2019/09/20

会社経費を決済するために多くの会社が導入しているのが、ビジネス専用のクレジットカード、いわゆる法人カード(コーポレートカード)です。

会社の支出を法人カードに集約することで、何が会社の経費で何がプライベートの出費なのかが一目瞭然になります。

そんな法人カードですが、個人の支出のためにつかってしまっても大丈夫なのでしょうか。

同じような疑問をもったことのある経営者や個人事業主の方は、案外多いのではないかと思います。

今回の記事はそんな疑問を解決するために、法人カード個人利用することができるのかどうかを解説します。

そこには大きなリスクがあることが判明しましたので、法人カードを個人利用することを軽く考えていた方は、要チェックですよ。

cardmaniaさんのイメージ

cardmania
クレジットカード会社に26年の勤務歴あり。
カード会社勤務時代は督促業務、カード審査も経験しました。
クレジットカード会社に勤務していた経験を活かして、
公式サイトでは語られない審査の裏側などをお伝えしていきます!

法人カードを個人利用するリスク

法人カードは、ビジネス用途ではなく個人の支払いで利用することはできなくはありません。

ただし、以下の理由から大きなリスクを負うことになります。

・税務署に用途を指摘される
・仕分けが面倒
・銀行からもマークされる

税務署に用途を指摘される

法人カードを使うと、基本的に引き落とし先は法人口座になっているかと思います。

つまり、法人口座からの引き落とし=経費として処理されるのが前提のため、個人の支払いを経費として処理しようとしたのではないかと税務署から用途を指摘される可能性が高くなるのです。

手持ちがなく、一度だけ仕方がなくといった場合もあるかもしれませんが、法人カードで個人支払い利用の頻度が高ければ高いほど、税務署から使途不明の箇所として指摘されることになり、詳細な税務調査が入る可能性も高くなります。

経費の仕分けが面倒になる

法人カードを使って個人の支払いをした場合、そのままだと私的な用途を経費として処理することになってしまいます。

当然税務上で問題が生じますので、法人カードを使って個人の支払いをした場合は「法人カードで個人の支払いをした(=経費ではない)」という仕分けである、「事業主貸」や法人から一時的に役員にお金を貸し付けている「役員貸付金」の仕分けをして処理しなければいけません。

事業主貸や役員貸付金として処理するには、個人の支払い分をピックアップする必要があります。

よって、法人カードを個人利用すると、経費の仕分け処理の際に手間がかかるというデメリットもあるのです。

銀行からもマークされる

役員貸付金は、前述通り法人から役員に貸付を行っているお金を指します。

よって、法人カードを個人の支払いに使用し役員貸付金が多くなると、銀行から「お金の管理ができていない会社」だと目をつけられることになるため、融資を受けにくくなるといったリスクも発生します。

利用者個人の口座を指定しておけば個人利用も可能

個人事業主などの場合、法人カードでも法人の銀行口座ではなく、利用者個人の口座が引き落とし先になっている場合もあるでしょう。

この場合は、紐づいている口座が個人の口座のため、法人カードを個人の支出のために利用しても問題ありません。

経費の引き落としも利用者個人の口座からの引き落としになりますが、その後領収書の控えを提出して法人に請求する形にするなど、領収書で仕分けをすれば対応できます。

経費精算が楽にできるという法人カードのメリットは薄れてしまいますが、例えば法人のゴールドカードを発行し、その追加カードを従業員個人の口座で発行すれば、個人では発行できないクラスのクレジットカードを与えられるというベネフィットとして機能します。

法人カードで支払えるものとは

法人カードを個人支出に利用するのは、リスクも手間も大きいと分かりました。

次に、法人カードを使って支払えるもの=経費にできるものは何なのかを改めて確認しておきましょう。

大きく分けて、法人カードで支払えるのは以下の3つになります。

・100%仕事のための支払い
・100%でなくても家事按分できるもの
・福利厚生の一環

100%仕事のための支払い

「100%仕事のための支払いである」と言い切れるものであれば、経費として精算できる物です。

よって、法人カードで支払って問題ありません。

100%でなくても家事按分できるもの

個人事業主なら自宅の一部をオフィスとして使ったり、インターネット回線を仕事に使ったりすることがあります。

自宅をオフィスにしている場合の家賃やプロバイダ料金、携帯電話代など100%ではなくても、仕事のための支払いが一部でも発生するものなら法人カードで支払っても問題ありません。

