役員報酬でできる節税対策とは

更新日:2019/02/28
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役員報酬による節税は、中小企業が実践できる節税対策の基本です。

しかし、税金についての知識がなければ、逆に余計な支出を増やしてしまうことにもなりかねないため、躊躇している経営者の方もいらっしゃるでしょう。

適切な節税方法を知れば必ず会社経営で役立ちますので、ここでしっかり役員報酬でできる節税対策を解説していきます。

役員報酬は節税対策になる

「役員報酬はいくらでも関係ないのでは?」
と考えている人もいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。

ここでは以下の点から役員報酬での節税対策について見ていきましょう。

・結局どうするのが節税対策によいのか?
・社長一人に役員報酬を支払う場合と、配偶者と2人で分配する場合ではどう変わる?

家族で分配するのが一番節税できる!

「役員報酬で節税するには結局どうするのが一番よいの?」

と気になる人も多いですよね。

役員報酬で節税したいのであれば、役員報酬を家族で分配するのが一番の節税対策になります。

というのも、所得は累進課税になっているため、所得の金額を分配するメリットが大きいからです。

家族でも何の業務にも関わっていない場合だと役員にすることはできませんが、何らかの業務を担当していれば、役員に着任させることができます。

さらに他にも親族が関わっているのであれば、その親族の人も役員に着任可能です。

役員報酬の金額をいくらにするのか、ということも確かに節税対策として重要なのは間違いありません。

ただしその金額を計算するには所得税・住民税と法人税の両方を計算するという複雑な計算を求められます。

そのため家族が何らかの業務に関わっているのであれば、この方法が一番簡単かつ効果的に節税できる方法なのは間違いないでしょう。

役員報酬を家族と分配するとどう変わる?

「役員報酬を家族と分配してどのくらい税金が変わるかわからない!」

という人がほとんどだと思います。

では以下の2つを比較してみましょう。

・社長1人で役員報酬が年間5000万円
・社長と配偶者で4200万、800万ずつの役員報酬

まず所得税の計算式は以下の通りです

(所得金額-所得控除)×所得に応じた税率-税額控除=所得税の金額

社長1人で役員報酬が年間5000万円の場合、所得税として納税する金額は1654万円にもなります。

一方で配偶者と所得を分配した場合(社長4200万円、配偶者800万円)には、社長側の納税額が約1297万、配偶者にかかる税金が42万円になり、合計の所得税金額が約1367万円です。

配偶者に所得を分配することで、所得税は約287万円も節税できます。

これだけ見ても、かなり大きな節税効果が期待できるのが見てとれるのではないでしょうか。

家族を役員にする所得税以外のメリット

家族を役員にするメリットは、所得税の節税になるだけではありません。

それだけではなく以下のメリットもあります。

・贈与税、相続税対策になる
・社会保険に加入させられる

贈与税、相続税対策になる

配偶者が専業主婦であった場合、社長の方が万が一なくなってしまったときに相続税や贈与税の対象になることがあります。

というのもこの場合、配偶者の資産は、実質的に社長のお金で構成されてしまうからです。

これは例え、名義が配偶者の名前であっても適用される可能性があります。

万が一のことではありますが、配偶者を会社の役員にすることでこうした事態を回避できますよ

社会保険に加入させられる

配偶者を役員にすることで、社会保険に加入させられるのもメリットです。

配偶者が専業主婦の場合、配偶者の社会保険料は社長の負担になります。

配偶者に役員報酬を支払うことで、社会保険を配偶者の給料から負担させられるように。

どちらでも社会保険料を払っているという点では、さほど変わらないように見えるかもしれませんが、以下のような違いがあります。

・社会保険料の会社負担分を福利厚生費として計上できる
・将来収入に応じて支払った社会保険料が年金部分に上乗せされる

ただしこれは「非常勤役員」の場合には適用されません。

役員報酬とは

役員報酬とは、役員に支払われる報酬のこと。

「給与所得とどう違うの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。

従業員の給与所得との違いは役員報酬にはいくつかのルールがあることです。

ルールがない状態だと、節税のためだけに役員報酬を高額にして、会社の利益を減らすことで節税できてしまう恐れもあり、こうした事態を避けるため役員報酬にはいくつかの決め事があります。

