クラウドファンディングは日本でも一般的になりつつある資金調達手段のひとつです。
インターネット上のサイトを利用して不特定多数から支援金という形でお金を集めることができるサービスです。
クラウドファンディングによる国内最大調達金額は、ひとつのプロジェクトで6,000万円以上となるほど調達力があります。
銀行融資と違い、集まった支援金額は返済する必要がないため、効率よく資金を運用することができます。
今回はクラウドファンディングにかかる手数料の仕組みの解説と手数料の比較をしてみましょう。
-
【ライター】嶋崎 -
当サイトを運営している嶋崎と申します。
わたしは経営の経験はありませが、サイト運営に携わり約2年が経過するなかで、事業主のお金の悩みは特有であることを勉強してきました。
たとえば事業主へ実際にインタビューをしたり、実際にセミナーに参加したりするなどして、資金調達の流れやどのようなときにお金の不安を感じるのかを勉強しています。
資金繰りの悩みを解決するためのサービスをすべてを網羅するのは大変です。
一から資金繰りの悩みを調べずとも、「ビズローンで解決できた」が叶うように、全力でサポートします。
クラウドファンディングの手数料の仕組み
最初にクラウドファンディングを利用する場合、どんな手数料がいくらかかるのかを解説します。
手数料は2種類
クラウドファンディングでは、クラウドファンディング利用者と支援者との間に業者(運営会社)が存在しています。
業者のネットシステムを利用しなければ、クラウドファンディングが成り立ちません。
そのため業者へシステム利用料を支払うことが必要となります。
また、システム使用料の支払いはクレジットカードやPayPalといった決済方法を利用するため、決済手数料がかかります。
したがってクラウドファンディングを利用するためには、システム使用料と決済手数料がかかるのが一般的です。
手数料以外の掲載に関する費用などはない運営会社がほとんどです。
手数料はいつ支払うのか?
クラウドファンディングにはプロジェクトの資金調達額が目標額に達しない場合、その後の取扱内容によって2つの種類があります。
All or Nothing方式
設定した目標金額に達したプロジェクト成功のときだけ支援金をもらうことができ、調達失敗した場合、支援金はもらえない代わりに手数料も発生しない。
All In方式
目標金額に達しなくても集まった支援金がもらえ、手数料が発生する。
プロジェクト成功に自信がある場合はAll or Nothing方式を利用しましょう。
失敗したらプロジェクトにかける時間が無駄になりますが、金銭的なリスクはありません。
いっぽうでAll In方式は失敗したら手数料はかかりますが、ある程度の資金を集めることができるので初心者向きと言えるでしょう。
支援者の立場からすると、All or Nothing方式ではプロジェクトが失敗すれば支援金が戻るのでリスクがありません。
All in方式の場合は、失敗すると支援金が支援者には戻らない上に、リターンがもらえないリスクも高くなります。
運営会社による手数料の違い
それでは具体的な手数料を主な運営会社ごとにご紹介しましょう。
主なクラウドファンディング業者の手数料比較
業者 | 手数料 | 備考 |
---|---|---|
Moonshot | 0% | システム使用手数料は無料。 決済手数料は5%。 |
kibidango | 10% | 決済手数料込みで10%。 実質システム手数料は5%。 |
Motion Gallery | 10% | システム手数料10%。 決済手数料はMotion Gallery負担。 10%以外に手数料が不要。 |
CAMPFIRE | 8% | 2017年2月15日から、従来の5%から8%に引き上げ。 別途5%の決済手数料でトータル13%の手数料。 |
READY FOR? | 17% | 決済手数料込みの17%。 キャンペーンからの申込15%。 リピーターは14%。 |
Makuake | 20% | 決済手数料を含む20%。 |
GREEN FUNDING | 20% | 決済手数料を含む20%。 |
ShootingStar | 20% | 決済手数料を含む20%。 |
COUNTDOWN | 20% | 決済手数料を含む20%。 |
A-port | 20~25% | 決済手数料込み20%。 All In方式で失敗した場合は25%。 5営業日後の早期支払いは+1%。 |
プロジェクト成功のために
クラウドファンディングの流れとしては、最初にプロジェクトを立ち上げてプロジェクトページを作成します。
公開する前に出資者への見返り(リターン)を決めることになりますが、購入方式では商品やサービスの提供がリターンとなります。
リターンに魅力がなければプロジェクトの成功は難しいでしょう。
また調達期間が終了するまでにプロジェクトページを宣伝することも大切です。
運営サイトに掲載しているだけでは、ひと目に触れるチャンスが広がりません。
