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2023/10/25

固定資産税は土地や建物の所有者に課せられる地方税ですが、高額な不動産の評価額に対してかかるため納税者にとっては負担が大きい税金です。

不動産を取得する場合は固定資産税の負担についても十分配慮する必要があります。

特に固定資産税には軽減措置や優遇措置も多いので、それらを生かして節税を心がけましょう。

また思ったよりも多いのが行政のミスによる固定資産税の取りすぎです。

今回は固定資産税の負担を軽減する軽減措置や払いすぎた固定資産税の取り戻し方について解説しましょう。

ライター嶋崎の実物写真

【ライター】嶋崎
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固定資産税の軽減税率と優遇措置

それではさっそく軽減税率や優遇措置を個別にご紹介しましょう。

住宅用地の軽減措置

住宅用家屋の敷地(住宅用地)に関しては固定資産税の軽減措置があります。

専用住宅だけでなく賃貸用の共同住宅や事務所や店舗との併用住宅(居住部分1/2以上)にも適用されます。

小規模住宅用地の特例措置

200㎡以下の住宅用地(200㎡超の場合は200㎡までの部分)を「小規模住宅用地」と呼びます。

この小規模住宅用地の固定資産税の課税標準額は、価格の1/6に軽減されます。

また固定資産税と同時に課税される都市計画税も同様に1/3となります。

一般住宅用地の特例措置

200㎡を超える住宅用地は一般住宅用地として、固定資産税の課税標準額が価格の1/3になります(都市計画税2/3)。

つまり300㎡の住宅用宅地であれば、200㎡の価格は1/6、残り100㎡は1/3ということです。

固定資産税は計算式にすると下記のようになります。

小規模住宅用地 固定資産税評価額 × 1/6 × 1.4%
一般住宅用地 固定資産税評価額 × 1/3 × 1.4%

新築住宅の固定資産税の減額措置

新築住宅に関しても固定資産税の減額措置があり、平成28年度税制改正により2年間延長されています。

これにより平成30年3月31日までに新築した住宅に減額措置が適用されます。

減額措置を受けるための要件

新築住宅の延べ床面積(物置、車庫及びマンションの共用部分などを含む)が50㎡以上(アパートなどの貸家住宅は、一戸につき40㎡)、240㎡以下

減額措置の内容

戸建住宅 3年間固定資産税額の1/2を減額
マンション 5年間固定資産税額の1/2を減額

どちらも一戸あたり120㎡相当部分が限度

認定長期優良住宅の固定資産税の減額措置

新築住宅の中でも一定の条件を満たすとさらに有利な優遇を受けることができます。

認定長期優良住宅の適用基準

  • 床面積が50㎡以上280㎡以下
  • 長期優良住宅の認定通知書を取得

長期優良住宅は耐震性、省エネルギー性、劣化対策、バリアフリー性など10項目について一定以上の条件をクリアし認定通知書を取得します。

認定長期優良住宅の優遇措置

一般の新築住宅では減額期間が戸建て・マンションでそれぞれ3年と5年ですが、どちらもさらに2年延長となるメリットがあります。

また、認定長期優良住宅と認められると固定資産税だけでなく、所得税、登録免許税、不動産取得税でも優遇を受けることができます。

その他の固定資産税の減額措置

新築以外にも対象となる改修工事を行なうことで固定資産税の優遇を受けることができます。

住宅耐震改修・建替

平成30年3月31日までに一定の基準で耐震のための改修や立替を行なうと固定資産税が減免されます。

建替の場合は3年間住宅部分の固定資産税全額を減免。

改修の場合は120㎡の部分について一定期間全額免除。

バリアフリー改修工事

新築から10年以上経過している住宅でバリアフリーのための改修を行なうと固定資産税の減額が受けられます。

  • 改修後の床面積要件50㎡以上
  • 改修建築費50万円以上
  • 65歳以上か要介護者、要支援認定者、障害者のいずれかが居住している

 

