フリーランスという言葉を聞くと、自由気ままな働き方と思われるかもしれませんが、決して自由なだけがフリーランスではありません。
企業や団体に所属しないという点では確かに自由な仕事です。しかし、企業や団体に所属していたことで得られていたメリットを一切失うことにもなります。
例えば税金について、会社勤めであれば企業があなたに代わり所得税と住民税を納めてくれますが、フリーランスの場合は自分で納税する必要があり、そのための時間と労力がかかります。
フリーランスとはいえ、自身で事業を行い、生計を立てる事業者に他なりません。
このように伝えると「では、フリーランスとは個人事業主のことなの?」と疑問を感じた方もいらっしゃるでしょう。
今回は、フリーランスとはいったい何なのか、個人事業主との違いはあるのかを解説し、フリーランスとして働くために必要なことをお伝えします。
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【ライター】嶋崎 -
当サイトを運営している嶋崎と申します。
わたしは経営の経験はありませが、サイト運営に携わり約2年が経過するなかで、事業主のお金の悩みは特有であることを勉強してきました。
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フリーランスと個人事業主の違い
結論を言うと、フリーランスとは働き方のことで、個人事業主とはフリーランスという働き方を選んだ人の税制上の呼称になります。
つまり、両者は意味こそ同じくしていますが、使われる文脈、シーンが異なる言葉なのです。
フリーランスは、雇われるか雇われないかという働き方に関する文脈で「誰かに雇われず自分の力で身を立てる人」として使われます。
一方で個人事業主というのは税法上、とりわけ所得税と住民税あるいは個人事業税というカテゴリーで重要になります。
個人事業主は開業届けを出し、自ら売上・経費などの勘定を行い、各年度末には白色申告または青色申告を行って納税をします。
フリーランスとフリーターの違い
フリーランスとフリーターもよく混同されてしまいがちな言葉です。
内閣府によると、フリーターとは学生や主婦を除く若年者のうち、パート・アルバイトで働いている人や、パート・アルバイトで働く意志のある無職の人を言うそうです。
一般的に見ても、仕事を受注する身であるフリーランスと違い、直接雇用されているもしくは直接雇用されたいという人たちのことを指している言葉です。
フリーランスは直接雇用ではなく、業務委託という形で仕事を受注することが多く、雇用形態をみるとフリーランスとフリーターの違いは一目瞭然です。
フリーランスをしていて「フリーターと同じでしょ?」と聞かれた際はこのように回答するのがいいでしょう。
フリーランスとは
フリーランスとは働き方を意味する幅を持った言葉です。
具体的にはウェブライターや翻訳家、プログラマーやITエンジニア、デザイナーなど在宅でパソコンを使ってできる仕事は、フリーランスとして活躍されている方が多いです。
また「人に雇われない」という意味を広げれば、個人家庭教師や個人塾経営者、漁師や農家、また株やFXの個人トレーダーなども含まれるでしょう。
いずれにしても、受け取るお金は「給与(給料)」ではなく「報酬」「売上金」といったほかの呼ばれ方をします。
フリーランスに向いている仕事
また、同じ仕事であっても会社員としてやるよりもフリーランスとしてやったほうがよいというカテゴリーもあります。
ポイントは「単純作業か知的労働か」という点です。
単純作業はやった仕事の質というよりも量(時間)を評価されますから、フリーランスで同じことをやろうとすると、実質的な時間単価は最低賃金を下回ることすらありえます。
一方で知的労働の場合には、その人のスキル次第なのでいちいち会社の業務査定を待たなくても、自分で契約をとって時間単価をぐんぐん上げていくことが可能です。
そのため実績と経験を積んでいくことが非常に重要な意味を持ち、またクライアント選びもまたフリーランスとしても重要なスキルとなります。
したがって、フリーランスに向いている仕事や人物像というのは、まずスキルによって仕事の質が大きく左右される職種であることです。
また対象となる仕事に対して高いスキルを持ち、スキルアップする意思があり、さらに契約交渉から確定申告書の作成や税金の納付までを自分で行っても苦にならない人である必要があります。
個人事業主とは
個人事業主というのは税制上の区分です。
税金は所得税や住民税のほか、消費税、個人事業税が必要になることもあります。
個人事業主と法人の違い
一般的に個人事業主の対義語は法人です。
その違いは人数ではなく、法律上の届け出をして法人成りをしているかどうかです。
個人事業主の場合には税務署に開業届けを提出しますが、法人の場合は法人の設立登記をします。
個人事業主の方でも一定以上の収入になってきた場合には、法人化したほうが生活費も福利厚生という面目で経費として計上することができたりするなど、節税効果が高くなることがあります。
フリーランス・個人事業主になるには