ただし仕事分とプライベート分を家事按分する必要があります。

例えば、自宅のリビングを仕事場として使っている場合、自宅全体の専有面積からリビングの分を割り出します。自宅全体から見てリビングの面積がおよそ1/4だった場合は、家賃の1/4(25%)を仕事分として家事按分し、経費として処理するのです。

福利厚生の一環なら経費になることも

個人利用に思えても、福利厚生費として会社の経費扱いになり、法人カードを支払いに利用できるものあります。

例えば旅行券を購入し、社員と旅行する、などです。

この場合の旅行券代や旅費は、福利厚生費として会社の経費になります。

個人カードで経費を支払うデメリット

一方で、法人カードを持たずに個人カードのまま経費を支払っていく方法があります。

個人事業主などの場合、わざわざ法人カードを発行する手間などを考えると、そのまま個人カードで経費を支払っていく道を選択する人もいるでしょう。

ところが、法人カードを導入せずに個人カードで経費精算をすると、以下のデメリットが発生するのです。

・従業員の経費立て替え、小口経費を一回ずつ経理に申請している
・経費の入力に時間がかかる
・経費の使い道が不透明になっている

従業員の経費立て替え、小口経費を一回ずつ経理に申請している

個人カードで経費を支払った場合、経費の建て替えや小口経費でも都度経費に申請、または経費として処理をしなければいけません。

経費の入力に時間がかかる

個人カードで経費を支払った場合は、領収書の控えで法人に請求する方法のほか、仕分けを「事業主借」として処理する方法もあります。

事業主借は、「事業に必要な資金を個人口座の中から持ち出した」という意味です。

さらに、事業主借で個人カード支払いの場合は、カード利用時は「事業所借で未払い」として処理、カード引き落とし時は「未払い分を個人口座から引き落とし」という2重の処理をしなければいけないため、より処理が煩雑になってしまいます。

経費の使い道が不透明になっている

個人カードで経費を支払い、事業主借として仕分け処理した場合、詳細な仕分けの入力はしません。

よって、経費の使い道が不透明になりやすく経理処理上でのミスが増える、税務署からマークされやすい、というデメリットもあるのです。

以上を踏まえると、個人カードで経費を支払うと経理処理の手間がかかることで、本来の仕事の時間を失うという最大のデメリットを受けてしまうことになるのです。

法人カードを利用するメリット

法人カードを利用すると、経理処理がスムーズに進み以下のメリットが得られます。

・経費精算、管理が楽になる
・福祉厚生を充実させることができる
・年会費は経費にできる

経費精算、管理が楽になる

法人カードを持ち、経費の支払いをすべて法人カードで行うだけで会社の経費と個人の支出が完全に住み分けられます。

支払いごとに法人、個人…と分ける必要がないため経費精算やその管理が楽になるのが一番のメリットです。

さらに、法人カードと連携できる会計ソフトを導入すれば、カードの使用データを自動取得してくれるため、わざわざ仕分けの入力をする必要もなく、より管理が楽になります。

法人だけでなく、個人事業主でも法人カードを利用することで、個人カードを利用していたときのデメリットを解消でき、仕事の効率アップにもつながるでしょう。

福祉厚生を充実させることができる

法人カードは付帯サービスが豊富な特徴があります。

例えば、経費にも使えるポイントがたまりやすい、ETCカードが年会費無料で発行できるなどです。

法人カードの付帯サービスを利用して、福利厚生を充実させることもできるでしょう。

年会費は経費にできる

法人カードはカード契約中、年会費が発生するものが多いです。

けれども法人カードは会社経営や個人事業のために導入するものなので、年会費を経費にできるのもメリットのひとつです。

まとめ

法人カードを個人の支払いのために利用するのは避けた方がいいです。

万が一法人カードで個人の支払いをしてしまった場合は、事業主貸または役員貸付金として処理するようにしてください。

ただ、このような処理を挟んでしまうと、せっかく経費の精算や管理を楽にするために導入した法人カードが、そのメリットを発揮できなくなってしまいます。

法人カードで支払うのは、会社の経費のみにしておきましょう。

関連記事