2019/10/21

事業を上手く継続していくためには、資金調達が欠かせません。
会社にとって資金(現金)が尽きてしまうことは、人間にとって血液がなくなってしまうことに等しい大問題です。
人間誰だって、血液が少なくなれば貧血を起こして身体がフラフラし始め、意識がもうろうとして倒れ込んでしまいます。
会社も同じで、現金が少なくなればフラフラし始めて、最後には倒れてしまう、つまり倒産してしまうのです。
せっかく創業した会社が倒産させないために、経営者なら様々な資金調達の方法を知っておく必要があります。

この記事では、経営者なら知っておくべき様々な資金調達方法を3つのジャンルに分けて紹介していきます。
3つのジャンルとは以下の3つです。

デット・ファイナンス 融資を受けて資金を調達する方法
アセット・ファイナンス 資産を流動化して資金を調達する方法
エクイティ・ファイナンス 資本を増やして資金を調達する方法

いろんな資金調達の方法を知っておけば、いざというときにどの資金調達方法を選ぶのが適切なのかわかるようになり、資金調達に失敗しなくなるはずです。

まずは上記3つの資金調達方法について紹介していきます。

資金調達には3つのジャンルがある

資金調達と一言で言っても、そこには3つのジャンルが存在しています。

それはテッド・ファイナンスとアセット・ファイナンス、そしてエクイティ・ファイナンスです。

これら3つの資金調達方法の基本をまずは把握しておきましょう。

デット・ファイナンス

デット(debt)には負債という意味があります。

文字通り負債として計上される資金調達方法のことです。

いわゆる銀行融資による借入で資金調達することもデット・ファイナンスに含まれます。

しかしデット・ファイナンスと呼ばれるのは銀行融資だけではなく、シンジケートローン(協調融資)、社債発行もデット・ファイナンスです。

これらに共通するのは貸借対照表で負債の欄に記載されるという点です。

なお銀行融資は企業の信用により貸付を受けるので、コーポレート・ファイナンスと呼ぶこともあります。

アセット・ファイナンス

アセット(asset)には資産という意味があります。

アセット・ファイナンスは、資産を利用して資金を調達する方法です。

しかし、いわゆる資産を担保にしてお金を借りる担保ローンとは根本的な違いがあります。

アセット・ファイナンスの定義は、資産から生じるキャッシュフローを返済財源とした資金調達方法となります。

担保ローンの場合は返済ができなかった場合の担保として資産を提供しているだけです。

そのため担保ローンは負債として計上されるので、デット・ファイナンスのひとつです。

アセット・ファイナンスは資産を流動化して証券として発行をし、資金を集めます。

少しイメージがわかないかもしれないので具体例で説明しますね。

たとえば不動産を証券化して、資産担保証券として投資家に発行することで資金を調達するのがアセット・ファイナンスです。

また、資産であれば不動産ではなくても構いません。

そのため、売掛債権を譲渡して流動化(現金化)する「ファクタリング」もアセット・ファイナンスのひとつです。

エクイティ・ファイナンス

エクイティ(equity)は自己資本や株式資本のことです。

エクイティ・ファイナンスは株式を新規発行して資金を調達する方法なので、エクイティを出資と解釈したほうがわかりやすいですね。

具体的には新株発行によって資金調達することをエクイティ・ファイナンスと呼びます。

 

これら3つの資金調達方法について、概要を把握することはできましたか?