フリーランスになること自体は、仕事をとってくるという実質的なことを除いて、特別なことをする必要はありません。
ただし、しておいたほうが良いことやフリーランスになった後にすべきことは多くあります。
具体的には下記の6点です。
青色申告の承認申請書を出すこと
会計ソフトや会計サービスを利用すること(帳簿を何らかの形で付けること)
事業用口座や事業用カードを作ること
領収書をもらい7年間保管すること
年度末に確定申告を行い、必要に応じて納税すること
開業届け
開業届けは法律上「事業の開始から1か月以内」となっていますが、特に罰則などはないため、事実上開業届けを出すか出さないかは自由となっています。
その代わり、開業届けを出すことのメリットは大きく、フリーランスとしての収入を事業所得として計上し、その収入に対して青色申告特別控除(10万円または65万円)を適用することができるようになります。
開業届けを出さない場合には、雑所得扱いとなり特に特別控除などはないため、税制上不利になります。開業届けを出すデメリットは特にないので、フリーランスとして働くのなら開業届を出しておきましょう。
青色申告
青色申告の承認申請書を出すと、青色申告ができるようになります。
青色申告は税制上の優遇があり、青色申告特別控除といって帳簿の付け方に応じて10万円または65万円の控除を受けることができます。
会計ソフトの導入
青色申告特別控除を最大限活用するためには、会計ソフトやクラウド会計サービスを利用するのが効果的です。
勘定科目の量によっては無料でできることもありますが、仮に有料であっても、領収書などを簡単入力で仕分けしてくれることや、65万円の控除を受けられるように設計されていることなどを考えれば、ぜひ利用したいところです。
事業用口座と事業用クレジットカード
そして併せてしておくと助かるのが事業用口座と事業用クレジットカード(法人カード)を作っておくことです。
フリーランスとして仕事や生活をしていると仕事上の収支とプライベートの支出とがごっちゃになることが多くあり、結果的に帳簿付けの段階で悪戦苦闘することがよくあります。
事業用口座や事業用カードというとハードルが高い印象を受けられるかもしれませんが、実際に必要なのは「事業の確認書類」「代表者の本人確認書類」などであり、特に難しいことではありません。
法人カード申し込み時の必要書類|必要書類が少ないおすすめ法人カード
領収書の保管
領収証は、経費を計上して節税対策をする場合に非常に重要となる書類です。
領収証が発行される取引においては領収証を、そうではない場合はレシートやメモでもいいので〇月〇日に△△の取引をしたことが、後で税務調査が入ったときなどに確認できるようにしておく必要があります。
もし領収証を紛失したなどの場合には経費として認められず、追徴課税されることもありえます。
領収証の保管期限は7年ですので、フリーランスとしての必要経費の取引を行った際には、ファイルなどに確実に保管しておきましょう。
フリーランスと税金
サラリーマンとして働いていた場合には、所得税や住民税などの納付は会社が代わりに行ってくれましたが、フリーランスの場合にはすべての手続きを自分でやる必要があります。
フリーランスとして、納める可能性のある税金としては
住民税
消費税
個人事業税
の4種類があります。
ただし、消費税は2年前の年間課税売上額が1,000万円を超える場合にのみ納税義務が発生し、個人事業税の場合には年間の所得合計が290万円を超える場合に業種に応じて異なる税率で課税されます。
フリーランスは必ず確定申告をすること
いずれにしても、すべての根本になるのが年度末に行う確定申告です。
確定申告では、その年の収入や所得そのほか控除などを確定させる申告のことで、フリーランスにとって避けては通れません。
確定申告の際には、収入から必要経費などを差し引いて所得としますが、その際には領収証の保管と帳簿付けが必要です。
確定申告には大きく分けて3種類の方法があります。
家で作成・印刷し税務署に提出するやり方
e-Taxですべてをオンラインで行うやり方(マイナンバーカードなどが必要)
確定申告の時期は毎年2月16日~3月15日になります。
初めて確定申告をする場合は、事前に税務署をおとずれて確定申告のやりかたを教えてもらうのがおすすめです。
直前の1月は税務署が混みあうので、11月~12月に相談に行ってみてください。
まとめ
フリーランスとは働き方のことであり、フリーランスという働き方で生計を立てる人のことを個人事業主といいます。
つまり、フリーランスとして生きていくということは、自分が自分の経営者になる(=個人事業主になる)ということなのです。
会社が与えてくれた仕事も、すべて自らの努力と責任で獲得していかなければなりません。
一方で、自らの意思で獲得し成し遂げた仕事で得られる対価は、会社から給与として与えられたものとは比べものにならない喜びがあることでしょう。
ただし、フリーランスで得た収入については、確定申告をして所得税を納める必要があり、個人の支出と事業としての支出ははっきりと区別できるようにしておく必要があります。
フリーランスを目指す方は、その点も忘れないようにしてください。