フリーランスが法人化するメリット・デメリット|法人化の目安とは

更新日:2018/12/19
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フリーランスとしての仕事が軌道に乗り始めると、会社を設立して法人化することを考える方は多いのではないでしょうか。

実は、フリーランスが法人成りすることにはただ会社を設立できるというだけでなく、他にも様々なメリットがあるのです。

特に税金に関してのメリットが多数あり、どうせ法人化するのならメリットを最大限活用したいですよね?

ではいったいどんなタイミングで法人化するのが良いのでしょうか。

今回は、フリーランスが法人化する際のメリットを紹介し、そのメリットを最大限活用するための法人化の目安をお伝えします。

フリーランスが法人化する9のメリット

フリーランスが法人化するには9個のメリットがあります。

具体的にはこんなメリットです

①経費として計上できる範囲が広がる
②自分だけではなく家族も社会保険に加入できる
③決算期を調整できる
④社会的信用が上がる
⑤取引先にマイナンバーを提出する必要がない
⑥保険の控除が受けられる
⑦消費税が最大2年間免除される
⑧収入が一定を超えると、節税効果が上がる
⑨法人が対象のサービスを受けられる

①経費として計上できる範囲が広がる

 法人化することで、個人事業主のときにはできなかった下記の費用も経費として計上できます。 

・役員報酬
・退職金
・社員(自分を含む)の給与
・福利厚生費
・社員の保険料

特に家族を従業員として雇う場合には、その給与や保険料を経費にすることで、高い節税効果が見込めます。

②自分だけではなく家族も社会保険に加入できる

法人化することで、自分だけではなく家族も社会保険に加入させることができます。

会社としては社会保険の負担が増えてしまうものの、株式会社として法人化すれば、福利厚生の点から見ると、メリットが大きくなります。

③決算期を調整できる

法人化することで、個人事業主と違い決算期を選ぶことができます。

フリーランスの場合は、決算期は12月に固定されており、変更することができません。

「決算期を調整することでメリットがあるの?」とお考えの方。

実は、決算期をずらすことで2つのメリットがあるのです。

・収入が多い時に、税金の支払いをできる
・繁忙期からずらすことで業務の負担を調整できる

会社の繁忙期と決算のタイミングをずらすことで、自分の業務に集中でき、作業負担も軽くすることができます。

④社会的信用が上がる

フリーランスが法人化することで、社会的な信用が上がります。

仕事のもらいやすさに直結するのはもちろんのこと、銀行融資や助成金の申請などにも有利になります。

また信用度が上がることで、求人募集がしやすくなります。

その分責任も増大しますが、人材が増えることで、より事業拡大もしやすくなるでしょう。

⑤取引先にマイナンバーを提出する必要がない

個人事業主の場合には、取引先にマイナンバーを提出しなければいけませんが、法人化してあれば、法人番号があるため、マイナンバーの提出が不要です。

取引先も、法人を相手に取引する場合には、源泉徴収しなくてもよくなるため、負担が軽減します。

自分だけではなく、取引先にもメリットがあるのです。

⑥保険の控除が受けられる

いくつか条件はありますが、法人化することで保険料の半額もしくは全額控除の対象になります。

フリーランスの場合には、生命保険などに加入していたら控除が受けられるものの、最大で12万円までという上限があります。

⑦消費税が最大2年間免除される

法人でも個人事業主でも、1000万円の売上を超えると、消費税を納税しなければいけません。

個人事業主で売上高が1000万円を超える前に法人化することで、その納税を2年間免除されます。

売上高が1000万円を超えている場合でも条件を満たせば、消費税を免除されるケースもあるので、国税庁のHPを確認してみましょう。

⑧収入が一定を超えると、節税効果が上がる

法人化することで、所得税の納税から法人税の納税に切り替わるため、節税効果が上がります。

所得税は累進課税のため、所得が増えるほど課税率が高くなり納税額が大きくなるという問題が。

これに対して所得税から法人税は一定のため、売上高が伸びても一定のままです。

そのため、売上高が大きくなればなるほど、法人化するメリットも大きくなります。

⑨法人が対象のサービスを受けられる

法人化することで、法人が対象のサービスも受けられるようになり、福利厚生の充実や同業者組合の参加などできるようになります。

事業展開などもしやすくなるでしょう。

法人化で税金はどう変わる?

