2019/04/22

会社を設立するときの選択肢として、合同会社(LLC)に注目が集まっています。

2006年の会社設立法改正によって誕生した合同会社。

法務省の統計では、2008年に10,785件だった合同会社の数も、2016年には63,486件にまでその数を増やしています(本社・支社を含む)。

合同会社の設立には、いったいどんなメリットがあるのでしょうか。

合同会社とは

合同会社とは2006年から生まれた新しい会社形態です。

株式会社よりもコストを抑えて法人を設立できるため、小規模でも良いから起業したいという人に特にメリットが大きいのが特徴です。

ただ合同会社が設立できるようになってまだ日が浅いため、まだまだ馴染みがない人も多いのも事実です。

ただし、今後もより増えてくるであろう設立方法であるのは間違いありません。

合同会社のメリット・デメリット

「合同会社と株式会社はどう違うかいまひとつわからない」そんな人も多いのではないでしょうか。

合同会社と株式会社は一見するとその違いがないように見えるかもしれませんが、そのメリットとデメリットで見るとわかりやすくなります。

個人で仕事をするときには合同会社以外に例えば以下の方法がありますよね。

・株式会社
・個人事業主

合同会社は簡単にいうと、上記の2つを足して2で割ったような性質を持っています。

ここでは以下の点について見ていきましょう。

・合同会社と株式会社を比較したときのメリット
・合同会社と株式会社を比較したときのデメリット
・合同会社と個人事業主を比較したときのメリット
・合同会社と個人事業主を比較したときのデメリット

合同会社と株式会社を比較したときのメリット

ここでは合同会社と株式会社を比較したときのメリットについて見ていきましょう。

合同会社と株式会社を比較したときのメリットは以下の通りです。

・株式会社と比べて設立に費用がかからない
・手続きが簡単にできる
・利益の配当方法を自分で決められる
・組織図や役職を自由に決められる

株式会社と比べて設立に費用がかからない

株式会社と比べると、設立に費用がかからないことが最大の特徴です。

会社を設立するときに必要な費用は大まかに2つに分けられます。

・会社の登記に必要な費用
・会社を維持するのに必要なランニングコスト

株式会社の場合、会社の登記に必要な費用は約20万前後かかります。

これに対して合同会社の登記費用は6万前後しかかりません。

株式会社のランニングコストは、官報掲載費として毎年6万円必要になります。

これに対して合同会社では官報掲載費が必要ありません。

そのため、登記に関わる費用もランニングコストも合同会社の方が良いと言えます。

手続きが簡単にできる

合同会社と株式会社を比較したときのメリットは手続きの簡単さがあります。

株式会社を設立するためには、以下の手続きが必須です。

・定款認証のために交渉人との打ち合わせ
・役員の選任手続きや重任登記が必要

重任登記とは株式会社で役員の任期が切れたときに行う手続きのことです。

この住人登記を行うごとに1万円ほどの費用がかかります。

合同会社は定款認証が必要なく、かつ役員の任期はないため、重任登記も必要ありません。

そのため、合同会社を設立するのは株式会社と比べて手間がかからないと言えます。

利益の配当方法を自分で決められる

株式会社の場合、利益の分配は所持している株式によって決められています。

つまり、出資額の金額で利益の分配が決められているということです。

これに対して合同会社は、出資金が分配額に影響することはなく、社員同士の取り決めにより全てを決められます。

そのため出資額が少なくても、その会社にとって貢献度が高い人であれば、利益の分配金を多く受け取るということも十分に可能です。

組織図や役職を自由に決められる

株式会社の場合、組織図や役職関して例えば以下のような制限があります

・取締役や執行役を最低一人おかなければいけない
・会社法や金融商品取引法など法規制の影響を受ける
・組織図を変更する場合、承認までに手続きをいくつか踏む必要があり時間がかかる
・決算書の公開義務がある