基本的なルールは以下の通りです。

・役員報酬は一定額でなければならない
・役員報酬の変更には条件がある

このルールを守らないと、税務署の監査で指摘される可能性もあるので気をつけてください。

役員報酬は一定額でなければならない

役員報酬は、一定額で定められ、1年に一度の変更期間を除いて変更することができません。

これを定期同額給与と言います。

厳密に言うと、変更することは可能ですが変更するデメリットが大きいです。

変更し、役員報酬を増額させてしまうと、変更した差額が経費として計上できなくなり、所得税だけ余分に支払う結果になってしまいます。

というのも、役員報酬を自由に変更できると、会社の利益に合わせて増減させることで、恣意的な節税が可能になってしまうからです。

役員報酬を変更するときの条件

役員報酬の変更期限は1年に一度しかありません。

その会社の事業が開始された日にちから、3ヶ月以内の間が役員報酬の変更可能期間です。

役員報酬を変更する場合にはこの期間に変更できるよう株主総会を開催し調整するのが一般的です。

「では役員報酬は特定期間でないと変更できないのか?」というと、例外はあります。

以下の条件を満たす場合には役員報酬を変更可能です。

・新規役員が増える、または退任された場合
・地位や職務が大きく変更された場合
・会社の経営が悪化した場合

この条件を満たしている場合には、上記のデメリットはなくなります。

新規役員が増える、または退任された場合

新規役員が増える場合、または退任される場合には役員報酬の変更が認められます。

この場合には、役員報酬を変更することはむしろ自然なため、役員報酬の変更は特に問題ありません。

地位や職務が大きく変更された場合

一般社員の方が社長や常務、専務や社長になった場合、報酬額が大きく変動します。

そのため、この場合にも臨時改定事由として認められます。

会社の経営が悪化した場合

会社の業績が何らかの事情で大きく悪化した場合、役員報酬の減額が認められます。

ただし、業績が悪化していれば、どんなときでも改変できるわけではありません。

業績が悪化した場合には、業績が悪くなる客観的な事情が必要になります。

その事情を元に最終的に税務署が判断します。

場合によっては認められないケースもあるので、業績悪化を理由に役員報酬を変更する場合には、税理士とよく相談しましょう。

役員報酬のベストな金額はいくらなのか

役員報酬の金額をいくらに設定するのか、と言うのも節税するためには大切です。

この金額は高すぎると、個人の所得税が増えますし、低すぎると会社の利益が増えることで法人税が増えてしまいます。

そのため、役員報酬を決めるためにはベストな金額が存在しています。

「でもどのくらいがベストなのかどう計算するのかわからない」

という人がほとんどだと思います。

そこでここでは、以下の点について見ていきましょう。

・節税対策を考えるときに必要な要素
・法人税と住民税のバランスを調整する

節税対策を考えるときに必要な要素

「節税対策をするにはいくらで設定したらいいの?」

ということを知るのは簡単ではありません。

というのも、いくつかの要素が関係しているからです。

具体的には以下の要素を考える必要があります。

・役員報酬と所得税、住民税、社会保険の関係
・役員報酬と法人税

役員報酬と所得税、住民税の関係

役員報酬が増えるほど、所得税・住民税・社会保険も高くなります。

そのため役員所得を下げた方が所得税・住民税・社会保険は安くなりますが、当たり前の話ですが、0では生活が成り立ちません。

所得税は所得が増えるほど税率が高くなる累進課税が適用されます。

その税率は以下の通りです。

課税所得額 税率
195万円以下 5%
195万円〜330万円 10%
330万円〜695万円 20%
695万円〜900万円 23%
900万円〜1800万円 33%
1800万円〜4000万円 40%

所得税・住民税と社会保険は全く同じではなく社会保険は労使折半、つまり会社と個人の両方が負担します。

そのため、法人にとっても役員報酬が高いと負担が増えてしまうことに。

ただし役員報酬が一定額まで増えると負担金額はそれほど変わらなくなります。

役員報酬と法人税

役員報酬と法人税の関係も考えなければいけません。

というのも役員報酬が増えれば増えるほど、経常利益が減り法人税の負担が軽くなるからです。

法人税は経常利益の金額で税率の区分が変わります。

具体的には以下の通りです。

課税経常利益額 税率
0万〜400万未満 約20%
400万〜800万未満 約25%
800万以上 約34%

役員報酬を調整し、経常利益の税率区分を切り替えることができると、法人税を抑えられます。

法人税と住民税のバランスを調整する

役員報酬を最適にするためには法人税と所得税・住民税のバランスを調整することが大切です。

・役員報酬を増やすほど、所得税・住民税が高くなる
・役員報酬を減らすほど、法人税が高くなる

上記の両面からバランスを取らなければいけません。

そのことを考えるときに以下の両方から金額を決定します。

・所得税の実効税率55%をいかに小さくするか
・法人税の実効率最大34%(800万以上の場合)よりいかに小さくするか

「結局役員報酬はいくらがベスト」

そう聞きたくなる気持ちはわかりますが、最終的な会社の利益がいくらなのかによって最適な金額は変わります。

そのため一概にどの金額に設定するべきなのか一概には言えません。

役員報酬の決め方次第では、最終的な手取りが100万以上変わる可能性も。

役員個人の生活に必要な金額も考えながら、最適な金額を設定しましょう。

税理士にお願いして、最適な役員報酬を設定してもらうのも選択肢です。

まとめ

役員報酬を適切な価格にすることは節税対策の基本とも言えます。

その上で、報酬を受け取る役員を分散することができれば、さらに税負担を減らすことができます。

まずは役員報酬のルールをしっかり押さえて、適切な価格を決定し、その上で節税が可能ならば取り組むようにしてください。

そこに時間が割けないのであれば、税理士に依頼して対策を考えてもらうことも方法です。

依頼する費用よりも高い節税効果を生み出してくれる可能性もありますので、同時に検討していきましょう。

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