続いて、3種類それぞれ具体的にどんな資金調達方法があるのか、デット・ファイナンスから順に紹介します。

デッド・ファイナンスの種類とメリット・デメリット

デッド・ファイナンスは、負債として計上される資金調達方法です。

そのため、デッド・ファイナンスで調達した資金は、いずれ返済する必要があります。

デッド・ファイナンスには以下6つの方法がメインです。

では、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。

日本政策金融公庫

創業間もない会社や個人事業主にとって、もっともポピュラーなデッド・ファイナンスは、日本政策金融公庫からの融資でしょう。

創業資金の調達や創業後すぐの運転資金の調達などで利用されることが多いです。

日本政策金融公庫のメリット・デメリット

日本政策金融公庫でデッド・ファイナンスを行うメリット・デメリットをまとめました。

日本政策金融公庫のメリット 日本政策金融公庫のデメリット
  • 金利が比較的低い
  • 創業間もない会社や個人事業主でも利用しやすい
  • 申請書類が少ない
  • 担保・保証人が必要ない
  • 希望借入額10%以上の自己資本が必要
  • 融資が実行されるまで2週間以上かかる

日本政策金融公庫のメリットは、やはり金利が低いことにあります。
デッド・ファイナンスのやっかいなところは、調達した資金を返済しなければならないこと。そのため、返済にかかる金利が低いことは、日本政策金融公庫の大きなメリットです。

ただし、日本政策金融公庫の新創業融資は、自己資本要件として希望借入金額の10%の自己資本を用意しなければなりません。
また、デッド・ファイナンスの中では早い方ではありますが、申請から融資までに2週間以上の期間がかかることも留意しておいてください。

銀行融資

会社がお金を借りる先といえば、まっさきに思い浮かぶのが銀行ですよね。
メガバンクを始め、地方銀行や信用金庫、信用組合など、預金を取り扱う金融機関から事業資金を融資してもらっている会社は多いです。

銀行融資のメリット・デメリット

銀行融資でデッド・ファイナンスを行うメリット・デメリットをまとめました。

銀行融資のメリット 銀行融資のデメリット
  • 金利が比較的低い
  • 銀行の取引先を紹介してもらえる
  • 都市銀行からの借入は対外的なアピールもできる
  • 融資実行までに時間がかかる
  • 創業間もない企業には審査が厳しい
  • 担保が必要な場合がある

銀行融資も日本政策金融公庫同様に、事業資金の融資には比較的低めの金利が設定されています。

また、地域銀行と関係が密接になれば、自社のクライアントになってくれそうな他社を紹介してくれることもあったり、都市銀行から借入できれば主要取引銀行として対外的なアピールができたりと、付き合いをもつこと自体にメリットがあります。

ただし、日本政策金融公庫以上に融資実行まで時間がかかってしまうのが銀行融資のデメリットです。
融資のための審査も厳しく、創業間もない会社や個人事業主がいきなり銀行から事業資金を借りるのは難しいと言わざるを得ません。

ただ、銀行と1対1の融資が難しい場合でも、保証協会の保証付き融資や制度融資を利用することで、銀行から融資を獲得できることもあります。

ノンバンクのビジネスローン

ノンバンクとは、預金業務をおこなっていない消費者金融や信販会社などの金融機関を指す言葉です。

個人向けの融資実績が豊富な大手消費者金融などは、そのノウハウを活かしてビジネスローンも展開しています。

ノンバンクのビジネスローンのメリット・デメリット

ノンバンクのビジネスローンでデッド・ファイナンスを行うメリット・デメリットをまとめました。

ノンバンクのビジネスローンのメリット ノンバンクのビジネスローンのデメリット
  • 融資実行までのスピードが早い
  • 赤字決算でも融資が実行される可能性がある
  • 申込に手間がかからない
  • 比較的審査に通過しやすい
  • 金利が高い
  • 融資限度額が少ない
  • 他の金融機関から警戒される

ビジネスローンのメリットは、なんといっても融資スピードの早さです。
日本政策金融公庫や銀行からの融資では、融資実行まで2週間から数ヶ月かかるのが当たり前のところ、ビジネスローンなら申込から最短即日で融資可能な「オリックスVIPローンカードBUSINESS」も用意されています。

