フリーランスになりたての方、もしくはこれからフリーランスとして独立を目指している方、請求書の書き方でお困りではありませんか?
フリーランスにとって請求書は、自分の報酬をきちんといただくための大切な書類です。
ただ、請求書の役割はそれだけではありません。
会社・法人にとっては、請求書は税務上の証書類です。
だから仕事を依頼したクライアントは、依頼相手であるフリーランスのみなさんから、きちんとした請求書を提出してもらいたいと考えています。
つまり、きちんとした請求書を作ることは、クライアントからの信頼獲得にもつながるというメリットもあるのです。
この記事ではフリーランスのみなさんが、クライアントから一層信頼されるための請求書の書き方をご紹介します。
請求書の書き方について、基本的なことから一歩踏み込んだことまで紹介するので、最後まで読み逃しなく!
-
【ライター】嶋崎 -
当サイトを運営している嶋崎と申します。
わたしは経営の経験はありませが、サイト運営に携わり約2年が経過するなかで、事業主のお金の悩みは特有であることを勉強してきました。
たとえば事業主へ実際にインタビューをしたり、実際にセミナーに参加したりするなどして、資金調達の流れやどのようなときにお金の不安を感じるのかを勉強しています。
資金繰りの悩みを解決するためのサービスをすべてを網羅するのは大変です。
一から資金繰りの悩みを調べずとも、「ビズローンで解決できた」が叶うように、全力でサポートします。
請求書はなぜ必要?
フリーランスは自分で請求書を作成・発行しなければいけません。
まず請求書を書く目的を整理しておきましょう。
請求書を書く目的は以下の2つです。
- 仕事の受託者が自分の報酬をきちんともらうため
- 仕事の依頼者が税法上の書類として保存するため
請求書は報酬額の証拠になる
請求書は、報酬の金額を書類上で示すことで証拠として残ります。
あとでクライアントと報酬をめぐって争いにならないように、そして、フリーランスがきちんと報酬を受け取るために作成します。
クライアントにとっても大切な書類
クライアントにとって請求書は税法上の書類として機能するのです。
法人や個人事業主は、基本的に全前年度の売り上げが1,000万円を超える場合、消費税の納付義務のある【課税事業者】となります。
消費税法上、課税事業者が経費として認められるためには帳簿とともに請求書の保存が義務付けられています。
そのため特に法人などの課税事業者の場合は、フリーランスに請求書の発行を求めることが多くなっているのです。
請求書を書く前の確認事項
請求書はフリーランスが自分の報酬をきちんともらうため、クライアントにとっては税法上の証拠書類として必要なため発行します。
このとき、もしも、請求書発行後に足りない項目があると、クライアントから作成し直しを要求されることもあるでしょう。
後からの手間を省くために、そして、クライアントから信頼されるフリーランスになるために、請求書作成前に事前にクライアントに確認しておくべき5つの事項を紹介します。
- 請求書の決まったフォームやファイル形式はあるか
- 発行日をいつにするか・いつまでに出すか
- 振込手数料はどちらが払うか
- 源泉徴収の有無
- 消費税の表記
請求書の決まったフォームやファイル形式あるか
請求書はエクセルでも、便利な請求書ツールを使っても作成できます。
ただし、決められた請求書のフォームでの提出を求めるクライアントもいるのです。
せっかく作った請求書を提出したら「こちらのフォームで作ってください」と返されてしまうことがないように、あらかじめ請求書のフォームは決まっているか、自由なのかという点を確認しておきましょう。
請求書の送付方法も要確認
また、請求書は書面として郵送するだけでなく、メールなどに添付してデータとして送付することもあります。
請求書をデータで送付する場合は、「wordやexcelで」「PDFで」など、あらかじめファイル形式を指定されることもあるため合わせて確認しておくと安心です。
発行日をいつにするか・いつまでに出すか
請求書には請求書を発行した日である【発行日】を記載する欄があります。
発行日はいつの日付にするか、クライアントによって考え方が変わりますので確認しておきましょう。
たとえば請求書の発行・送付タイミングが8月末ごろ、実際に報酬が振り込まれるのが9月、と発行~振り込みのタイミングが月またぎになる場合があります。
この場合クライアントによっては、経理上の処理の関係で「発行日を振り込み月(この場合9月)に合わせて欲しい」と要望されることも多いです。
つまり実際に請求書の発行は8月31日でも、発行日は9月1日と記載することになります。
発行日の記載ルールについてもあらかじめ確認しておくと、クライアントからも一目置かれるフリーランスになれますよ。
請求書発行のタイミングを指定されることも
さらに、請求書の発行タイミングを指定されることもあります。
都度報酬を請求する場合でも【振り込み日は〇営業日後】と決まっていたり、【毎月〇日ごろ】と月1でまとめて発行を求められたりします。
発行タイミングによっては、報酬の振り込み日がずれてしまうこともあるので、合わせて確認しておきましょう。
振込手数料はどちらが払うか
報酬の振込時に発生する振込手数料は、フリーランス側とクライアント側、どちらが負担するかをあらかじめ取り決めておきましょう。
フリーランス側で負担する場合には、請求書に振込手数料の金額と、差し引いた後の金額の記載が必要になります。
源泉徴収の有無
フリーランスの業種や取引内容によって、源泉徴収が発生する場合があります。
源泉徴収は報酬から所得税を差し引いて支払われることです。
請求書を作成する前に、源泉徴収の有無についても確認しておきましょう。
源泉徴収の仕組みについては後程くわしく解説するので、あわせてご一読ください。
消費税の表記
実際に支払われる報酬には、消費税が発生します。
請求書に記載する金額は内税金額として記載するのが基本ですが、【別途外税金額+消費税分】の表記も必要かどうかも、クライアントとの間であらかじめ決めておきましょう。
源泉徴収と同じく、消費税についての注意すべきポイント後程くわしく解説します。
さあ、請求書の作成前に確認しておく項目がつかめたら、いよいよ請求書に記載する項目について見ていきましょう。
請求書に記載する項目について
