資金繰りの悪化は事業主・経営者にとって重大なトラブルのもとです。
会社とは、借金が積みあがったときに倒産するのではなく、手元の現金が底をついたときに倒産するからです。
そのため、会社の経営者は、資金繰りの悪化の傾向を早く察知して適切な対応をする必要があります。
資金繰り悪化の兆候が出始めるのは、利益が減少したときだけではありません。
売上が急増したときも、資金繰り悪化に備える必要があります。
売上が急増したということは、それだけ仕入れにもお金がかかっているということですよね?
そうすると、売上が手元に入るよりも先に、仕入れにかかったお金の支払いがやってくるのです。
上記のような状態が、資金繰りの悪化を指しています。
では、最悪の事態を避けるために、いったいどのような対策をとればいいのでしょうか。
今回は資金繰り悪化を未然に防止する方法や、資金繰り悪化を改善する方法について解説します。
資金繰りを円滑に行い、順風満帆な会社経営を行うために、この記事を役立てていただけると嬉しいです。
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ビズローン編集長:田中 -
当サイト「ビズローン」の運営をしております、田中と申します。
中学3年生のとき、父親の借金によって家庭が崩壊・・・。
その後、母親の勤務している医療法人の奨学金制度を利用して4年制大学へ。
毎月5万円ずつの奨学金の返済を継続中。
しかし、この借金を背負ってでも、大学に行った経験はかけがえのないものとなっています。
借金の酸いも甘いも知るオトコとして、みなさんの資金調達のお困りごとを解決するサポートをしていきます!
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【ライター】嶋崎 -
当サイトを運営している嶋崎と申します。
わたしは経営の経験はありませが、サイト運営に携わり約2年が経過するなかで、事業主のお金の悩みは特有であることを勉強してきました。
たとえば事業主へ実際にインタビューをしたり、実際にセミナーに参加したりするなどして、資金調達の流れやどのようなときにお金の不安を感じるのかを勉強しています。
資金繰りの悩みを解決するためのサービスをすべてを網羅するのは大変です。
一から資金繰りの悩みを調べずとも、「ビズローンで解決できた」が叶うように、全力でサポートします。
資金繰り悪化の原因
資金繰りが悪化する原因は大きく分けて以下の2つがあげられます。
- 利益の減少
- 売上の急激な増加による資金不足
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
利益減少による資金繰りの悪化
利益が減少している原因は、単純に売上高が減少しているからというのがほとんど。
一方、売上が伸びているのに利益が減少している場合は、経営者の手腕に問題があるケースが考えられます。
もしかして、利益と売上を混同して考えていませんか?
利益と売上を混同している経営者は売上至上主義になり、利益を減少させてしまいます。
売上を上昇させるのはある意味簡単なことで、利益を度外視して競合他社よりも格安で販売すればいいのです。
ただし、そうした販売方法は長続きしないどころか、長く続けるほど赤字になってしまいます。
優秀な経営者ほど利益を確保しながら売上を拡大する方法を常に考えています。
赤字覚悟の価格を設定することも時には必要ですが、トータルで利益を出すことは忘れないようにしましょう。
利益が減少するほど手元に現金が残らないので、資金ショートに陥りやすくなるのです。
急激な売上増加も資金繰りが悪化する
予想を超えて売上が急上昇することは経営者にとっては嬉しい誤算。
しかし、売上代金がすぐに現金に結びつかない場合は、むしろ仕入資金がショートすることになります。
消費者相手の小売業であれば売上は現金に結びつきますが、卸業など企業が取引先の場合は、売上が現金になるには時間がかかるからです。
取引相手が企業の場合は支払手形で支払うのが慣例で、現金化できるまでの回収サイトは数カ月になります。