そのため、つなぎ融資などの急な資金需要に対して効果を発揮するのがビジネスローンの特徴です。

裏を返せば、ビジネスローンは、急な資金需要以外で利用することは避けたいデッド・ファイナンスでもあります。

日本政策金融公庫や銀行融資に比べて高金利なビジネスローンは、短期間で返済しなければ、会社の負債をどんどん積み上げてしまいかねません。
そのため、企業が最終的にたよるデッド・ファイナンスという印象が強く、決算書にまだ返済できていないビジネスローンからの借入が記載されていると、他の金融機関から厳しい目を向けられることになります。

ビジネスローンは、返済する見込みがある場合のみ、少額・短期の利用を徹底しましょう。

不動産担保ローン

不動産担保ローンは不動産自体が資産を生むわけではないため、デッド・ファイナンスに数えられる資金調達方法です。

不動産の資産価値によって借入できる金額が異なります。

不動産担保ローンのメリット・デメリット

不動産担保ローンでデッド・ファイナンスを行うメリット・デメリットをまとめました。

不動産担保ローンのメリット 不動産担保ローンのデメリット
  • 創業間もない会社や個人事業主でも利用できる
  • 担保不動産の価値によっては業績に関係なく融資が受けられる可能性がある
  • 金利が比較的低い
  • 担保とする不動産が必要
  • 資産価値=借入金額ではない

不動産担保ローンのメリットは、不動産を担保とすることで、業績や業歴に依存しない低金利のデッド・ファイナンスができる点です。
業績や業歴がまったく関係ないとは言いませんが、少なくとも担保が用意できない場合よりは、審査の通過率は高いのは間違いありません。

不動産担保ローンは、当然のことながら担保となる不動産がなければ借入することはできません。
ただ、自分の所有する不動産がなくても、親族が所有している不動産を担保とすることができる「セゾンファンデックス不動産担保ローン」もあります。
また、不動産担保ローンは担保とした不動産の資産価値がそのまま借入できる金額とイコールではない点も知っておいて下さい。

シンジケートローン

シンジケートローンは協調融資とも呼ばれるデッド・ファイナンスです。

その名の通り、複数の金融機関が、ひとつの会社に融資することをシンジケートローンと言います。

協調融資は大企業の巨大プロジェクト向けというイメージがありますが、日本政策金融公庫と民間の金融機関が小規模事業経営者や中小企業支援としての協調融資を行なっているので、案外身近なデッド・ファイナンスと言えます。

シンジケートローンのメリット・デメリット

シンジケートローンのメリット・デメリットをまとめました。

シンジケートローンのメリット シンジケートローンのデメリット
  • 高額な資金調達がしやすい
  • 比較的審査に通過しやすい
  • 融資実行までに時間がかかる

シンジケートローンのメリットは、高額融資を獲得できる可能性が高い点です。

1つの金融機関では高額な融資が難しい場合でも、負担が分散されたシンジケートローンなら融資が実行される可能性が高くなります。

ただし、協調する金融機関の数だけ審査の時間も伸びてしまうため、融資実行まで時間がかかってしまうのはデメリットと言えます。

例えば、日本政策金融公庫と地元の信用金庫の協調融資の場合、日本政策金融公庫の審査に通過することができても、地元の信用金庫の審査を通過するまでは日本政策金融公庫からも融資が実行されません。

社債の発行

社債とは、企業が資金調達を行うために発行する債券のことです。

社債を発行し、出資者からお金を借りる仕組みです。
債券には借入金額と利息(利率)、支払期日が書かれていて、期日の満期が訪れると、その全額を返済(償還)しなければなりません。

また、満期が訪れる間の期間、固定金利で利子を支払い続けることになります(元金償還のとタイミングで利息を返済する場合もあります)。

社債には広く買い手を募る公募債と、少人数の投資家から買い手を募る私募債の2種類があります。

それぞれに異なる特徴をもっているので、まずは公募債のメリット・デメリットから紹介します。

公募債を発行するメリット・デメリット

公募債を発行してデッド・ファイナンスを行うメリット・デメリットをまとめました。

公募債を発行するメリット 公募債を発行するデメリット
  • 長期的な資金調達ができる
  • 企業の信用力がアップする
  • 社債を持っている人が経営に介入できない
  • 企業が倒産しても社債の返済は必要
  • 手続きが面倒
  • 資金調達までに1ヶ月かかる

