ビジネスローンは個人事業主や中小企業経営者にとっては、手軽に事業資金調達ができる融資商品です。
ビジネスローンは銀行だけでなく、消費者金融会社やクレジットカード会社といったノンバンク系まで幅広く提供しています。
最も重要なのは金利ですが、今回はビジネスローンの金利について解説します。
系列別のビジネスローンの金利比較
まずは系列別に主なビジネスローンの比較をしてみましょう。
個人向けローンと比較すると、個人事業者向けや法人向けビジネスローンの金利は高い傾向にありますが、同じビジネスローンではどれくらい違いがあるでしょうか?
銀行ビジネスローン
銀行ビジネスローンは都市銀行、地方銀行を問わずビジネスローンを提供しています。
銀行は事業性融資、事業者用カードローンとしては最も金利は低いですが、事業計画書の作成など審査に時間がかかる傾向にあります。
無担保・連帯保証人なしの融資商品を比較してみます(法人は法人代表者が保証人)。
ビジネスローン | 限度額 | 実質年率 |
---|---|---|
「融活力」(三菱UFJ銀行) | 5,000万円 | 2.35%~9.00% |
ビジネスセレクトローン(三井住友銀行) | 1億円以内 | 2.125%~ |
スタービジネスカードローン(東京スター銀行) | 500万円 | 6.5%~14.5% |
スモールビジネスローン(東京都民銀行) | 1,000万円 | 4.0%~9.0% |
スーパービジネスローン(横浜銀行) | 5,000万円 | 2.7%~ |
ビジネスクイックローン(静岡銀行) | 500万円 | 5.0%~14.9% |
PayPay銀行ビジネスローン(PayPay銀行) | 500万円 | 4.8%~13.8% |
上記以外でもみずほ銀行やオリックス銀行、楽天市場出店者向けですが、楽天銀行がビジネスローンを提供しています。
同じ無担保の融資商品でもかなり金利幅があります。
最低金利は低金利ですが、上限金利に関してはノンバンク系とそれほど大きな違いはありません。
クレジット会社系のビジネスローン
ビジネスローン | 限度額 | 実質年率 |
---|---|---|
オリックスVIPローンカードBUSINESS(オリックスクレジット) | 500万円 | 6.0%~17.8% |
ビジネスサポートプラン(オリコ) | 1,000万円 | 6.0%~15.0% |
セゾンファンデックス事業者向け不動産担保ローン(セゾンファンデックス) | 5億円 | 2.75%~9.9% |
最低金利は6%台と銀行ビジネスローンと比べると高めの設定ですが、カードローンタイプが多く何度も繰り返し利用できます。
また、セゾンファンデックスが提供するセゾンファンデックス事業者向け不動産担保ローンは、不動産を担保とすることで、金利を抑え、高額な借入が可能となっています。
消費者金融系ビジネスローン
ビジネスローン | 限度額 | 実質年率 |
---|---|---|
プロミス自営者カードローン(プロミス) | 300万円 | 6.3%~17.8% |
ビジネスサポートカードローン(アコム) | 300万円 | 12.0%~15.0% |
スモールビジネスローン(ビジネスパートナー) | 500万円 | 9.98%〜18.0% |
事業者ローン(アイフルビジネスファイナンス) | 1,000万円 | 3.10%~15.0% |
最低金利でも10%を超えるものもあり、金利は消費者金融系が最も高くなっています。
しかし審査スピードに関しては消費者金融系が最も速いのです。
その中でもプロミス自営者カードローンやアイフルビジネスファイナンスの事業者ローンは比較的低金利で、カードローンタイプなのでおすすめです。
ビジネスローンの金利計算
同じビジネスローンでも返済方式が違う場合があります。
証書貸付の場合は返済回数を決めて支払いますが、カードローンは毎月の返済金額を選択します。
それぞれの計算方法について解説しましょう。
証書貸付の金利計算
証書貸付は貸付するたびに金銭消費貸借契約書(融資契約書)を作成する方法です。
カードローンのように極度額(カード利用枠)を設定して繰り返す利用することはできません。
カードローンの支払はリボ払いですが、証書貸付はクレジットカードの分割払いと同じ返済方法です。
証書貸付の金利計算方法
証書貸付の返済方式は残債方式と呼ばれていて、金利は残高に対してかかります。
毎月の返済金額は元金を一律に決める元金均等方式と、利息を含めて一律にする元利均等方式があります。
500万円借入、月10万円の元金払い、年4%の金利では次の計算になります。
元金均等方式