仮に売上金の回収サイトが2ヶ月の場合、仕入代金の支払サイトが1ヶ月であれば、いくら売上が伸びても常に仕入代金の支払に追われることになりますよね。
これを放置しておくと資金繰りの悪化につながります。
キャッシュフローで経営状態をチェック
他社と新規に取引をする場合も取引先の資金繰りの状況を見極めるためにも、キャッシュフローは常に確認しましょう。
常日頃から現金残高をチェックしておくことで資金繰りの悪化の兆候が見えてきます。
キャッシュフロー計算書には、営業活動によるキャッシュフロー(営業CF)、投資活動によるキャッシュフロー(投資CF)、財務活動によるキャッシュフロー(財務CF)の3つの種類があります。
重要なのは営業CF。これがマイナスになっていれば、ほかの2つがプラスでも本業が苦しい分を投資収支や財務収支で補っていると見ることができます。
反対に営業CFがプラスであれば、本業がしっかりしているという裏付けになります。
常に営業キャッシュフローをチェックして減少傾向にないか把握しておきましょう。
記帳が得意ではないという方は、会計ソフトを利用してください。
会計ソフトの中にはキャッシュフロー計算書を作成する機能もあるので、中小企業経営者や個人事業主でも簡単に作成可能です。
資金繰りが悪化しないための対策
資金繰りが悪化傾向になる前に事前に対策しておけば、資金繰りショートのリスクを避けることができます。
事前にできる対策や考え方を5つご紹介します。
- 商品価格の見直し
- 売上回収と仕入の支払いサイトの見直し
- 在庫を適正な量にする
- 宣伝力・営業力を高める
- 経費の無駄は徹底的になくす
ではひとつずつ解説します。
商品価格の見直し
商品価格は安ければ売れるというものではありません。
特に中小企業では安さで勝負していては大手の量販店にはかないません。
価格が高くてもそれに見合う付加価値があれば、充分に売上は見込めます。
ただ価格だけを上げても内容が伴わなければ売上に結びつかないので、他の商品との違いをアピールする、パッケージも高級感を出すといった工夫が必要になります。
現代の経営の神様、京セラ創業者の稲森和夫さんの言葉にも、「値決めは経営」とあります
資金繰りの悪化を未然に防ぐためにも、利益を生み出す価格設定になるよう、今一度価格を見直しましょう。
売上回収と仕入の支払サイトの見直し
既存の取引先・得意先に対して売上回収サイトを短くしたり、仕入の支払サイトを長くしたりするのは難しいかもしれません。
ただ、売上が急増したタイミングなら売上回収と仕入れの支払いサイトを見直すチャンスはあります。
売り上げが急増したということは新規の取引先が増える可能性も高くなります。
新規取引先には通常よリも自社に有利な回収・支払サイトを提示してみましょう。
大切なのは、ゴリ押しではなく取引が成立する程度に駆け引きを行なうことです。
売り上げが急上昇している時期だからこそ有利に取引条件を提示できることになります。
特に回収期日の短縮は資金繰りに大きな影響があるので回収状況を常にチェックしておくことが重要です。
在庫を適正な量にする
棚卸資産(在庫)は売上に結びついていないので経費計上もできず、資金繰りを悪化させる要因になります。
上記の計算で算出できる在庫回転期間をチェックして、適切な回転率を保つようにしましょう。
在庫回転期間が適切かどうかはは事業内容によって違いがあるので、自社の事業にとって適切な回転期間を把握しておきましょう。
長期に在庫を抱えるよりは、ときには見切り処分をして現金化することも必要です。
宣伝力・営業力を高める
いくら素晴らしい商品やサービスを提供していても広く消費者に認知されていなければ売り上げに結びつきません。
広告宣伝が効果的に行われているかどうかのチェックも必要です。
中小企業や個人事業では広告宣伝費に大きなお金をかけることができませんが、インターネットなどを活用すれば費用対効果は高くなります。
自社のホームページを作成して、市町村のホームページに掲載すれば低価格で広告・宣伝することができます。
