2017/09/27

事業資金はなるべく借入をしないで調達したいと考えている経営者は多いのではないでしょうか?

しかし、現実的には自己資金を豊富に持って起業できるケースは少ないでしょう。

そんな時に活用できるのが返済の必要がない助成金です。

今回は助成金の目的から申請方法、注意点まで幅広く解説します。

助成金とは何か?

まずは助成金とは何かという点について解説しましょう。

同じような制度に補助金もありますが、違いはあるのでしょうか?

助成金は国や自治体が行なう支援

助成金は国だけではなく地方自治体でも取り扱っていますが、基本的には国の政策に基づいて企業の活動を支援するためにあります。

なぜ企業を支援するかというと、その理由は主に雇用を促進することにあります。

国が支援することにより企業活動を活性化し雇用促進に結びつけるのが主な目的です。

そのため多くの助成金は厚生労働省が取り扱っています。

同様の趣旨で取り扱っている補助金制度は必要な資金の一部を補助する目的で、予算が決まっているので上限になると募集が締め切られます。

これに対して助成金は申請要件を満たしていれば必ず支給されるという特長があります。

雇用に関する助成金

主に厚生労働省が取り扱う助成金は雇用に関係しています。

代表的な助成金には以下のものがあります。

  1. トライアル雇用奨励金
  2. 特定求職者雇用開発助成金

1では母子家庭の母親や生活保護受給者など事情があり就職困難な人材を一定期間試用すると支給し、シングルマザーをパート・アルバイトで正式に雇用すると2により助成金を支給します。

1から2の流れで雇用すれば試用期間から正式採用後まで連続して助成金をもらうことができます。

創業時に利用できる助成金

厚生労働省で取り扱っているキャリアアップ助成金は起業支援としても活用できます。

起業時には事業が軌道に乗るまで勇気契約雇用で人を雇い、事業が順調に推移した頃合いで正規雇用に切り替えます。

キャリアアップ助成金は有期雇用している従業員を正規雇用にすると助成金がもらえます(正規雇用等転換コース)。

また、正規雇用してから職業訓練を行なうとさらに助成金が支給されます(人材育成コース)。

但しそれぞれについて申請する必要があります。

補助金も創業時に活用できる

補助金は必要資金の一部ですが返済なしで利用できます。

特に創業時はいくらでも資金が必要となるので、その後の返済がいらない補助金も活用しましょう。

  • 創業促進補助金(経済産業省):補助率2/3、100万円~200万円

補助金を申請するときは申請期間に注意しましょう。

創業補促進補助金は年度ごとに応募期間が決まっていて、平成28年度は4/1~4/28でした。

応募総数は2,866件、採択数は136件で採択率は4.7%の狭き門です。

主な助成金の申請・金額

それでは主な助成金の具体的な申請方法や助成金額などをご紹介しましょう。

トライアル雇用奨励金

トライアル雇用奨励金はハローワークを経由して随時申請することができます。

求人票を提出するときに申請も同時に行ない、申請要件を満たしているかどうか簡単な審査が行われます。

支給対象労働者

・経験のない職業に就く人、離職期間が1年超、卒業後3年以内に安定した職業に就いていない人等

・シングルマザー、シングルファザー、生活保護受給者、ホームレス等

対象要件

・ハローワーク・紹介事業者を経由してハローワーク・紹介事業者の紹介した人を雇う

・原則3ヶ月のトライアル雇用をする

・1週間の所定労働時間が原則として通常の労働者と同程度(30時間以上)

支給金額・期間

・対象者1名に付き4万円、最長3ヶ月

なお、障害者を雇い入れた場合は「障害者トライアル雇用奨励金」の対象となります。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は6つのコースがあり、雇用形態が非正規雇用者員のキャリアアップを目的としています。

対象事業主

資本金5,000万円以下従業員50人以下の小売業など業種により制限があります。

  1. 正規雇用転換コース

キャリアアップ計画書を作成しそれに基づいて6ヶ月間雇用を維持・賃金を支払うと1年度10名まで下記の助成金を給付。

申請は6ヶ月分の給与支払い後2ヶ月以内に労働局へ必要書類提出

1名に付き 有期雇用→正社員40万円 有期雇用→無期雇用および無期雇用→正規雇用20万円

  1. 人材育成コース

有期雇用労働者に職業訓練を行なった場合に支給。

キャリアアップ計画書と職業訓練計画書を作成し認定を受けることが要件。

職業訓練期間の終了日の翌日から2ヶ月以内に事業所の所在地を管轄する労働局へ必要書類を提出して申請。

・賃金助成・・・時給800円

・経費助成・・・訓練時間により10万円~30万円(一般職業訓練)、時給700円(有期実習型訓練)

