2017/09/27

事業を行うには創業資金や設備資金、運転資金など様々な費用が必要です。

中小企業経営者や個人事業者が銀行から事業資金の融資を受ける場合、いくつかの資金調達方法があります。そのうちの一つに制度融資というものがあります。

これは、銀行が独自に判断して行うプロパー融資や、信用保証協会の保証付き融資とは異なります。

特徴は、地方自治体が連動している点です。

この制度融資は意外に知られていないもので、金融機関の側も制度に精通していないケースもあります。

それは制度がよく変更されることや、地方自治体ごとに内容が異なる点が理由として挙げられます。

そのため金融機関の側が金融商品の一つとして積極的に勧めてくることはあまりありません。

ですから制度融資を利用して借入を希望する人は制度融資を担当している公的機関の担当者や自身が利用を希望する旨を相談している銀行員にしっかりと伝える必要があります。

制度融資は上手く利用すれば、借入を行う利用者にとって、大きなメリットがあります。

本記事では、そうした制度融資について具体的に説明していきます。特にどういう人が借り入れの対象になるのか、借り入れる人にとってどんなメリットがあるのかなど、融資の審査との関連を中心に説明しています。

制度融資の仕組み(その1)プロパー融資と信用保証協会の保証付き融資

制度融資を単独で理解しようとしても、理解しづらい面が多いと思います。

それよりも他のプロパー融資や信用保証協会の保証付き融資との違いは何かと言う点を軸にして、理解すると分かりやすいと思います。

銀行から借り入れを行うという点においては、制度融資もプロパー融資や信用保証協会の保証付き融資と変わりません。

しかし、重要なのは、万一、返済ができなくなったとき、つまり、貸し倒れが生じた場合に誰がそれを負担するかという点です。

これを理解することが制度融資を理解するための大きなポイントになります。

その点に焦点を当てて、説明していきます。

プロパー融資

これは金融機関が独自に貸し出している融資です。

つまり、信用保証協会による保証がされていない融資ということになります。

ですから、貸し倒れが生じた場合、銀行がすべてを負担することになります。

銀行から見ると、プロパー融資はリスクがある融資になるわけです。そのため、審査も厳しく、リスク分を金利に上乗せされる傾向があります。

信用保証協会の保証付き融資

信用保証付融資のイメージ

信用保証協会の保証があれば、仮に貸し倒れが生じたとしても、80%程度を信用保証協会が保証してくれます。

そのため、金融機関が負うべき負担は20%程度となり、かなり軽減されます。

つまり、信用保証協会の保証があれば、金融機関にとってリスクが減ることになり、その分、審査が緩くなります。

但し、審査は金融機関と信用保証協会の両方から受けることになります。

因みに、信用保証協会がリスクを自分ですべて負担するわけではなく、実際には日本政策金融公庫に信用保険を掛けています。

ですから、貸し倒れが生じた場合、信用保証協会の負担分のうち、8割前後を日本政策金融公庫が負担する形になります。

制度融資の仕組み(その2)二つの制度融資

信用保証協会の保証がない制度融資

制度融資は都道府県や市町村区などの各自治体と金融機関が連携して、資金を融資するシステムです。

自治体や金融機関がこの制度融資の窓口となります。

役所イメージ

連携をしても、実際にお金を貸し出すのは金融機関です。

この制度融資には信用保証協会の保証が付く融資と付かない融資があります。

信用保証協会の保証がない融資の場合、審査は金融機関だけが行います。

もし、貸し倒れになった場合、それを負担するのは金融機関であり、自治体は負担しません。

そうなると、銀行がもつリスクという点から考えた場合、実質的には上記のプロパー融資と何ら変わらないものと言えます。

金融機関が貸し倒れリスクを背負う以上、審査も厳しくなります。

プロパー融資が条件的に厳しい人の場合、信用保証協会の保証がない制度融資は申し込みをしても可能性が低いでしょう。

信用保証協会の保証付きの制度融資

さて、注目したいのが信用保証協会の保証付きの制度融資です。

この場合、制度融資ではない通常の信用保証協会の保証付き融資とどこが違うのでしょうか?