請求書に記載する項目は、大きく分けて以下の2つがあります。
- 請求書に必ず記載しなければいけない5つの項目
- 記載しておくと請求がスムーズに進む項目
それぞれについて解説します。
請求書に必ず記載しなければいけない5項目
国税局のホームページ【請求書等の記載事項や発行のしかた】では、以下の5項目を請求書等への記載事項として挙げています。
請求書が税法上の書類として機能するための必須項目と言えますので、以下5項目は必ず請求書へ記載しましょう。
- 書類作成者の氏名又は名称
- 取引年月日
- 取引内容
- 取引金額(税込み)
- 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
記載しておくと請求がスムーズに進む項目
請求書の記載が必須の5項目に加えて、必須ではありませんがあると請求がスムーズに進む項目が3つあります。
請求をスムーズに進めるための項目はこの3つです。
- 金額のくわしい内訳
- 報酬の振込先口座番号と名義
- あれば請求書番号など
金額の内訳
請求書の必須記載項目として「取引内容」がありますが、請求する金額に対して詳しい内訳を書いておくと、クライアントも金額への不明瞭感がなくなり、スムーズな報酬受取につながります。
例えば、「原稿料」と書くだけでなく実際の原稿タイトルや内容などを一緒に記載しておくと、いつの何の取引に対する報酬請求かが分かりやすいです。
さらに、交通費や図書代など立て替えておいた経費を請求する場合も「立て替え経費」としてまとめて記載するのではなく、「〇月〇日取材分交通費」「××図書代「○○(書籍タイトル)」のように記載すると、クライアントにとって不明な請求がなくなり、親切な請求書となります。
報酬の振込先口座番号と名義
報酬の振込先口座番号と名義を請求書に記載しておくと、実際に振り込みを行うときに金額と同時に振込先も確認できるため便利です。
あれば請求書番号など
クライアントによっては、税務処理の利便性を上げるために請求書などに規定の通し番号などを振っている場合があります。
請求書番号や、該当する納品書番号などがあれば一緒に記載しておきましょう。
注意しておきたい源泉徴収と消費税
請求書には、クライアントと取決めを行って請求する「報酬金額」のほか、「源泉徴収」と「消費税」の金額も考慮して作成しなければいけません。
フリーランスが請求書を作成するうえで注意すべき、源泉徴収と消費税について解説します。
源泉徴収と消費税について理解した上で請求書を作ると、クライアントから信頼されるフリーランスにグッと近づくことができますよ!
請求書における【源泉徴収で気を付けるポイント】
源泉徴収とは、報酬を支払う側が報酬から所得税(源泉所得税)をあらかじめ引き、代わりに国に納税を行う制度を指します。
フリーランスの場合でも源泉徴収が発生する場合があるため、請求書作成時に以下のポイントに気をつけましょう。
- 源泉徴収が発生するかしないか
- 源泉徴収が発生する場合はいくら発生するか
源泉徴収が発生するかしないか
報酬を受け取る側が個人の場合で源泉徴収の対象となる報酬の範囲は以下の通りです。
- 原稿料や講演料など
- 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
- 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
- プロスポーツ選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
- 映画やテレビの出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
- ホテル、旅館などの宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・
- コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
- プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
- 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
フリーランスの場合でも、ライターが書いた記事の原稿料、デザイナーが作ったデザイン料、セミナーを開いた場合の講演料などは、源泉徴収の対象となります。
まずは請求する報酬の内容が源泉徴収の範囲に該当するかしないかを確認しましょう。
源泉徴収が発生する場合はいくら発生するか
源泉徴収が発生する場合は、源泉徴収税を計算し、請求書の【消費税欄】【合計欄】と別に【源泉徴収税】の欄を追記して記載します。
源泉徴収税は請求する金額の合計が100万円以下の場合は10.21%、100万円を超える分は20.42%かかります。
計算した金額を請求書に記載し、合計から源泉徴収税を差し引いた金額を合計金額に記載しましょう。
源泉徴収のくわしい仕組みについてはこちらも参考にしてください。
フリーランスが知っておきたい源泉徴収の仕組みをわかりやすく解説
請求書における【消費税で気を付けるポイント】
請求書に消費税を記載するとき、「そもそもクライアントに消費税を請求していいか?」「どのように書けばいい?」と疑問に感じる人も多いでしょう。
フリーランスが請求書において知っておきたい、消費税のポイントについて解説します。
フリーランスでも消費税は請求してOK
基準期間(前々年度)事業の売り上げが1,000万円以上なら消費税を納める義務のある「課税事業者」、1,000万円以下なら消費税の納税義務のない「免責事業者」となります。
フリーランスの場合、売上は後者が圧倒的に多いため、一部を除き「免責事業者」です。
そうすると「フリーランスは消費税を支払う義務がないから、消費税も請求できないのでは?」とイメージするかもしれません。
けれども免責事業者も課税事業者と同じく、消費税を請求して問題ありません。
フリーランスの場合、報酬を得るために必要なさまざまな「経費」が発生します。
経費は物品の購入やサービスの授受などいろいろありますが、仕事で使う物(=経費)を購入するとき、消費税がかかっていますよね。
経費において消費税を支払っているため、免責事業者も消費税を受け取って問題ないのです。
消費税転嫁対策室をご存知ですか?