公募債を返済する満期は自由に設定できるため、長期的な資金調達が可能になります。

社債を発行できたという事実が、会社に資金を貸すものがいるという証でもあるので、会社の信用アップにもつながります。

また、株式を発行するのとは違い、公募債を持っている人に経営に介入されることはありません。

ただし、発行した公募債はたとえ企業が倒産したとしても、満期に返済する必要があります。満期が近づいたときに、ちゃんと返済するための資金を手元に用意できるようにしておいてください。

公募債は証券会社への依頼や監査機関への申請など手続きが非常に煩雑で、資金調達まで1ヶ月かかります。
社債管理会社を設立する必要もあり、管理にコストを割くことにもなるため、メリットがデメリットを上回ると判断できる場合のみ利用しましょう。

私募債を発行するメリット・デメリット

私募債を発行してデッド・ファイナンスを行うメリット・デメリットをまとめました。

私募債を発行するメリット 私募債を発行するデメリット
  • 長期的な資金調達ができる
  • 社債を持っている人が経営に介入できない
  • 手続きが簡略化されている
  • 企業が倒産しても社債の返済は必要
  • 資金繰り改善のために利用できない

私募債は、公募債と比較して手続きが簡略化されていることから、中小企業が利用しやすいデッド・ファイナンスです。

有価証券届出書を提出する必要もありません。

社債の発行でデッド・ファイナンスを行うのなら、まずは私募債の発行からはじめるのがいいでしょう。

ただし、私募債は純資産額や自己資本率、事業計画書などで適債基準を審査されるため、資金繰りが悪化している状況では発行することが困難です。

新規事業の立ち上げなどのタイミングで利用を検討してください。

アセット・ファイナンスの種類とメリット・デメリット

アセット・ファイナンスは、資産が産み出すキャッシュフローで資金調達をする方法です。

デッド・ファイナンスと比較すると、返済の必要がないというメリットがあります。

ただし、流動化できる資産が手元になければ利用することができません。

代表的なアセット・ファイナンスには以下の2つがあります。

それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。

不動産証券化

不動産は運用することで利益を生み出すことができる固定資産です。

売却することでも利益を出せる可能性がありますが、そうすると、以降の運用益を失ってしまいます。

そこで、不動産を証券化して資金調達をすれば、運用益も活用できる資金調達ができるのです。

不動産証券化のメリット・デメリット

不動産証券化によってアセット・ファイナンスを行うメリット・デメリットをまとめました。

不動産証券化のメリット 不動産証券化のデメリット
  • 不動産が貸借対照表の資産から外れる
  • 買い戻しも可能
  • 返済の必要がない
  • 手続きが多くコストが大きい

不動産を証券化する大きなメリットは、オフバランス化がはかれることです。

企業評価の一つの指標として、少ない資産で多くの利益を出しているかどうかが見られています。

不動産を証券化することで、不動産を資産から外すことができ、オフバランス化ができるのです。

また、ただ売却してオフバランス化するのとは違い、証券化することで一部を手元に残しておいたり、後から買い戻したりなど自由がききます。

ただ、不動産を証券化するには多くの専門家に協力してもらう必要があり、手続きとコストが増大していくのが難点。
証券化のために特別事業会社(SPV)を立ち上げる登記費用と司法書士報酬、証券会社へのマネジメント料、不動産の価値を算出するための不動産鑑定士報酬や弁護士報酬、税理士への報酬などなど。

