理士さんにサポートしてもらう方が借りやすいのでしょうか?
猪口健太朗さん

可能性はありますね。金融機関によっては顧客管理データベースに、顧問税理士が誰なのかの情報まで入っているそうです。

そうなんですね!?
猪口健太朗さん

手前味噌になるので、あまり言いにくい感じもありますが。特に創業者の場合などは、一人で融資の申請にいくよりは、税理士と一緒に行った方がもちろんいいと思います。例えば、半年ごとに試算表の提出を求められるようなこともありますが、そういった基本的な説明能力が備わっていないと心象はよくないケースもあるかもしれません。本当に大切なのは、お金を貸した後なので。

お金を貸す前よりも、貸した後ですか?
猪口健太朗さん

だって、融資の入り口でどれだけ印象がよくても、返してもらえなければ金融機関はとっても困るわけですから。裏を返せば、入り口の印象が悪くても、借りたお金をちゃんと返していけるなら問題ないかもしれません。融資後の返済期間は、大抵の場合は数年間となりますので、その将来の長い期間にわたってきちんとしたお付き合いをしていけるのか、ということを金融機関は審査しているともいえます。

なるほど!わかりやすいです。
猪口健太朗さん

ですので、僕らからすれば緊張感があるんですよ。経営者の方から融資の相談があれば、僕らは金融機関をご紹介したりするんですが、それはある面では僕たち自身の信用を供与しているようなものなんで。税理士からの紹介が融資を獲得するためのプレミアムチケットではないということは覚えておいてもらいたいですね。「うちの紹介だったら大丈夫」みたいなこと言う税理士もいるみたいですが、そういう甘い考えの事務所は止めといた方がいいのではないかと…私個人としては思います。今のところ具体的な事故事例はないですけど、もし、金融機関に紹介した方に万が一のことがあれば…という緊張感を常にもって取組しています。

創業融資の候補は日本政策公庫だけではない

最後にお伺いしたいのですが、猪口先生の下によせられる資金調達の相談はどんな相談が多いですか?
猪口健太朗さん

創業融資のご相談が多いです。100万円や200万円の少額であれば、自分でいろいろ調べたり、同じく創業した友人に相談するなどして、自身でがんばって融資の申込に行かれる方が多いような気がします。他方、1,000万円とか1,500万円になると、自分の力だけではなかなか難しそうだ…という感じで。年に何件かは創業の前段階からのご相談を受けています。

創業融資ということは、日本政策金融公庫?
猪口健太朗さん

いや、そうとも限らないんですよ。実は京都だと、公庫よりも信用金庫から創業融資を受けた方がいいケースがあるんです。

そうなんですね!創業融資といえば日本政策金融公庫の新創業融資がマストなんだと思っていました…。
猪口健太朗さん

公庫はもちろん悪くないですよ。手続きも比較的楽な方ですしね。ただ、日本政策金融公庫の新創業融資はたぶん2%超くらいの利率だったと思いますが、京都信用金庫の「ここから、はじまる」という創業者向けの融資制度は年1.2%~2.0%で融資が受けられるんです。

すごい!日本政策金融公庫よりも低金利で創業資金が借りられるんですね。
猪口健太朗さん

しかも、最初の16ヶ月~最大28ヶ月までは当座貸越でお金を借りることができて支払は金利のみ。それ以降は証書貸付方式に切り替えて返済していくっていう面白い仕組みなんです。

公庫で借りた場合だと、返済の据置は原則1年までなので、「ここから、はじまる」の方がかなりお得に感じますね。
猪口健太朗さん

ただし、当たり前ですが、「ここから、はじまる」を利用するためにはいくつか要件をクリアしていないとだめなので、その点は注意が必要です。所要金額の80%以内しか融資してくれないので、必要なお金に対して自己資金が最低でも20%以上必要になります。

自己資金20%はなかなか大変そうですね。
猪口健太朗さん

そうなんです。だから、いろいろな状況を総合的に判断して、資金調達をする先を考える必要があるんですよ。創業資金といえば公庫というイメージは強いかもしれませんが、自己資金要件がクリアできるなら信用金庫など民間金融機関の方が低金利でお得になる場合もあります。また、目先の金利条件だけでなく、今後の資金ニーズを考えて、公庫と関係を構築するために公庫からもお金を借りるというパターンも考えられます。このように、将来的な資金調達や金融機関とのお付き合いを考えたうえで、プランを検討していきます。

冒頭で紹介した、猪口先生特性の補足資料が活躍するわけですね。頼もしい言葉が聞けてよかったです!本日はありがとうございました。

税理士法人らくよう綜合研究所 猪口公認会計士事務所|基本情報

猪口先生がいらっしゃる税理士法人らくよう綜合研究所 猪口公認会計士事務所の基本情報です。

会社名 税理士法人らくよう綜合研究所 猪口公認会計士事務所
代表者 猪口 健太朗
所在地 〒605-0811 京都府京都市東山区大和大路通四条下る4丁目小松町557-7
TEL 075-200-3508
営業時間 10:00-18:00
定休日 土日祝日
公式ホームページ 京都府祇園四条駅から徒歩5分!税理士法人らくよう綜合研究所 猪口公認会計士事務所
ビズローン編集長の田中です
執筆者からのコメント
ビズローン編集長:田中 さん

今回お話を聞かせていただいたのは、京都市東山区にある税理士法人らくよう綜合研究所|猪口公認会計士事務所の猪口建太朗先生でした。

事前に送られてきたメールにかかれた「金融機関によって許容してくれる要素としてくれない要素がある」、「ふつうの会計事務所より踏み込んだ準備・交渉」についてたっぷりとお話を聞くことができ、また新しい発見があったインタビューになりました。

ちなみに、猪口先生が作成されている20ページにもわたる補足資料は、東日本大震災の後、仙台市で注力されていた事業再生で得たスキルが元になっているそうです。

当時の活躍は猪口先生のプロフェッショナルインタビュー番外編にて紹介しているので、そちらも合わせてご覧ください。

猪口先生、ありがとうございました!