2019/02/21

女性フリーランサー

正社員をやめてフリーランスになれば、何にも縛られず自分で稼いだお金はすべて自分のものになると思っていませんか?

実際のところ、年度末の確定申告で税金や保険料をまとめて支払うことになるので、その考えを持っていると最後に大きなしっぺ返しを食らってしまう可能性があります。

では、フリーランスが手にすることができる手取り金額は、収入の額面に比べていったいどの程度になるのでしょうか。

今回は、フリーランスの手取り金額を計算する方法と、手取り額を増やす方法をご紹介します。

正社員として会社に属していたころとは大きく異なる計算方法になりますので、フリーランスなり立ての方やこれから目指そうとしている方はしっかりチェックしておいてください。

フリーランスが納めなければいけない税金・保険料と手取り金額

フリーランスになっても、税金が安くなるわけではありません。会社が給料天引きで納めてくれるか、自分で納めるかといったプロセスが違うだけです。

納付しなくてはいけない税金や社会保障税は下記の通りです。

・所得税
・復興所得税
・国民年金
・国民健康保険
・介護保険料
・住民税(市民税・県民税)
・個人事業税
・消費税
・予定納税

数が多いので順番に解説します。

所得税

所得税は所得のあるすべての国民の義務であり、年収に応じて課税されます。

課税率は下記のとおりです。

年収 税率 控除額
195万円以下 5% 控除無し
195万円超えから330万円以下 10% 97,500円
330万円超えから695万円以下 20% 427,500円
695万円超えから900万円以下 23% 636,000円
900万円超えから1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超えから4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超え~ 45% 4,796,000円