「法人化すると税金の支払いはどうなるの?」

ということが気になる人も多いはずです。

法人化で所得税から法人税に

法人化することで、所得税として納めていた税金が法人税変わります。

法人税は所得税のように累進課税ではなく、税率が一定になっています。

法人の場合、課税所得800万円までの部分が税率15%、それを超えた部分は23.4%に。

そのため、一定以上の収入を超えるようであれば、法人化することで高い節税効果を期待できます

法人化のデメリット

法人化することにデメリットはないのでしょうか。

法人化することにはそれほど大きなデメリットはありませんが、どうしても費用がかかることがデメリットです。

具体的には以下の費用がかかります。

・設立登記にかかる費用
・社会保険の費用
・税理士への報酬
・法人住民税の均等割

これらの費用について知っておかなければ、法人化することで損失を出してしまうこともあります。

設立登記にかかる費用

法人化するためには設立登記にかかる費用を払わなければいけません。

これは登記の時にだけかかる費用ですが、それでも25万程度はかかるため、あらかじめ準備しておきましょう。

社会保険の費用

社会保険は、自分自身はもちろんのこと、加入要件を満たしている従業員は必ず加入させなければいけません。

本人または従業員の分は半分が自己負担、残りの半分を会社が負担することになります。

社会保険にもし未加入であれば、2年間さかのぼった分の支払いも発生します。

従業員の分まである程度負担しなければいけなくなり、個人事業主のときより負担が大きくなることには注意してください。

税理士への報酬

法人化するとフリーランス(個人事業主)のときよりも、会計処理がより複雑です。

バランスシートや税金の処理も関わります。

税理士への報酬の相場は、15万〜30万ほどですが、それでも税理士にお願いして税務処理をしてもらう人がほとんどです。

法人住民税の均等割

法人住民税の均等割は会社の利益に関係なく、毎年7万円分の税金を支払わなければいけないものです。

これは会社の利益に関係なく、たとえ赤字であっても支払い義務が発生します。

そのため、個人事業主のときより、赤字になってしまった場合の負担が上がるというリスクがあります。

法人化する目安

「フリーランスが法人化するタイミングはいつがいいのか」

こんな悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。

法人化することで税務上のメリットは大きいですが、経費もそれに合わせて増大します。

そのため、法人化するタイミングは実は重要なポイントです。

大まかに言うのであれば、以下のタイミングが一つの目安になるでしょう。

・売上高が1000万円を超えそうなとき
・利益が800万円を超えるとき

このタイミングで法人化することで、節税効果が期待できます。

売上高が1000万円を超えそうなとき

売上高が1000万円を超えそうなときが法人化するべき一つの目安です。

1000万円を超える手前で法人化すると、その2年後から消費税の納税義務が発生するからです。

売上高が1000万円を超える前に法人化することで、消費税の納税が2年間先送りになり、かなり高い節税効果が期待できます。

売上高が1000万円を超えてしまうと、この対象ではなくなってしまうため、その前に法人化しておくのがおすすめです。

利益が800万円を超えるとき

法人化するべきもう一つのタイミングは、利益が800万円を超えるときです。

このくらいの利益で、所得税より法人税の方が、納税額が少なくなります。

設立までの8つのステップ

フリーランスが法人化するまでにはどんな手順があるのか見ていきましょう。

法人化の手続きを完了させるまでには以下のステップを踏む必要があります。

①基本事項の決定
②事務所用物件の契約
③定款作成
④資本金の払い込み
⑤登記書類作成
⑥登記申請
⑦資産移行
⑧個人事業の廃業届と法人としての開業届

これだけ書いてあると、「法人化って難しいんじゃ……」と不安になる人もいるかもしれません。

ですが、これらは全て法人化するために大切なステップ。

一つ一つ丁寧に見ていきましょう。

①基本事項の決定

まずは会社を設立するために必要な以下の項目を決めておかなければいけません。

・商号(会社の名前)
・事業目的
・資本金
・資本金を出す株主の構成
・機関設計
・事業年度

これらの事柄については最低限決めておきましょう。

印鑑も作っておく