初回返済額 | 元金100,000円+利息16,438円(5,000,000円✕4%✕30/365)=116,438円(返済金額) |
2回目 | 元金100,000円+利息16,109円(4,900,000円✕4%✕30/365)=116,009円(返済金額) |
3回目 | 元金100,000円+利息15,780円(4,800,000円✕4%✕30/365)=115,780円(返済金額) |
このように毎月元金100,000円と利息を支払、500万円÷10万円(元金)=50回の返済回数まで続きます。
元利均等方式
初回返済額 | 100,000円(返済金額)=元金83,562円+利息16,438円(5,000,000円✕4%✕30/365) |
2回目 | 100,000円(返済金額)=元金83,616円+利息16,384円{(5,000,000円-16,438円)✕4%✕30/365} |
3回目 | 100,000円(返済金額)=元金83,670円+利息16,330円{(4,983,562円-16,384円)✕4%✕30/365} |
元利均等払いは毎月の返済金額は均等なので返済の目安がわかりやすくなりますが、返済期間がはっきりしません。
銀行融資の場合は返済期限が3年や5年以内と決められている場合があります。
その場合は返済シミュレーションや召喚表などを使って返済期限内までに完済できるように月々の返済金額を選択します。
リボ払いの計算方法
リボ払いの金利計算も基本的には証書貸付と同じです。
リボ払いはカードローンで採用している返済方法なので、何度も繰り返し利用することができます。
そのため返済途中で追加借入をして残高が増えた場合、同じ返済金額のままだと利息が返済額を上回る場合があります。
そうなると残高が減らないため、半永久的に利息だけを支払い続けることになります。
これを避けるために、必ず利息以上の返済金額となる最低支払金額を決め、残高に応じて返済金額を増やしていく返済方式があります。
これを残高スライド方式といいます。
残高スライド方式(元利均等)の例
プロミスの場合は残高30万円以下(3.61%)、100万円以下(2.53%)、100万円超(1.99%)で、残高に( )内の比率をかけた金額が最低支払金額となります。
100万円の場合は25,300円となりますが、1,000円単位で切り上げして26,000円が最低支払金額となります。
元利均等方式なので26,000円には利息を含みます。
ただし最低支払金額以上であれば返済金額は自由に設定できるのが一般的です。
ビジネスローンのメリット・デメリット
事業融資としてのビジネスローンにはメリットとデメリットがありますが、ビジネスローンを使いこなすには、どちらもよく理解しておく必要があります。
ビジネスローンのメリット
ビジネスローンの大きなメリットは、銀行融資でもノンバンク系の融資でも無担保・無保証人を原則としているものが多いという点です。
特に消費者金融業者や信販系のビジネスローンは、スピード審査を売りにしているので、金融の資金調達に向いています。
カードローンタイプであれば一度カードが発行されてしまえば、いつでもATMで限度額の範囲で繰り返しの借入ができる点も大きな特長となっています。
ビジネスローンのデメリット
ビジネスローン最大のデメリットは、やはり高金利という点です。
銀行のビジネスローンでも新規借入では最低金利は適用されないので、10%近い金利となります。
ノンバンク系はさらに15%以上の金利がほとんどです。
また、融資限度額も事業資金としては、それほど高くない300万円~500万円となっています。
そのため、開業資金や設備資金といった高額な資金調達には向いていません。
また、銀行系ビジネスローンの場合は、利息の他に事務手数料が1万円ほどかかることがありますが、ノンバンク系では手数料はありません。
ビジネスローンの使い方
ビジネスローンは基本的に中小企業経営者や個人事業主向けの融資商品と考えていいでしょう。
資金の使いみちとしては事業資金の中でも、つなぎ資金や一時的な運転資金といった融資期間が短期になる資金に向いています。
全体的に高金利商品となるので、金利負担を少なくする意味でもなるべく短期で返済できる使い方をしましょう。
まとめ
ビジネスローンの金利は日本政策金融公庫のように融資制度によってきちんと決めているわけではなく、最低金利と最高金利の幅があります。
新規申し込みではほとんどの場合、最も高い金利が適用されると思ってください。
何度も繰り返し利用することで、実績を積み重ねていくとしだいに金利も引き下げになります。
ビジネスローンはなるべく短期で返済して、完済の実績を作ることで金利負担も少なくなり、さらに低金利の恩恵も受けることができる金融商品です。