例えば年収900万円なら636,000円を含む各種控除を引いた金額に23%の所得税がかかります。

復興特別所得税

基準所得税額×2.1%が震災の復興にあてられます。

国民年金

国民年金は一律に課せられるので、年収によって支払額が変わる事はありません。

ここのところ毎年値上がりしていて、平成30年は月額16,340円(1年で196,080円)となります。

国民健康保険

国民健康保険税は年収ベースではなく、世帯ごとに計算されます。

計算式は下記の3つの金額を合計したものとなります。

【所得割額】
前年の総所得金額等-基礎控除33万円×5.65%

【均等割額】
被保険者数(加入者数)×24,500円

【平等割額】
1世帯につき17,600円

かなりおおざっぱな計算ですが、大体年収の10%ほどに落ち着きます。

介護保険料

40歳を超えた場合、さらに介護保険料が上乗せされます。

金額は年齢によって異なりますが、大体ひと月5,000円ほどです。

住民税

市民税と県民税を合わせたものを住民税と呼びます。

各自治体によって税率が異なりますが、全国平均で年収の10%程度が課税されます。

個人事業税

フリーランスは開業届を出した個人事業主なので、仕事をしているだけで個人事業税がかかります。

会社員はもちろん不要です。

事業税は下記の計算式で決定されます。税率は業界によって異なりますが、大体収入の5%です。

(収入 − 必要経費 − 専従者給与等 − 各種控除)× 税率 = 個人事業税

収入や経費によって異なりますが、年収1000万円だと、1年で20万円ほど課税されます。

消費税

売り上げが1,000万円を超えたフリーランスは8%の消費税を支払う必要があります。

経費を差し引いた年収ではなく売り上げにかかってくるので、負担が大きいです。

ただし、売り上げ1000万円なら80万円といった単純計算ではなく、仕入れ等の経費として支払った消費税を差し引いた金額になります。

こちらもフリーランスのみなので、会社員は不要です。

予定納税

最後に忘れてはいけないのが予定納税です。

予定納税は前年の納税額をベースに、来年も同じくらいの納税をするだろうという予測の下、あらかじめ来年の所得税の6割を払うというものです。

 予定納税の計算例

イメージしづらいかと思うので、順を追って紹介します。

例えば、2017年の年収が1000万円で所得税が200万円だった場合、2018年3月に200万円を支払います。これは通常の納税です。

しかし2018年の内に2019年3月に納めるはずの所得税を7月と11月の2回に分けて3割ずつ納税します。つまり合計6割を余分に支払う必要があります。

これにより2019年3月には、確定した収入の差額の分だけを納める事になります。

つまり、2017年に年収1000万円の人は、2018年内は200万円+120万円の所得税がかかるので、大きく稼げた次の年は税金が非常に重くなります。

なお、会社員の場合は年収2,000万円以上か、給与所得と別の収入源がある人以外には関係が無い制度です。

フリーランスの手取り金

これらの税金を考慮すると、大体年収の3~4割が支払いに消える事になります。

年収1,000万円でも手元に残るのは600万円前後という事です。

この数字から思ったより手元に残らないと感じる方も多いのではないでしょうか。

正社員との手取り金の違い

同じ手取り金額で正社員とフリーランスを比べた場合、実は正社員の方が有利です。

正社員には会社が一部負担してくれる厚生年金や、天引きで積み立てしている退職金があるからです。

福利厚生のある正社員

正社員の手取り金は各種税金や社会保障費に加えて、老後の保障を積み立てした後に残った数字ですが、フリーランスの手取り金は最低限の支払いを済ませた後に残った数字にすぎません。

単純に同じ手取りで比べた場合、各種積み立て込みの正社員の方がフリーランスより生涯年収が多いのです。

しかも正社員には有給休暇のような直接給料に反映されづらい形の保障もあります。

自己責任のフリーランス

フリーランスは税金や社会保障費に関する全ての事務手続きを自分で行う必要があるので、入ってきたお金を全部使ってしまうと税金に納める分が足りなくなって大変な事になります。

病気で働けなくなっても会社員のように有給休暇を使って休むことはできません。

正社員と違って勤務先の会社の制度の中で自動的に老後資金が積み立てられたりしないので、別途自分で積み立をする必要があります。

フリーランスの手取り金シミュレーション

実際にフリーランスが必ず納めなくてはならない費用を差し引いて手取り金を計算する簡易シミュレーションをしてみました。

【条件】
・売り上げ800万円
・各種経費300万円
・差し引き年収500万円
・青色申告の個人事業主で扶養家族無し

扶養家族の数や住民税を払う自治体、入っている保険の種類等の細かい控除の条件は異なるのでご注意ください。

クラウド会計ソフト「弥生の青色申告オンライン」を使ってみた

シミュレーション計算結果

 今回は、クラウド会計ソフトの「やよいの青色申告オンライン」の個人事業主のかんたん税金計算を元に、詳細な手取り金のシミュレーションを行いました。

※「やよいの青色申告オンライン」は個人事業主の帳簿付けや確定申告でとても役に立つので、導入がおすすめです。

所得税(復興所得税含む)

500万円が手元に残った場合、所得税は37万4000円になります。

住民税(市民税・県民税)

次に住民税です。この条件なら40万7000円を収める必要があります。

国民年金

16,410円×12か月で19万6920円です。

国民健康保険

国民健康保険は42万9000円となります。

会社員、フリーランスを問わず負担が重いです。

しかも今後値上がりしていくことは間違いありません。

個人事業税

500万円-控除金290万円×5%=105,000円です。

予定納税

所得税の6割なので22万4400円です。

消費税

年商1,000万円未満なので消費税はかかりません。

手取り金

以上の条件で計算したところ、納付金額は173万6320円となりました。

売り上げ800万円、各種経費300万円、差し引き年収500万円の手取り金は326万3680円となります。

800万円の売り上げがあるという事は、毎月66万円ほどが入金されます。

しかし、経費や税金、社会保障費を差し引くと、実際に自由になるお金はたった27万円に過ぎないという事です。

フリーランスは、この中から家賃や光熱費など自分の生活にかかるお金を賄うことになります。

手取り金額を増やす方法

このような厳しい状況の中で、フリーランスはいかに手元にお金を残すか知恵を絞って対策する必要があります。

効果的な対策としては下記の3種類があります。

・経費の見直し
・法人化
・年金積立

順に内容を解説します。

経費の見直し

最初に行うのは経費の見直しです。

パソコン、電気代、レンタルオフィス代などは経費として認められています。

事務所家賃

自宅を事務所にしている場合は、仕事部屋が分かれている場合のみ、作業部屋の床面積の比率を家賃にかけて控除できます。

例えば2DKで10万円の家賃を払っている場合、一つの部屋を仕事部屋にすれば、大体3万円分は経費にすることが可能です。

電気通信費

電気代や通信費も私的利用とプライバシーの比率がある程度分かる資料があれば、一部を経費に回せます。仕事用にスマホを分けている場合は機種代を含め、全額経費になります。