登記手続きのときには会社の代表印が必要になるので、印鑑も作成しておかなければいけません。

この印鑑も4種類必要です。

・代表者印(法人実印)
・銀行印
・社印
・ゴム印

印鑑をきちんと作成しようとすると意外と時間がかかるので、余裕を持って発注しましょう。

②事務所用物件の契約

事務所用物件は定款に記載する項目です。

そのため、登記する前に、事務所用物件を契約しなければいけません。

事務所用物件には以下の選択肢があります。

・自宅
・レンタルオフィス
・コワーキングスペース

法人不可の賃貸住宅に注意

自宅が賃貸になっている場合には賃貸契約書に「法人不可」と書かれていないかチェックしましょう。

新規で事務所を借りる場合にも、「法人化するための事務所を借りたい」と言うことははっきりと言っておく必要があります。

言っておかないと、後々トラブルの原因にもなりかねません。

③定款作成

定款には上記に触れた事項について記載する必要があります。

必要項目が記載されていない定款は、無効になってしまうため注意が必要な部分です。

定款を紙で印刷して提出する場合、収入印紙代4万円がかかってしまいます。

電子定款を使えば、紙の場合に必要な印紙代4万円を節約することができるため、電子定款がおすすめです。

法人化するためにかかる費用はこれ以外にもあるため、払わずに済ませることができるものは事前に準備して回避しましょう。

④資本金の払い込み

資本金の払い込みは、自分名義の口座に自分名義で振り込みを行います。

資本金は1円からでも起業可能ですが、それはあまり現実的ではありません。

一般的には、100万円〜1000万円が一般的です。

資本金を払い込んでから2週間以内に、登記申請をしなければいけない点にも注意してください。

⑤登記書類作成

設立する会社の種類によって必要な書類は変わりますので、それぞれで調べて準備しましょう。

ここまでで触れてきた必要事項さえ決めておけば、ここで記入する書類の作成はそれほど難しくありません。

⑥登記申請

登記申請の提出方法は3つあります。

・法務局へ提出
・郵送での手続き
・インターネット上での手続き

この登記申請の書類を提出するときには収入印紙が必要です。

その費用も15万円かかるため、書類の不備がないことをよく確認して提出しましょう。

⑦資産移行

個人事業主から法人化する場合、事業用の資産や負債を移行する必要があります。

具体的には以下の項目が関わります。

・事務所などにある備品
・事務所
・未収金や売掛債権
・事業が関わる負債

適切に移行してないと、脱税になってしまう可能性もあるため、資産移行のし忘れがないようにしましょう。

⑧個人事業の廃業届と法人としての開業届

個人事業主(フリーランス)から法人化した場合、廃業届を提出する必要があります。

必要に応じて以下の書類も提出しなければいけません。

そのほか青色申告をしていた場合や従業員に給料を支払っている場合など、状況に応じて提出する書類が増えることがあります。

事前に確認しておくとスムーズに手続きを進めることができるでしょう。

さらに法人としての開業届も出さなければいけません。

・法人設立届出書
・青色申告の承認申請書
・給与支払事務所等の開設届出書
・源泉所得税の納金の特例の承認に関する申請書
・棚卸資産の評価方法の届出書
・減価償却資産の償却方法の届出書
・労働保険 保険関係成立届
・労働保険 概算保険料申告書
・雇用保険 適用事業所設置届
・雇用保険 被保険者資格取得届
・健康保険・厚生年金保険新規適用届
・健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
・健康保険被扶養者(異動)届

提出するべき書類の数自体は非常に多いですが、法人化するためにはこれらの書類を出すことが必要不可欠です。

ここで書き方を間違えると、後々のトラブルや余分な税金を払ってしまう可能性もあります。

ここでも税理士に相談すると、必要事項についてアドバイスをもらえることもありますので、積極的に活用しましょう。

まとめ

フリーランスが法人化することには多くのメリットがあります。

特に税金。収入が増えるほど、所得に対して納める税金の額が大きくなるフリーランスに対して、法人なら一定の税率なので安心です。

タイミングがバッチリ合えば、かなり大きな節税効果を発揮しますので、法人化を検討されているのであれば、今回紹介した法人化の目安を是非活用してください。

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