コストに見合う対価が得られるかどうかが、不動産証券化を成功させるカギとなります。

ファクタリング

ファクタリングは売掛債権を譲渡して現金化する資金調達方法です。3社間ファクタリングのイメージ

売掛とはいわゆるツケ払いのこと。

企業間で支払いを行う場合は、締・支払日に合わせて金銭が授受されるのが一般的です。
そのため、今売上が上がったとしても実際に現金が手元に入ってくるのは、数ヶ月後というケースは少なくありません。

売上が上がった数ヶ月後に売上代金を請求できる権利のことを、売掛債権と言います。

ファクタリングを具体的に例えると、「100万円の売上を請求できる権利」を80万円で売却して資金調達をする方法です。

ファクタリングのメリット・デメリット

ファクタリングでアセット・ファイナンスを行うメリット・デメリットをまとめました。

ファクタリングのメリット ファクタリングのデメリット
  • 売掛債権を早期に現金化できる
  • 自社の業績に関わらず資金調達ができる
  • 未回収リスクを回避できる
  • 返済の必要がない
  • 売掛金全てが手に入るわけではない
  • 3社間取引では取引先の信用を失いかねない

ファクタリングを利用すれば、売掛債権の期日を待たずして、売掛金を現金化することができます。

自社の資金繰りが悪い状況でも、売掛先の信用が高ければファクタリングの審査に通過できる可能性が高いのもメリットです。

また手形割引とは違い、売掛債権が未回収になってしまった場合でも、こちらが責任を負うことはありません。

ただし、売掛金全てがファクタリングによって現金化することができないのは覚えておいてください。
ファクタリング手数料や掛け目によっては、売掛金の7割~9割程度が現金化できます。

ファクタリングで手に入る現金の額は、ファクタリングの種類によっても変わります。

ファクタリングにはファクタリング会社と2社間で行う2社間ファクタリングと、売掛先も交えて行う3社間ファクタリングがあり、3社間ファクタリングの方が現金化できる金額が高くなるのです。
なぜなら、売掛先も交えてファクタリングを行う方が、売掛債権の信用度が高くなるから。
ただし、3社間ファクタリングをすると、売掛先にファクタリングを利用することが伝わるので、自社の信用を下げてしまう可能性も考えなければなりません。

エクイティ・ファイナンスの種類とメリット・デメリット

エクイティ・ファイナンスは、新株発行(増資)による資金調達です。

会社からすると、返済の必要がない資金調達なので、財務体質を強化することにもつながります。

一方、株主にとっては、すでに持っている株式の価値が下がってしまうことなります。
そのため、エクイティ・ファイナンスを行う場合は、株主に対して合理的な説明を行い、理解を求める必要があります。

また、第三者が経営権を持つことがないように、現経営者以外が1/3以上の持ち株を確保できないようにコントロールしなければなりません。

エクイティ・ファイナンスには以下の4種類があります。

それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。

公募

公募は時価で新株を発行して資金調達をする方法です。
そのため、公募は時価発行増資とも呼ばれます。

公募の場合の新株発行価格は、価格決定から払込までの間に起こる株価変動などを考慮して決められるため、一定の日の時価を基準としてディスカウントを行い決定されます。

公募のメリット・デメリット

公募によってエクイティ・ファイナンスを行うメリット・デメリットをまとめました。

公募のメリット 公募のデメリット
  • 時価が高いときに行えば発行数が少なくても資金調達が容易
  • 株価が下落する可能性がある

公募のメリットは、時価が高いときに行うことで、発行株数が少なくても高額な資金調達が可能だということです。

反対に、多くの新株を発行してしまうと、株式が希薄化し投資家からの需要が悪化するため、株価が下落してしまう可能性もあります。

株主割当増資

株主割当増資は、新株を発行する際に、既存株主の持ち株数に応じた新株を割り当てて、既存株主たちに出資をしてもらうという資金調達です。

株主割当増資のメリット・デメリット

株主割当増資によってエクイティ・ファイナンスを行うメリット・デメリットをまとめました。

株主割当増資のメリット 株主割当増資のデメリット
  • 株主の構成、持ち株比率が変わらない
  • 既存株主の理解が必要
  • 新しい株主の登場がない
  • 手続きやコストが増大