これに対して合同会社はそのような制限を受けることはなく、社内の規則である定款を話し合いの上で決められることがメリットです。

合同会社と株式会社を比較したときのデメリット

次に合同会社と株式会社を比較したときのデメリットは以下の通りです。

・会社としての信用度が低く見られる
・業務執行権を複数人が持つことで揉め事が起きたときの対処が難しくなる
・上場はできない
・資金調達方法に制限がある

会社としての信用度が低く見られる

合同会社と株式会社と比べると信用度が低く見られる傾向にあります。

そのため、以下のようなことが生じることがあります。

・採用活動で人材が集まりにくい
・合同会社であることを理由に取引を断られることがある

法律上、株式会社が上ということはなく、合同会社と株式会社は対等です。

ただし、人によってはそう見てはくれないケースもあることは知っておく必要があるでしょう。

合同会社の認知度が高まってくれば、それほどデメリットではなくなるかもしれません。

業務執行権を複数人が持つことで揉め事が起きたときの対処が難しくなる

合同会社で業務執行権を複数持っている場合、揉め事が起きた場合の対処が難しくなります。

代表取締役がなく、代表社員同士では対等なことも多いため、その分配金についてなどの揉め事が生じると、解決に時間がかかってしまうこともあります。

上場はできない

合同会社は株式会社と違って上場できません。

上場して資金を集めたい場合や、「いつか上場したい」という人にとってはデメリットになることがあります。

ただし、合同会社から株式会社にすることもできるため、最初は合同会社で設立し、軌道に乗ったら株式会社にするという方法もあります。

資金調達方法に制限がある

合同会社は株式会社と異なり、株式を持たないため、株式を発行して出資者を募ることができません。

資金を集めるには以下の方法に限られます。

・社員から出資金を集める
・銀行などの金融機関から融資を受ける
・社債を発行する

株式が発行できないことは、合同会社にとってデメリットではあることは間違いありません。

ただし、合同会社が社債を発行する場合、社債の利率や償還期間を決められるというメリットもあります。

大規模な資金調達は難しくても、柔軟な対応がしやすいことはメリットと言えるかもしれません。

合同会社と個人事業主を比較したときのメリット

合同会社と個人事業主を比較したときのメリットについて見ていきましょう。

合同会社と個人事業主を比較したときのメリットは以下の通りです。

・個人事業主よりも社会的信用度が高い
・個人事業主よりも経費や控除が適用できる範囲が広い
・利益が大きいほど、節税メリットが大きくなる
・決算日を自由に決められる
・合同会社の場合有限責任になる
・社会保険に加入できる