  1. 処遇改善コース

すべての有期契約労働者等の賃金テーブルを2%以上アップ(ケースによっては3%)した場合1名に付き1万円を支給。

賃金テーブルの増額改定後、6か月分の賃金を支払った日の翌日から2ヶ月以内に事業所の所在地を管轄する労働局へ必要書類を提出して申請。

  1. 健康管理コース

法定外の健康診断制度を規定して、4人以上実施した場合にい事業所に付き40万円支給。

延べ4人以上受診させた日の翌日から2ヶ月以内に事業所の所在地を管轄する労働局へ必要書類を提出して申請。

  1. 短時間正社員コース

雇用する労働者を短時間正社員へ転換、または短時間正社員を新たに雇用した場合に1名に付き20万円支給。

6ヶ月分の給与を支払ってから2ヶ月以内に労働局へ必要書類を提出して申請。

  1. 短時間労働者の週所定労働時間延長コース

有期契約労働者の週の所定労働時間を25時間未満から30時間以上に延長した場合に1名に付き10万円を支給。

労働時間の延長後、6ヶ月経過した日の翌日から2ヶ月以内に事業所の所在地を管轄する労働局へ必要書類を提出して申請。

キャリア形成促進助成金

キャリア形成促進助成金は大企業と中小企業のどちらも対象となります。

中小企業事業主は小売業であれば、資本金5,000万円以下労働者の人数は50名以下に限られます。

大企業と中小企業では支給額が違うので、まずどちらの対象となるかどうかを確認しましょう。

対象となる職業訓練を行なった場合に経費や賃金の一部を助成する制度で、対象となるのは以下の4つの訓練です。

  1. 雇用型訓練コース

助成額・助成率:時給800円(off-JT)2/3(off-JT経費)700円(OJT)

  1. 重点訓練コース

助成額・助成率:時給800円(off-JT)1/2(off-JT経費)

  1. 一般型訓練コース

一般企業型訓練の助成額・助成率:時給400円(off-JT)1/3(off-JT経費)

一般団体型訓練の助成額・助成率:1/2(off-JT経費)

  1. 制度導入コース

事業主団体助成以外:(制度導入助成)50万円

事業主団体助成制度:(制度導入助成)2/3

※off-JTは通常の業務を離れて行なう職業訓練、OJTは労働者に仕事をさせながら行なう職業訓練

企業全体の雇用する被保険者に応じて、最低適用人数が1名~5名と決められているので、その人数以上の職業訓練が必要です。

訓練計画の作成・提出後、訓練を実施して訓練終了後2ヶ月以内に労働局に提出して申請します。

助成金・補助金申請のコツ

助成金制度は融資と違って返済能力などの審査はありませんが、受給人数が決まっている補助金は適正で妥当性がある申請かどうかの審査が厳しくなります。

申請要件を満たしているというのは申請者全員が同じ条件なので、その中でアピールできる要素がなければいけません。

助成金の情報を集める

申請する助成金の詳しい情報を知ることも重要です。

自分の事業が対象になるのか、助成金が支給されるための条件などは申請前に十分調査しておく必要があります。

やみくもに申請しても採択される確率は低いでしょう。

助成財団センターでは助成金の情報を提供しているほか、勉強会や研修会も行なっているので活用しましょう。

参照:助成財団センターホームページ

助成金が必要な理由を明確にする

創業時の助成金を申請する場合は、基本的にはお金がないということが助成金を申請する理由ですが、それなら無理して事業をしなくてもいいことになります。

事業をする上で助成金を必要とする理由を明確にすることが大切です。

根本的にその事業をやりたい理由や事業にかける熱意が伝わる文章にして、そのためには助成金が必要だという流れにしましょう。

公募型助成金は面談もある

公募型の助成金・補助金は書類審査通過後に面談があります。

ここで文章では伝えられなかったことをアピールすることができます。

もっとも重要なのは申請した助成金制度の趣旨や期待している効果が、その事業によって得られるかどうかという点です。

助成金によっては採択結果を公表している場合があるので、過去にどんな事業が採択されているのかを確認することも必要です。

事業計画名を確認するだけでも参考になるでしょう。

参考:平成27年度補正 ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金 採択案件一覧

コンサルティング会社を利用する方法

助成金の採択率を高める方法としてコンサルティング会社を利用する方法もあります。

その事業に適切な助成金・補助金の選び方から、申請書の書き方、面談のコツまであらゆるサポートをしてくれるので採択率は高まります。

費用はかかりますが、経費として処理できる上に助成金が採択となれば充分メリットもあります。

始めて申請する場合には、専門家であるコンサルティング会社の活用も検討してみましょう。

まとめ

助成金は公的なものから民間団体まで幅広く提供されています。

政府の方針もあり、最近では融資制度や助成金・補助金でも女性起業家支援制度が増えています。

女性起業家にとってはが独立開業できる大きなビジネスチャンスです。

女性に限らず、高齢者・若者等すべての独立起業を目指す人にとっては、創業融資だけでなく返済不要な助成金を活用することは大きな原動力になります。

助成金に対する知識を深めて起業や事業の安定した経営を目指しましょう。

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