株主割当増資なら、増資を行っても他者が経営権を持つことはありえません。

しかし、その点を考えると既存の株主からすれば、旨味が少ない出資をすることになります。
出資額が増えても、立場が変わらないからです。

また、新しい株主が登場しないため、効率的な資金調達とも言い難い部分はあります。
株主割当増資を行うためには、株主総会や取締役会を開く必要があり、資本金増加による登記変更も必要です。

その際は、司法書士報酬や登録免許税などのコストも発生するため、それに見合う資金調達ができるかどうかを見定めなければなりません。

第三者割当増資

第三者割当増資は、特定の第三者に新株を引き受ける権利を与えて増資する資金調達方法です。

特定の第三者は取引銀行、取引先、自社社員などが一般的です。

この新株発行方法は上場していない中小企業が主に利用しています。

第三者割当増資のメリット・デメリット

第三者割当増資でエクイティ・ファイナンスを行うメリット・デメリットをまとめました。

第三者割当増資のメリット 第三者割当増資のデメリット
  • 既存の取引先との信頼を高めることができる
  • 新しい株主の登場により効率的に資金調達できる
  • M&Aのスキームになる
  • 株式の希薄化による株価の下落が懸念される
  • 新しい株主が経営権を持つ可能性がある

第三者割当増資のメリットとしては企業の関係者との連携や信頼関係が向上するという点があげられます。

第三者割当増資が取引銀行、取引先、自社社員に割当を行う大きな理由は、すでにある程度の信頼を集めているため資金調達がしやすいから。
新株を割り当てることで、さらなる信頼獲得も期待できます。

また、新しい株主の登場によって、今までにはなかった出資にも期待でき、発行した新株を買い手企業が引き受けるという形でM&Aが行われるというケースもでています。
ただ、裏を返せば経営権を獲得されかねない部分はあるので、それを望まない場合は注意が必要です。

既存株主が株式の希薄化が原因で離れてしまう可能性も考えておいてください。

転換社債型新株予約権付社債

転換社債型新株予約権付社債は、条件付きで発行する企業の株式に転換できる権利がついた、転換社債を発行する資金調達方法です。

一般的には転換社債やCB(Convertible Bond)と呼ばれています。

企業は投資家に対して、社債を株式に変換できるメリットを提供しているので、通常の社債よりも利回りを低くできます。

転換社債型新株予約権付社債のメリット・デメリット

新株予約権付社債付社債でエクイティ・ファイナンスを行うメリット・デメリットをまとめました。

転換社債型新株予約権付社債のメリット 転換社債型新株予約権付社債のデメリット
  • 社債より金利を低く設定できる
  • 経営権を与えずに済む
  • 満期になれば償還する必要がある
  • 賃借対照表で負債に計上される

転換社債型新株予約権付社債は、株式に転換できる権利を投資家に付与するため、通常の社債よりも金利を低めに設定できます。
また、株式に転換されなければ経営権を第三者にも与えずに済むのです(発行数のコントロールは必要)。

ただ、投資家が株式に変換せずに社債を持ち続けた場合、満期には元金を全額償還する必要があります。

他のエクイティ・ファイナンスとは違い、賃借対照表で負債に計上される点も覚えておいてください。

まとめ

資金調達の方法には、3つの種類があります。

それがデッド・ファイナンスとアセット・ファイナンス、そしてエクイティ・ファイナンスです。

それぞれ異なる特徴を持っているので、会社の状況に応じて最適な資金調達の方法は異なります。

経営者として、まずは今回紹介した12この資金調達方法を把握し、今会社に必要な資金はどの方法で調達するのがベストなのかを、すぐ判断できるようになっておきましょう。

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