またタウン誌やフリーペーパーなどを利用する方法もあるので、今までに利用していない媒体も活用してみましょう。
同時に営業力も普段から高める努力はしておきましょう。
経費の中でも大きな割合を占める人件費を活用する意味でも、営業力アップのための勉強会やセミナーなどは積極的に導入してマンパワーも高めていってください。
経費の無駄は徹底的になくす
消耗品を一括で購入すると値引きがあるからといって必要以上の量を購入していては結局無駄になります。
こうした消耗品購入に見直しから、設備投資に至るまで経費を定期的に見直しすることも大切です。
物に限らず人材の適材適所も人件費の価値を高めることになります。
人事異動は社員や従業員の適性を見極めて行なえば、営業効率を高めることにもなるので、普段から社員の能力を把握しておきましょう。
さて、資金繰りが悪化するまえの対策として5つの方法をお伝えしました。
ただ、これら5つの対策を全てこなしても、やむをえない事情で資金繰りが悪化しそうになる場面は突如として訪れることがあります。
そこで経営者は、万が一の資金繰り悪化に備えて、資金調達の手段も確保しておかなければなりません。
次に、経営者なら把握しておきたい適切な資金調達の方法を解説します。
資金調達手段
事業資金を調達する方法はいろいろありますが、それぞれのメリット・デメリットを把握して、適切に運用しましょう。
低金利融資なら日本政策金融公庫や銀行
融資を利用する場合は金利の支払が生じるので、まずは日本政策金融公庫や銀行の低金利融資から検討しましょう。
不動産などの担保がある場合はより低金利で長期に借入ができるので有利です。
担保は不動産だけではなく預金や売掛債権も対象となるので、金融機関に相談してみましょう。
ただし、低金利融資は審査に時間がかかるという弱点もあります。
日本政策金融公庫なら申込から1ヶ月程度で融資が下りる場合もありますが、銀行融資の場合は申込から3ヶ月待たされるということもあり得るのです。
日本政策金融公庫や銀行などの低金利融資は、事前に計画をしっかりと立てて、高額・長期の支払が必要な設備資金(開業資金)に活用することをおすすめします。
補助金・助成金
各省庁や地方自治体が行なっている補助金や助成金は返済の必要がないので、該当する事業であれば申請してみましょう。
定期的に募集しているものが多いので、一度だけでなく何度も申請する価値はあります。
助成金や補助金が使えるのであれば、資金繰りにとっては大きなメリットになります。
ビジネスローンによる資金調達
日本政策金融公庫や銀行といった金融機関は、申し込みから融資実行までに数ヶ月かかることもあり、緊急な資金繰りには不向きです。
短期で一時的な資金調達であれば、ビジネスローンを活用しましょう。
消費者金融の中には、中小企業経営者や個人事業主向けのビジネスローンを取り扱っている金融機関もあるので、事前に融資枠を作っておくのも得策です。
例えば「AGビジネスサポート」は個人事業主、法人代表者※が申し込みできるカードローンです。
AGビジネスサポートなら、事業性融資に対応した最大1000万円までの貸付を受けることができます。
ビジネスローンに関して、当サイトを通じたアクセス数から、おすすめをまとめました。
※法人のお客様:75歳まで、個人事業主のお客様:69歳まで
まとめ
事業活動・企業活動をスムーズに行なうためには、資金繰りをうまく回すことが大切です。
経営者としては資金繰りがショートしてから行動を起こすのではなく、資金繰りがショートしないように普段からチェックをすることが欠かせません。
その上で資金ショートしても対応できる対策をしておきましょう。
資金繰りが悪化する前に行える対策としては以下の5つを覚えておいてください。
- 商品価格の見直し
- 売上回収と仕入の支払いサイトの見直し
- 在庫を適正な量にする
- 宣伝力・営業力を高める
- 経費の無駄は徹底的になくす
その上で、資金調達先についての知識も蓄えておけば、鬼に金棒。
事前の準備を怠らなければ、資金繰り悪化を防ぐことはできます。
つねにキャッシュフロー対照表の確認もしておくことも忘れないでくださいね。