不特定多数を対象としていますが、存在を知られなければ効果はあまりありません。
プロジェクトページが公開されているのは運営会社のホームページ内にとどまっています。
資金調達を目指すプロジェクトオーナーとしては掲載期間終了までに、SNSなどを利用してなるべく大勢の人の目に触れるように活動することも重要です。
プロジェクト失敗時の手数料
手数料に関しては安いというだけではなく失敗したときに、どうなるかということも考えておきましょう。
一般的には、All in方式だと資金調達金額が目標に達していなくても手数料がかかります。
未達成でも集まった資金は利用できますが、手数料を差し引かれることを考えると、自己資金ゼロの場合はプロジェクトの実行が難しくなります。
また、A-portのように失敗した場合は成功時よりも高い手数料を取られることもあります。
初めてクラウドファンディングを利用する場合は、その点も考慮してAll or Nothing方式を選びましょう。
その点でREADY FOR?はリピーターの手数料が安くなるので、繰り返し利用する人にとってはお得になります。
クラウドファンディングのトラブル
クラウドファンディングは事業者にとっては手軽にできる資金調達方法のひとつです。
しかし支援者は事業とは関係のない消費者が多く、仕組みをよく理解しないでショッピング感覚で利用する人もいます。
その結果クラウドファンディングによるトラブルも少なくありません。
プロジェクト起案者が原因のトラブル
プロジェクト起案者、つまり資金調達をする側が原因のトラブルには下記のものがあります。
プロジェクト不成立
All or nothing方式の場合は達成金額に満たない場合は、不成立でも出資者には全額返金となるのでトラブルにはなりません。
しかし、All In方式の場合は達成額に届かない場合でも、出資金額は戻りません。
All IN方式でも返金があると勘違いした出資者がいる場合にはトラブルの可能性が高くなります。
プロジェクト失敗
出資金額が目標に達した場合でもプロジェクトが失敗することがあります。
これは基本的な計画がずさんだったり、計算違いだったりということが原因で起こるトラブルです。
出資者にとってはリターンも返金もないため大きなトラブルとなります。
こうしたプロジェクト失敗がないように掲載する前によく計画を練っておきましょう。
詐欺
最初からプロジェクト実行の意思がなく、お金をだまし取るつもりでプロジェクトを掲載するケースがあります。
出資者にとっては詐欺のリスクは常にあるので、運営会社で過去に詐欺などがなかったかどうかは調べておくといいでしょう。
詐欺の事実があれば出資者も敬遠するので、起案者も事前調査は必要です。
プロジェクト支援者が原因のトラブル
支援者が原因のトラブルでは知識不足によるものがほとんどです。
ショッピングと同じように考えている支援者は、All In方式でも返金があるものと考えたり、必ず商品が届くものと考えたりします。
そのため返金や商品トラブルのリスクは常にあります。
プロジェクト成功でも商品(リターン)が届かないケースもあることを、出資者が理解していればトラブルにはなりません。
起案者にはどうしようもないトラブルですが、知識不足の支援者もいることは理解しておきましょう。
リターンとして大量に商品を受け取り転売目的で支援するケースがあります。
最近ではリターンにも制限を設けている運営会社も多いので、以前ほどトラブルはないようです。
しかし、転売目的の支援者がいることを理解した上で、リターンの設定をしましょう。
サービス運営会社が原因のトラブル
サービス運営会社が原因のトラブルは倒産によるものがほとんどです。
実際に倒産となった場合には出資金はほとんど戻ってこないと考えましょう。
起案者にとってもプロジェクトが成立して、出資金の入金前に倒産となればダメージは大きいでしょう。
実際に日本でもアニメイベントなどの出資を対象とした「Animelf」が倒産をしています。
運営会社を選ぶときは手数料だけでなく、実績や経営の安定も考慮に入れましょう。
・実績や利用者数が多いかどうか
・分別管理を行っているか
・利用規約に倒産に関する条項があるか
分別管理は投資型ファンディングの一部で義務付けられている管理方法で、出資金を別管理する方法です。
購入型ファンディングでは実際にプロジェクト数も多く利用されているかどうか、過去に大きなトラブルがなかったどうかに気をつけて利用しましょう。
まとめ
クラウドファンディングによる調達資金は最大で20%の手数料が差し引かれます。
しかしクラウドファンディングは事業融資と比べると元金の返済が不要というメリットがあります。
インターネットを利用した不特定多数が対象の資金集めで、基本的に審査はありますが審査料金などは不要なサービスです。
キャッシュフローを改善する方法としても有効な資金調達用法となります。
日本でも購入型クラウドファンディングは普及して運営会社も増えてきています。
この機会に資金調達方法のひとつとして考えてみてはいかがでしょうか。