2019/11/21

中小企業経営者、または個人事業者の方の中には、資金繰りに窮した結果、止むを得ず税金を滞納してしまった方もいることでしょう。

しかし、税金を滞納してしまうと、資金調達の方法が限られてしまい、ますます苦しい経営が続いてしまうことになりかねません。

まずは税金を完納すること…と言いたいところですが、そのための資金がないために滞納という事態に陥っているわけです。

今回は、税金を滞納してしまった場合の融資について解説します。

税金を滞納してしまったときの融資

現在税金を滞納しているのにも関わらず融資が必要な場合とは、主に資金がないが新しい仕事が舞い込んだときなど、会社として飛躍する大きなチャンスの局面であることが多いです。

よって、融資を受ければ税金も完納でき、会社としても大きく成長できる機会のため、なんとしてでも融資を受けたいと考えている経営者や個人事業主の方もたくさんいるでしょう。

税金を滞納してしまったときに受けられる融資には、以下の4つがあります。

  1. 保証協会の保証付き融資
  2. ノンバンクのビジネスローン
  3. ノンバンクのローン
  4. ファクタリング

これら4つの概要と特徴を見てみましょう。

保証協会の保証付き融資

中小企業や個人事業主が銀行などの金融機関から融資を受けるときに、保証人となって融資を受けやすくするサポートを行っているのが、「信用保証協会」です。

保証協会が提供している融資には、保証の有無によって保証付き融資とプロパー融資に分かれます。

保証付き融資について

中小企業や個人事業主など、融資を受けた側の返済が滞った場合に、信用保証協会が代わりに立て替え払いを行うのが、保証付き融資です。

なお、保証を受ける代わりに所定の信用保証料を支払う必要があります。

税金が1年以内の滞納でかつ税務署などに相談すると、分割納付が認められる場合があります。さらに、税金を滞納していても分割納付が履行されていることが証明できれば、この保証協会の保証付き融資を受けられる可能性があります。

保証付き融資を受ける条件や方法

保証付き融資を受けるには、以下2つの条件を満たす必要があります。

  • 税金を分割納付していると証明できる
  • 信用保証制度を利用できる「規模」「業種」「区域・業歴」の条件を満たす

そもそも信用保証協会の信用保証制度は、中小企業や小規模事業所を対象にしています。

よって、信用保証制度を利用できる規模や業種、区域業種を満たした企業や事業所のみが、保証付き融資を受けられることになります。

保証付き融資の条件
規模 業種ごとに一定の資本金、従業員数の条件を満たす
業種 農林漁業や金融業などの一部業種は対象外、許認可・届出等を要する事業を営んでいる場合は各種届け出や許可を取得済み
区域・業歴 各信用保証協会の管轄区域で事業を営んでいる。さらに、保証制度により要件として業歴が定められている場合がある。

 

これらの条件を満たしたうえで、金融機関または管轄区域にある信用保証協会に申し込み、審査が下りれば保証付き融資を受けられます。

ノンバンクのローン

銀行や日本政策金融公庫が提供する公的融資以外の融資方法が、ノンバンクです。

税金を滞納している場合でも、以下2種類のローンなら利用できる場合があります。

ローンの種類 特徴 おすすめ
ノンバンクの
ビジネスローン
  1. 申込から融資までのスピードが早い
  2. 無担保・無保証人で借りられる
  3. 申込書類が少ない
  4. 限度額まで繰り返し利用できる当座貸越
  5. 金利が高い
ビジネクスト
ノンバンクの
不動産担保ローン
  1. 審査では担保にする不動産の価値が重視される
  2. 自分が所有していない親族の不動産でも担保にできる
  3. 金利が低い
セゾンファンデックス不動産担保ローン

ノンバンクのビジネスローン

ノンバンクのビジネスローンの中には、滞納している税金の納税資金としての資金使途なら、融資を受けられるものがあります。

審査もスピーディ、かつ担保なしで融資が受けられるメリットがありますが、借り入れできる融資額が少ない、金利が高いといったデメリットに注意しましょう。

ノンバンクの不動産融資ローン

税金を滞納している場合でも、担保にできる不動産があるのなら税金を滞納していても審査してくれるノンバンクの不動産担保ローンがあります。

ノンバンクの不動産融資ローンには、「セゾンファンデックス」などがあります。ビジネスローンよりも高額な融資を受けたい場合には、利用を検討してみましょう。

ファクタリング

ファクタリングとは、売掛金の債権をファクタリング業者に買い取ってもらい、現金化する方法です。

3社間ファクタリングのイメージ

融資方法ではありませんが、売掛金があれば利用できるメリットがあります。

売掛金が現金化されるかどうかは、売掛先の信用・信頼度で審査されるので、大企業など社会的な信頼が高い売掛先が多い場合は、自身が税金を滞納していても利用できる可能性が高くなります。

ただし、税金の滞納があるとファクタリングを利用時の手数料が高くなる傾向にあるので、手数料に気を付けましょう。

税金を滞納すると融資が難しい

上記で紹介した融資方法以外は、税金滞納をしている場合基本的に融資は受けられないと考えておきましょう。

なぜなら、企業や事業者が税金を滞納している場合は税務署が資産を差し押さえる可能性があるからです。

資金を差し押さえられると、当然企業や事業者からの融資の返済は滞ります。

税金滞納=貸し倒れのリスクがあるため、融資をしたくないと考える融資先が多いからです。

よって税金滞納をしている時は、あらかじめ融資を受けられる融資先を把握しておくことが重要です。

税金を滞納するとどうなるのか

税金を滞納していても融資を受けられる先はあります。

けれども、納税は日本国民の義務でもあり滞納している税金をそのままにしておくわけには行けません。

税金を滞納し、そのままにしておくとどうなるか、以下の4点を解説します。

  1. 催促状が送付される
  2. 送付から10日以内に何のリアクションもせず滞納を続けると法的措置を取られる可能性も
  3. 税金の時効は催促時点でリセットされる
  4. 延滞税がどんどん課税される