その他の経費

また、仕事用の資料は新聞書籍費、文房具類は消耗品費になりますし、打ち合わせの時の飲食代は会議費や交際費に回せます。

相手のオフィスに出向く時の電車賃やタクシー代も旅費交通費という経費になります。

このように仕事に必要な費用は領収書を保管しておくことで、きちんと経費に組み込んで節税をしましょう。

法人化

自分でビジネスを行う場合、大きく分けて2つの業態があります。

法人

法人には有限会社や株式会社、合同会社があります。

フリーランスが法人化することで会社と自分に分けてお金を残すことが出来ます。

 法人化のライン

各種税金の計算結果から、青色申告から節税効果の出るラインは約900万円といわれていますが、税理士への支払いを考慮すると現実的には1,200万円位が妥当です。

税理士に依頼をすると、月額3~4万円程度の費用が掛かりますし、決算月だけは費用が3倍になるといった契約が多いです。

加えて法人化は収入が安定するか分からない部分がありますから、ギリギリの数字で法人化するのはおすすめできません。

税理士と契約する事で税金関係の事務仕事を全部依頼できる代わりに、50万円ほど余分に経費がかかります。

その為、事務処理にかかる時間やビジネスのスケールを考慮して検討してください。

個人事業主

もう一つは個人事業主。白色申告や青色申告で確定申告を行うスタイルです。

【白色申告】

白色申告の場合は単式簿記でよいので確定申告が非常に簡単ですが、控除金額が10万円しかありません。

【青色申告】

青色申告は各経費の内訳を全部記載したり、複式簿記にする手間がありますが、控除金額は65万円になります。

退職後にいきなり法人化する人は少ないと思われますから、これからフリーランスになるのなら面倒でも青色申告をするのは最低ラインの節税対策です。

ただ、個人事業主の段階で確定申告を税理士に頼むのは、経費の面からおすすめできません。

やよいの青色申告オンライン」なら初年度無料で使えますので、まずはこちらで青色申告をすすめるのがおすすめです。

年金積立

フリーランスには厚生年金がありません。国民年金だけを納めればいいのですが、老後に受け取れる金額に大きな差が生じます。

国民年金だけのフリーランス

国民年金を40年間支払い続けると、受取金額は年間78万円となります。これだけでは生活は厳しいでしょう。

手厚いサラリーマン

サラリーマンの場合は会社が厚生年金を払ってくれているので78万円に上乗せ分があります。

厚生年金は年収によって異なるのですが、月に14万円程が平均とのことですから、年間168万円くらいの支給額になります。

つまり国民年金と厚生年金を40年間積み立てているサラリーマンは、現役時の給料にもよりますが、退職後に年間240万円ほどが支給されますし、退職金もあります。

積立と節税を両立させよう 

フリーランスに定年はありませんが、退職金も厚生年金もないので、自分で様々な制度を使って積み立てをする必要があります。

国民年金基金や確定拠出年金、小規模企業共済に加入する事で対策が出来ます。

これらの支払金は全て経費になるので、老後の備えになると同時に節税効果があります。

まだ対策をされていない方は是非検討してみてください。

まとめ

フリーランスは収入の約3~4割を確定申告で支払うことになります。

また、正社員だと会社が負担してくれていた税金や保険料が全て自己負担となるため、例え月々の収入が増えたとしても、生涯収入で考えるとマイナスになってしまう可能性もあります。

そうならないためには、日ごろから節税や経費のことを意識し、手取り金額が最大になるように努力をしなければなりません。

好きなことで手に職を付けお金を稼ぐことができる。その裏には、今回紹介したような見えない努力も必要なのです。