2019年10月からの消費税10%増税にともなって中小企業庁では【消費税転嫁対策室】を設置しています。
正当な消費税転嫁が行われているかどうかを管理しているため、「クライアントから消費税の支払いを拒否されている」「消費税が10%になっても8%に据え置きのまま」など、クライアントとの間で消費税に関して不当な扱いを受けている場合には電話相談ができますので、活用しましょう。
端数は切り捨て、消費税分が分かるように記載
消費税を請求する場合、報酬×0.08(改定後は×0.10)で消費税分を算出します。
このとき端数は切り捨てて、小数点以下は記載しないようにしましょう。
消費税分は請求する報酬の合計欄である「小計」の次に「消費税」の欄を作成し、小計と消費税を合計した金額を請求します。
なお、源泉徴収税に対して消費税はかかりません。
源泉徴収が発生する場合は合計から源泉徴収を差し引いた金額で消費税を算出し、請求しましょう。
クライアントに信用される請求書のメリット
請求書は記載すべき内容を過不足なく、正確に記載してクライアントに送付し、報酬の請求を行います。
請求書1枚を作成するだけでも、計算したり、内容確認したりと手間を感じる人も多いでしょう。
けれども、報酬のやり取りを円滑かつ正確に行うためにも、クライアントに信用される正しい請求書を作成しなければいけません。
クライアントに信用される請求書を作れるようになると、以下の嬉しいメリットも得られます。
- 請求書送付から報酬の振り込みまでの時間が短くなる
- トラブルに発展しそうな場合も回避できる可能性が高くなる
- 依頼の増加につながる
請求書送付から報酬の振り込みまでの時間が短くなる
記載内容が正しく、しかもわかりやすいクライアントに信用される請求書を作れるようになれば、クライアントも請求書の内容確認がしやすくなります。
特に都度請求の場合は確認に時間がかからなくなるため、請求書の送付から実際に報酬が振り込まれるまでの時間短縮にもつながりますよ。
トラブルに発展しそうな場合も回避できる可能性が高くなる
今までしっかり確認して正しい請求書を送っていたとしても、あるときうっかり請求金額を間違えてしまうなどのミスに気が付かないまま請求書を送ってしまうこともあるでしょう。
実際よりも高い金額の請求がされている場合、クライアントは少なからず不信感を持つことも多いです。
けれども、今まで正確な信頼できる請求書を送ってきた実績があれば、クライアント側としても「ミスかもしれない」と感情的にならない可能性が高いです。
信用できる請求書を作成して送付している実績があれば、起こりうるトラブルを未然に防げることもあります。
依頼の増加につながることも
請求書はフリーランスとクライアントの間でお金のやり取りを行うものです。
信用できる請求書が作成できる人物とは、誠実なお金の取引ができる人物でもあります。
よって信用できる請求書を作成して送付している実績を重ねることは、クライアントからの信用もさらに高くなり、新しい仕事の依頼が増える可能性が高まるのです。
フリーライターの請求書サンプル
今回、実際にクライアントにお送りしたことのある請求書のサンプルをご用意しました(それぞれの数値や内容は実際に送った請求書とは異なります)。
請求書を書くときのひな型として活用いただけると嬉しいです。
まとめ
請求書はフリーランスが正当に報酬を受け取るためだけでなく、クライアントにとっては税法上の証拠書類としても活用します。
必要な項目のほか、源泉徴収や消費税の計算と記載も必要になるでしょう。
手間はかかりますが、クライアントにとって見やすく信用できる請求書を作成できるようになれば、フリーランスとしての信用にもつながり、仕事の増加や新しい可能性が広がるチャンスにも得られる可能性も高くなります。
エクセルだけでなく、今は請求書を正確に、かつ簡単に作成できる請求書作成ツールやサービスもあります。
正しく報酬を得るだけでなく業務の効率化や、クライアントの信用を得るためにも、正しい請求書を手間なく作り、フリーランスとしてのさらなる活動につなげましょう。