催促状が送付されるまで

納税期限を1日でも過ぎると、滞納となります。

納税期限から国税の場合は50日以内、地方税の場合は20日以内に催促状が送付されてきます。

国税とは所得税や法人税、地方法人税や消費税などが該当します。

地方税とは住民税や事業税、地方消費税などが該当します。

催促状送付から差し押さえまでの流れ

催促状が手元に来ても税金の納付、または分納などの相談が行われない場合、法律上では催促状送付から10日以内に差し押さえをするとしています。

実際にはすぐに差し押さえに動くのではなく、まずは電話や文書などによる納税の催促です。

納税催促を行うのは、国税局や税務署の職員だけでなく、地方自治体の職員にも権限があり、事業所のある自治体によっては、役所から直接職員が訪問し、催促を行う場合もあります。

度重なる催促にも応じず、税金を滞納した場合に行われるのが「最終催告」。

最終催告は、「最終催告書」や「差し押さえ通知書」などの文書として届くことが多く、「この催促が最後です、これに応じなければ差し押さえをします」という内容を滞納者に通知する目的で送付されます。

最終催告後、具体的にいつ差し押さえになるかは管轄の税務署や役所の判断にゆだねられますが、ここまでくるといつ差し押さえられても仕方がない状況であると認識しておいてください。

税金の時効は催促時点でリセットされる

実は、法律で税金の支払い時効は「5年」と短めに設定されています。

税金の時効は税金の支払い催促、または催告が行われた時点でリセットされるからです。

「税金の支払い時効まで逃げ切れば支払わなくて済む」という考えは間違いです。

時効はリセットされるだけでなく、刻一刻と差し押さえに近づきますので、納税や分割相談などしかるべき対処をただちに行いましょう。

滞納税がどんどん加算される

税金が支払期限までに支払われない場合は、納付期限の翌日から実際に納付された日数に応じた「延滞税」が自動的に加算されます。

催促に応じて税金を支払った場合でも、納付期限の翌日から延滞税がカウントされています。

納付期限の翌日から2月を経過する日までは原則として年「7.3%」、2月を経過した日以後は原則として年「14.6%」と、大変高い金利になっていますので、税金は滞納しないのが原則、さらに滞納しそうな場合もただちに対処する、というのが重要です。

税金の滞納は融資先にすぐばれる

税金を滞納している時でも、融資を受けたい場合があります。

その時は「税金の滞納を隠して融資を受ければ問題ないのでは?」と考える人もいるかもしれません。

けれども、税金の滞納を隠そうとしても融資先はすぐにわかるため、滞納を隠すのは不可能です。

納税証明書の提出が求められる

銀行融資や公的融資で融資を受ける場合には、申込時に書類とともに納税証明書の提出が求められます。

納税証明書には、企業や事業所の直近期時点の納税状況が記録されています。

同時に、未納の税金がある場合も記載されているため、税金滞納を隠すことはできないのです。

滞納しそう・してしまった場合の対処法

止むを得ず滞納してしまった、またはしてしまいそうな場合は、融資希望の有無に限らず以下の対処をしておきましょう。

  • すぐに税務署に連絡する
  • すでに借り入れている融資先があるならリスケをお願いする

すぐに税務署に連絡する

税金を納めたいけれども資金繰りが悪くできない場合は、税務署に相談しましょう。

税金を一時的に納めるのが難しい場合は、税務署に申告を行うと財産の換価(売却)や差押えなどの猶予(換価の猶予、納税の猶予)を受けられることがあります。

例えば、以下5つの条件を満たすと差し押さえの猶予が受けられる可能性があります。

  1. 納税することで、事業の継続や生活が難しくなる
  2. 納税する意思がある
  3. 差し押さえの猶予を受ける以外に滞納している税金がない
  4. 納付期限から6か月以内に申告書が提出されている
  5. 提供できる担保がある

企業や事業所を管轄する税務署に足を運び、納税が難しいことをただちに相談するようにしましょう。

「今は支払えないが、必ず支払う」という納税の意志を示しておくのが重要です。

融資先へのリスケ

リスケ(リスケジュール)とは、融資の返済が困難になった場合、融資元に対して毎月の返済額の調整や元金利の返済猶予を依頼することです。

税金を滞納しそう・してしまったときにすでに融資を受けている場合は、融資先へのリスケをすぐに申し出ましょう。

税金を滞納を未然に防ぐために税理士を活用

税金の滞納は、会社のお金の使い方がきちんと把握できていれば未然に防ぐことができるはずです。

ルーズな管理をしていては、知らず知らずのうちに税金を滞納していたなんて自体にならないわけではありませせん。

税務のことをを任せられる税理士を見つけて、しっかりチェックとサポートを受けながら、営業を続けていくのが望ましいですね。

税理士.comを利用すれば、登録している全国4,200名以上の税理士の中から自分の会社に合った税理士を見つけることができますよ

まとめ

納税は国民の義務であり、滞納した場合はなによりも最優先で徴収される債務です。

ただ、会社を動かしていく上で、資金繰りの不安から納税を後回しにしてしまう現実もあります。

そうなってしまったときは、まずは税務署に連絡をして、分納の相談をしてください。

それを前提として、滞納しても利用できる融資を把握しておくことが大切です。

関連記事