上記条件を満たすと一戸あたり1回だけ固定資産税が1/3に減免されます。

省エネ改修工事

省エネ基準を満たす窓の改修工事と、併せて行なった床、壁、天井の断熱工事に対しても固定資産税の減免があります。

  • 平姓20年1月1日以前から所在する住宅
  • 工事費用が50万円以上
  • 改修後の床面積が50㎡以上

上記条件を満たすと1年間固定資産税(120㎡相当分)の固定資産税を1/3に減免となります。

上記の減免措置が併用できるかどうかは下記のとおりです。

  • 耐震:いずれとも併用できない
  • バリアフリーと省エネは併用可

特別措置以外の固定資産税軽減方法

これまで紹介してきた固定資産税の軽減方法は法律で定められたものです。

しかし場合によってはそれ以外の方法でも固定資産税を軽減できるかもしれません。

意外に多い課税ミス

少し古い資料ですが平成24年8月の総務省の調査に「固定資産税及び都市計画税に係る税額修正の状況調査結果」というデータがあります。
これは固定資産税の課税ミスがどのくらいあったかという資料になります。

それによると平成21年度から23年度までで、全国約1,500団体中、毎年93%の団体で1件以上税額を修正したケースがありました。
人数にして全国で3年間に税額を修正した人数は39万人以上となっています。

分母が大きいため率にすると0.2%程度ですが、毎年平均10万人以上が修正を受けているという事実にはビックリします。
役所が計算したからといって必ずしも正しいとは限らないということがよくわかります。

修正の中には増額と減額がありますが、50%以上は減額修正となっているため固定資産税は多く取られていたケースが多いということになります。

それでは課税ミスを発見するにはどうしたら良いでしょうか?

近隣の固定資産税と比較する

総務省のデータでは金額修正の要因の中で最も多いのが、評価額の修正となっていて約30%にのぼります。

つまり課税評価額そのものの計算ミスが多いということになります。
これを発見するためには自分でシッカリ計算しなくてはいけないということです。

自分で計算するといっても実際に計算するのは苦手という人も多いでしょう。

まずは近隣の評価額と比較して1㎡当たりの単価が極端に違っていないか調べてみましょう。

直接近所の人に聞いてもいいですが、縦覧制度を利用してみましょう。
近隣の固定資産税と比べて適正かどうかを判断するためにあるのが「縦覧帳簿」です。

土地だけの所有者は利用できませんが、建物を所有していれば縦覧帳簿を閲覧することができます。
これによって近隣の地積(床面積)や価格がわかるので、1㎡あたりの単価が割り出せます。

ここで大きな差額がある場合は直接役場の担当者に確認しましょう。
その上で計算ミスの疑いが大きくなった場合は、審査申出や不服申立によって税金の還付を目指しましょう。

ただし、どちらも納税通知書の交付から60日以内となっているので、納税通知書を受け取ったらすぐに計算ミスがないかどうかをチェックしましょう。

審査申出と不服申立の違い

審査申出は評価額に誤りがある場合だけ申立ができます。
それ以外のミス、例えば軽減措置が適用になっていない場合などは不服の申立を行ないます。

審査申出の場合、行政側は30日以内、不服申立は3ヶ月以内に回答を決定して、さらに10日以内に回答があります。

課税ミスが認められたら還付の申請を必ず行ないましょう。黙っていてもお金は戻ってきません。
もし、課税ミスが認められず、納得がいかない場合は訴訟を提起することになります。

課税ミスが何年も続いていたのであれば、過払いは相当な金額になることもあるので、訴訟をするかどうかは訴訟費用と勝訴の可能性、還付金額との兼ね合いです。
ちなみに税金が還付されるのは5年分までとなっています。

これは法律上の消滅時効が5年となっているからですが、市町村によっては時効の援用をせずに、すべて返還する場合もあります。

行政側としても計算ミスなどによる評価の修正は、望むところではなく作業が増えるだけのマイナスとなります。

そのためIT化や情報開示など改善の取り組みをしていますが、まだ完全にはなくなっていないのが現状です。
評価が必ずしも正しくないということは頭に入れておきましょう。

まとめ

固定資産税の軽減には2つの方法があることをお分かりいただけたでしょうか。

法律で認められている軽減方法は、自分で知識を身に付けて申請する必要があります。

また行政のミスによる過払いに関しても、納税通知書をよくチェックしないと発見することはできません。

どちらの場合も自分自身で固定資産税を軽減するという意識が必要です。

これは固定資産税に限ったことではなく、税金の優遇措置や税金の還付はあらゆる税金において自ら申告することが大前提です。

特に事業主の方は税金に対する知識を深めて、税金に関しては損をしないよう心がけましょう。