ビジネスローンにもあった過払い金と請求方法

更新日:2019/01/18
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過払い請求は利息制限法に基づき利息の上限を超えた貸付に対して、払いすぎた利息の返還を請求することです。

これは個人に対する貸付が対象と思われがちですが、ビジネスローンなど事業用資金の融資も過払い金請求の対象となります。

中小企業経営者や個人事業主でも、過去にノンバンクのビジネスローンや商工ローンなどを完済していれば、過払い請求が可能な場合があります。

どんな場合に過払い請求の対象となるのか、また請求方法や注意点について解説しましょう。

過払い請求の対象はグレーゾーン金利

過払い請求ができるのは利息制限法の上限金利を超えた貸付を受けた場合です。

銀行などの金融機関からの借入は上限金利を超えることはないので、ノンバンク(貸金業者)からの借入が対象となります。

具体的にどんな融資利率が対象になるのか説明しましょう。

利息制限法の上限金利

利息制限法では貸付金利の上限は以下のように規制されています。

借入元本額 上限金利
10万円未満 年20%
10万円~100万円未満 年18%
100万円以上 年15%

上記の貸付利率を超えて貸付した場合は、超過部分の利息について民事訴訟によって返還請求が可能になります。

ただし、一定条件を満たしていれば「みなし弁済」という規定によって返還請求の権利が失われることもあります。

みなし弁済は借入側が上限利息を超えていることを認識して借りていて弁済した場合、さらに貸付側が所定の書面を弁済するたびに発行するといった条件を満たすと認められます。