個人事業主よりも社会的信用度が高い

合同会社は個人事業主よりも社会的な信用度が高いとみなされます。

というのも、合同会社は株式会社と同じく「法人」としてみなされるからです。

個人事業主は法人ではなく、そのために取引を断られるというケースもなくはありません。

個人事業主よりも経費や控除が適用できる範囲が広い

合同会社は個人事業主と比較して経費や控除が適用できる範囲が広いのが特徴です。

利益が大きいほど、節税メリットが大きくなる

合同会社の場合と個人事業主の場合を比較すると、利益が大きければ大きいほど合同会社にすることで、節税効果が高まります。

あくまで目安ですが、利益が500万円前後を超えるくらいから、個人事業主として活動する場合の納税額が大きくなると言われています。

上記の条件を満たしている場合であれば、合同会社や株式会社を設立することで節税効果が高まりますよ。

また売上が1000万円を超える前に合同会社になることで、消費税の納税義務が免除されるというメリットもあります。

決算日を自由に決められる

合同会社は株式会社と同様決算日を自由に設定することができます。

個人事業主の場合、決算は12月末で変更することはできません。

もし12月が繁忙期に当たる場合、決算日を調整することで、業務量の調整を図れます。

合同会社の場合有限責任になる

合同会社の場合、有限責任になることが特徴です。

有限責任の場合なんらかの事情で大きな損失が出てしまった場合でも、個人保証を行なっていないのであれば、会社の出資金の範囲内までしか責任を負う必要がありません。

一方で個人事業主は無限責任となるため、大きな損失を出した場合個人の財産を引き払ってでも賠償する責任が出てきます。

社会保険に加入できる

合同会社にすることで、社会保険に加入できるのがメリットです。

さらにその社会保険料の50%を会社負担として扱えます。

個人事業主の場合は国民健康保険しか利用できません。

合同会社と個人事業主を比較したときのデメリット

合同会社と個人事業主を比較したときのデメリットは以下の通りです。

・合同会社は設立時に費用がかかる
・赤字でも法人住民税を払わなければならない
・経理処理が複雑になる

合同会社は設立時に費用がかかる

合同会社は設立時に費用がかかることがデメリットです。

株式会社を設立するときほどではありませんが、登記費用として6万円ほどかかってしまうことが気になる人もいるでしょう。

個人事業主は開業届を出すだけでよく費用を負担する必要は一切ありません。

会社設立にコストをかける余裕がないという場合には個人事業主の方がよいと言えます。

赤字でも法人住民税を払わなければならない

法人の場合赤字でも法人住民税を支払う義務があります。

これが法人住民税の均等割です。

法人住民税の均等割は各地方自治体により正確な金額が異なりますが、大まかに5万〜10万程度納税しなければいけません。

そのため、会社が十分な利益を挙げられていない場合、赤字になっている場合には税金の負担が個人事業主以上に大きくなります。

経理処理が複雑になる

法人になると経費や控除にできる範囲が増える分、経費の処理も複雑化します。

この経費の計算などの事務処理を、個人で行うのはかなり難易度が高く、多くの法人では外部に委託することが多いです。

その場合当然ですが、外部に委託するための費用がかかることは知っておきましょう。

合同会社に向いている業種とは

近年合同会社はどんどん増えており、中には株式会社から合同会社にする法人もあります。

「でもどんな場合に合同会社にすればよいのかわからない」という人もいますよね。

そこでここでは以下の点について見ていきましょう。

合同会社の事例

合同会社の具体的な事例としては例えば以下の企業が挙げられます。

・アップルジャパン
・DMM
・Amazon

例えばDMMは、もともと上場しておらず、株式で資金繰りを行う必要もありませんでした。

その上で、合同会社が持つ柔軟な意思決定ができる、という点を踏まえてそのような選択をしたと考えられています。

「合同会社は資金に余裕がない場合の選択肢」というだけではなく、効率的な業務を行うための選択肢とも考えられますよ。

合同会社に向いている業種

合同会社に向いている業種は例えば以下のような場合です。

・個人を相手にする事業
・利益が500万円を超える個人事業主
・素早い意思決定が重要なIT系の会社

これらのケースに当てはまる場合であれば、信用面・業務の効率性・節税効果など合同会社にすることのメリットが多くデメリットが少ないと言えるでしょう。

合同会社設立の流れ

「でも合同会社を設立するには何をしたらいいのかわからない」という人も多いのではないでしょうか。

そこでここでは合同会社を設立する流れを簡単に紹介します。

ここでは以下の点について見ていきましょう。

・設立の流れ
・必要書類

詳しくはこちらの記事を参照してください。

設立の流れ

合同会社を設立するときには、以下の手順で進めていきます。

・設立するべき項目の決定

・印鑑の作成

・必要書類の作成

・法務局や税務署に必要書類の提出

必要書類

合同会社を設立するときに必要な書類は以下の通りです。

・合同会社設立登記申請書
・本店所在地および資本金決定書
・代表社員就任承諾書
・代表社員の印鑑証明書
・払込証明書
・登記養子と同一の用紙もしくは磁気ディスク
・印鑑届出書

まとめ

株式会社と比較すると、設立費用を抑えられるというのが、合同会社の大きなメリットです。

会社を設立したいけど、できるだけ費用を抑えたいというなら、合同会社を選んではどうでしょうか。

それでいながら、個人事業主にはない節税効果を得られるのもポイント。

個人事業主から法人成りを考えている方にも、まずは合同会社からスタートするのがおすすめです。

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