貸し倒れが出た場合の負担と言う点から考えてみると違いが判ります。

通常、信用保証協会が負担するべき部分でも、信用保証協会の保証付きの制度融資の場合、貸し倒れが出た場合、信用保証協会の負担分のうち半数以上を自治体が負担する形となります。

つまり、信用保証協会のリスクが減るわけです。

審査は金融機関と信用保証協会の両方が行いますが、信用保証協会の審査においては、自治体がリスクを背負う分、審査が緩くなるのです。

一方、金融機関の負担分については、制度融資ではない通常の信用保証協会の保証付き融資と変わりません。

ですから、金融機関の審査は制度融資だからといって緩くはなりません。

制度融資の概要と注意点

ここでは、制度融資の概要と、その注意点について説明します。

制度融資は民間金融機関が自治体から預かっている預託金を利用して融資を行う制度です。

主な対象は中小企業の経営者やこれから創業しようという起業家などの創業者などになります。

制度融資の利用にあたって注意しないといけない点は、同じ制度融資と言っても都道府県や市区町村などの各自治体によって、その内容がかなり異なっている点です。

ですから、制度の詳細については、「○○県の制度融資」、「○○市の制度融資」というように、限定しないと具体的な説明は難しいと言えます。

制度融資の大きなメリットは低金利での融資です。

比較的低金利で知られている日本政策金融公庫の行っている融資よりも、さらに低金利であることが多いのが特長です。

自治体によっては金利が1%を切る場合も珍しくはありません。

こうした低金利が実現できるのは各自治体が金利の一部を負担してくれる制度(利子補給制度)や、同じく各自治体が信用保証協会に保証してもらうために必要な保証料の一部を負担する制度があるためです。

制度融資を利用するに当たっては自己資金がどれぐらいいるかという点も気になると思います。

これも各自治体により異なりますが、必要資金のうち、半分ぐらいの自己資金を求められるケースが多いようです。

また、経営者が連帯保証人になる必要があるケースもあります。

これらのついては、各自治体に問い合わせてみると良いでしょう。

制度融資の審査ポイントと融資までの期間

制度融資の審査は金融機関の審査と信用保証協会の審査(信用保証協会の保証をつける場合)の二つがあります。

信用保証協会の保証を付けない制度融資の場合、プロパー融資並の厳しい審査となります。

一方、信用保証協会の保証があれば、金融機関の審査もやや緩くなりますし、信用保証協会の審査も制度融資の場合、審査が緩くなります。

自治体からのあっせんという性格上、税金の滞納があったりすると審査においてデメリットとなります。

また、その自治体の居住年数などにより、制度融資が利用できないこともあります。

審査に当たって、個人信用情報を調べられたときに消費者金融など高金利の借入があったり、自己資金が不足していることも、マイナス要因となります。もちろん、金融事故は厳禁です。

制度融資の基本は自治体に申請し、自治体があっせんして、民間の金融機関が融資をするという仕組みになります。

そのため、自治体、金融機関、信用保証協会など関係する機関が多くなることもあり、融資まで時間が掛かるのがデメリットです。

一般的には2カ月程度の期間が必要とされています。

まとめ

以上、制度融資について述べてきました。

制度融資がどういうものか大まかなイメージはつかめたのではないかと思います。

ただ会社経営者、個人事業主や創業者が利用するに当たっては、各自治体により、制度の内容が異なっているため、該当する各自治体の制度融資に関して調べてみる必要があります。

条件に合致するのであれば、申し込んでみると良いでしょう。

その際、金利が安いことや、審査が緩くなるケースがあるなど、融資を受ける側にメリットもありますが、審査期間が長いなどデメリットについても考慮しておきましょう。

いずれにしても、金融機関から融資を受けることを考えている方は、自己破産などの債務整理はもちろんのこと、支払い遅延などの金融事故だけは絶対に起こさないようにしましょう。

自分の信用情報に傷がつけば、それが消えるまでかなりの時間が掛かることは覚えておくべきです。

関連記事