ところが大手消費者金融会社やクレジットカード会社は、口座引き落としやATM返済が一般的なので、所定の書面を弁済のつど顧客に送付することは事実上不可能です。

そのため、みなし弁済はほとんど認められることがなく、実質的には上限金利を超えた貸付はほとんど過払い請求の対象となります。

出資法の上限金利とグレーゾーン金利

現在は出資法の上限金利も利息制限法とまったく同じとなっています。

出資法は利息制限法と違い、刑事罰も与えられる厳しい法律なので、出資法の上限を超えた貸付は例外なく懲役を含む刑事罰が科せられます。

出資法の上限金利は何度も改正されていますが、2010年6月18日の完全施行以降は年20%を超えた貸付は刑事罰の対象となります。

なお利息制限法と同様に貸付金額によって上限金利が違いますが、18%や15%を超えて20%以内の貸付は、行政処分の対象です。

利息制限法の上限金利20%から最後の出資法改正前の上限金利29.2%までの金利を「グレーゾーン金利」と呼んでいました。

グレーゾーン金利は過払い請求の対象となりますが、刑事罰の対象とはならないためそう呼ばれていたのです。

しかし、グレーゾーン金利は過払いの対象になるということが一般的に認知されたため、過払い請求が急増して貸金業者は過去の利益を吐き出すことになります。

過払いの対象となるグレーゾーン金利

法改正によって上限金利は引き下げられましたが、大手消費者金融会社やクレジットカード会社の中には法改正前に貸付金利を引き下げたところもあります。

そのため法改正の完全施行以前の貸付でも過払い金請求の対象にならない場合もあります。

過払い金の請求を考えている場合は、借入年月日のほかに必ず貸付金利を確認しましょう。

法改正以前に借入していても、年20%以下の貸付金利であれば、過払いの請求はできません。

過払い金請求の方法

過払い金は個人、法人、自営業者であっても請求することができますが、法的手段で請求することが必要です。

具体的には過払い金返還請求の訴訟を起こすということです。

訴訟は個人でも可能

訴訟をするという場合は弁護士事務所などに相談するのが一般的ですが、もちろん個人でも訴訟は可能です。

過払い金返還の対象が1件でそれほど高額でなければ、個人で訴訟をしたほうが弁護士費用を節約できます。

訴訟というと難しく感じるかもしれませんが、過払い金返還請求についてはあまりにも訴訟件数が多いので、裁判所によっては独自の雛形を作っていることもあります。

また、ネット上にも雛形やフォーマット、エクセル形式の計算書なども無料公開されているので、個人でも充分に訴訟が可能です。

基本的に貸金業者はよほどのことがなければ敗訴するので、訴訟を起こした時点で和解の交渉をしてきます。

納得できる金額が提示されたら和解契約をして訴訟を取り下げるだけなので、実際に裁判をすることはほとんどありません。

しかし、訴訟件数が多かったり、書類を作成する時間がなかったりという場合は、専門家に相談しましょう。

最近は着手金不要、相談無料という弁護士事務所も増えていて、弁護士報酬も明瞭となっているので安心です。

訴訟は金額によって弁護士と司法書士に依頼できる

一般的には法律の専門家といえば弁護士ですが、過払いの訴訟や債務整理などは司法書士に依頼することもできます。

その場合、過払い金や債務総額は140万円以下に限られます。

専門家という点では司法書士よりも弁護士のほうが知識もあり適任ですが、過払いの訴訟は書類さえそろえば素人でも可能です。

司法書士が訴訟手続きにおいて弁護士に劣るということはありませんが、報酬金額はほとんど同じなのでどちらを選ぶかは各自の都合で決めましょう。

法人の場合は顧問弁護士と契約していることもあるので、顧問弁護士にまず相談するのもいいでしょう。

過払い金請求に必要な書類

過払い金の訴訟は原告(請求者)がほぼ勝訴しますが、訴えるためには証拠書類を提出しなければいけません。

過払い金返還訴訟は書類を完全にそろえた時点で、ほぼ成功したといえます。

訴訟前に準備する書類は以下のとおりです。

・取引履歴
・引き直し計算書

個人で訴訟をする場合は上記の書類は自分でそろえる必要があります。

取引履歴は過払い請求の対象となる契約すべてについて、取引内容を記録した書類のことで、カードローン形式の場合は過去の借入すべてを記載する必要があります。

現実的にはこれらをきちんと記録している人はいないので、契約相手の貸金業者に取引履歴の記録を請求することになります。

貸金業者は取引履歴の提出を拒むことができないので、請求すれば必ず提出に応じます。

引き直し計算書は取引履歴に基づいて、上限金利に計算し直した計算書です。

これは自分で計算する必要がありますが、インターネットで検索すると無料のエクセルソフトが公開されているので、それを利用すると簡単に計算書が作成できます。

弁護士や司法書士に依頼すれば、これらの書類はすべて貸金業者に交渉して法律事務所で準備します。

しかし、過払い金請求によってどれだけお金が戻ってくるかを知っておきたい場合は、取引履歴と引き直し計算は自分でやってみましょう。

なお貸金業者に取引履歴を請求する場合、契約年月日などの契約内容が必要となるので、契約内容がわからない場合は個人信用情報機関に情報開示請求しましょう。

過払い金の消滅時効と請求タイミング

弁護士に依頼したときは消滅時効が成立しているかどうかは、弁護士がすぐに判断してくれます。

しかし自分で訴訟をおこす場合は消滅時効には十分注意しましょう。

過払い金請求の消滅時効は取引終了日から10年です。

契約年月日が10年以上前でも取引終了が5年前であれば、消滅時効まで5年あるのでそれほど心配する必要はありません。

また、取引が継続しているのであれば、時効期間は始まってもいないので、消滅時効の心配は不要です。

取引継続中でも過払い請求は可能

完済している上限金利を超える貸付は必ず過払い金が発生しますが、支払継続中の場合はどうでしょうか?

取引継続中の場合は引き直し計算をして、すでに支払った分だけで残金が消滅し過払いが発生していれば、過払い分を請求できます。

目安としては5~6年間26%以上の金利で支払をしていれば、過払い金が戻る可能性があります。

証書貸付では5年経過すればほとんどが完済していますが、カードローン形式の場合は10年以上取引が続くこともあります。

まずは引き直し計算で確認してみましょう。

提訴後の流れ

本来であれば訴訟を起こすと裁判が行われ、当事者が裁判所に出向かなければいけません。

しかし過払いの訴訟は原告側の勝訴がほぼ確定しているので、貸金業者は敗訴を避けるために訴状が届いた時点で和解の交渉をします。

つまり原告は訴訟を起こしたら和解の連絡を待つだけでいいのです。

和解金額に納得すれば和解契約書を作成して、和解金の振込を待って訴訟を取り下げます。

和解の交渉はそれほど難しくなく、貸金業者は請求額のうち遅延損害金のカットや、1,000円単位でのカットを要求するだけで大幅な減額にはなりません。

弁護士に依頼しても和解案を受け入れるかどうかは、依頼者の意思で決定できます。

立場としては原告が有利なので、安易に和解の承諾はする必要はありません。

まとめ

過払い金請求の流れや注意点はお分かりいただけたでしょうか?

事業資金融資はもちろん個人利用のカードローンや融資等の借金も過払い金の請求は可能です。

時効消滅となる前に一度過去のノンバンク利用をチェックして、過払いの対象となる者があるかどうか確認しておきましょう。

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