2019/06/03

2006年5月、新会社法が施行され最低資本金制度が撤廃されて以降、資本金が1円からでも会社設立できるようになり、一般の人でも起業して会社を作りやすくなってきました。

しかし事業主体が法人であれ、個人事業主であれ、資本金だけで事業が営めるのは難しく、多くの経営には追加の事業資金が必要になります。

またそのお金も、会社経営者あるいは個人事業の代表者だけで用意するのも難しく、ましてやこれから起業しようとする事業者ではより困難です。

そこで頼りになる支援者が金融関係先です。

この場合、金融関係先とは銀行や信用金庫等の民間金融機関、日本政策金融公庫等の政府系金融機関、あるいは国、地方自治体を指します。

これらの機関から融資や助成金・補助金を受けて起業すれば、経営は資金面でかなり楽になります。

ただ問題は銀行融資の場合、起業者にとって簡単に借れるかどうかという点です。

そこで以下では、銀行融資を受けて起業する場合、どのような点が大事なポイントになるのか、色々な視点から解説します。

開業資金調達で創業者が銀行融資を受けるのが難しいわけ

結論から先に言うと、起業しようとする創業者が銀行で融資により資金調達するのは簡単ではありません。

むしろ極めて難しいと言うべきでしょう。

理由は銀行のような民間金融機関の場合、貸出による倒産のリスクを極力避けたいので、新規開業者のような事業実績のない、さらに貸出リスクの高い対象には極力融資をしたくないからです。

最低でも創業からすでに決算で3期以上経っており、決算書や確定申告書等提出できる事業者でないと、銀行で新規に融資することは大変難しいと考える必要があります。

それでは銀行融資を直接借りることが難しい場合、起業者が借れる方法は他にあるのでしょうか ?

まずその候補に上がるのは政府系金融機関のひとつ、日本政策金融公庫です。

創業者に融資でおススメなのは日本政策金融公庫(以下日本公庫)

日本政策金融公庫イメージ

日本政策金融公庫とは、旧国民生活金融公庫・中小企業金融公庫・農林漁業金融公庫が合併し、2008年10月に新たに政府100%出資で誕生した公的金融機関です。

その設立目的は、中小企業、零細な個人事業主等を対象に融資を行い、経済の活性化、雇用の創出などに貢献することにあります。

そのため日本公庫では、民間金融機関と異なり、新たに雇用を生む新規開業者への融資も積極的で、事業実績のない起業者がお金を借りに行く金融機関として最適な先になっています。

また日本公庫を使う場合、融資商品が固定・低金利であり、長期間借入ができるので、国の金利政策に関係なく安心して計画的な返済プランが立てられます。

さらに起業者にとって、商品によっては返済で当初に元金の返済を最長2年も据え置き期間が取れるメリットもあります。

日本公庫の融資を使うと、創業から事業が安定するまでの間、起業者が返済を気にせず事業に専念できるので大変便利です。

日本政策金融公庫で新規開業資金としておすすめの資金

次に日本公庫の場合、起業者が使える開業サポート資金にはどのようなものがあるでしょうか ?

国民生活事業部が取り扱う融資商品の中から、適切なものを選んでみました。

▪新事業育成資金(新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方)
▪女性、若者/シニア起業家支援資金(女性または35位未満か55歳以上で、新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方)
▪新事業活動促進資金(経営多角化、事業転換で第二創業を図る方)
▪中小企業経営力強化資金(新事業分野開拓のため、事業計画を策定し、外部専門家の指導助言を受けている方)
▪新創業融資制度(新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方で、上記の各種融資制度と併用する方)

なお国民生活事業部の融資は、主に個人事業主などの零細・小規模事業者、企業を対象とした融資であり、同じ中小企業でも公庫の定める一定の業種・企業の規模(資本金・従業員数)を満たす先には、別途中小企業事業部が取扱いしている同種の新企業育成貸付制度があります。

日本政策金融公庫で創業資金を借りる場合の融資ポイント

日本公庫で起業者にとって便利な新規開業資金が豊富に用意されていることが分かった上で、それでは融資を受ける上でどのような点が重要なポイントとなるのか、融資申請から実行までの流れの中で具体的に見ていきましょう。

⒜情報収集・書類準備・申込段階

まずは起業者にとって、公庫融資の中でどの資金が自分にとって最も適切な融資制度か、シッカリと情報収集する必要があります。

情報収集した上で、適切と考える融資が見つかれば、その融資制度に即した必要書類を準備しましょう。

また必要書類の中で、最も重要なものは創業計画書(開業計画書)または事業計画書(事業開始後おおむね2~7年以内の方が対象)です。

特に新規開業者の場合、頼りとなる事業実績がないだけに、創業計画書の内容の良し悪しが融資の可否を左右するといっても過言ではありません。

そのためもし事業者本人だけでは作成が難しい場合、税理士やコンサルタント等、専門家からサポートを受けて作成することも併せて検討する必要があります。

さらに創業計画書に加えて資金計画書(含む返済計画書)の作成も大事です。

日本公庫では返済の可能性、つまり融資したら最後まできちんと返済してくれるかどうかについて、これらの書類を重視して厳しく審査します。

それだけに事業者には、あいまいな考えでこれらの計画書を作成するのでなく、きちんとした根拠と数字に基づいて書類作成するよう心がけて欲しいと思います。

なお、創業計画書の作成には、日本公庫で業種ごとに計画書の作成事例が用意されているので、以下のサイトページがとても良い参考になります。

また日本公庫では融資申込に際し、以下のような点が審査基準に照らし合わせてチェックされます。

事業内容

事業内容については取扱商品やサービス内容、その業界の成長性等、いくつかチェックポイントがありますが、事業者本人、とりわけ新規開業者に対する融資の場合、前職においてその業界でどれだけの経験があったかが審査で重要なポイントになります。

開業しようとしている本人が、その業界に全くの素人の場合、その人に新規に融資をしようとすることが貸出側にとってどれだけ不安があるか、融資する側の立場から見たらよく分かります。

そういう意味で、起業者自身の業界経験の有無はとても大事なポイントです。

資金使途の妥当性

起業で資本金だけでは資金が足りない場合、融資を受けなければなりませんが、その資金使途の多くは設備資金か運転資金です。

このうち設備資金では、導入する設備や計器等の現物もあり、公庫に購入先からの発注書・見積書等を提出すれば資金使途が確認できますが、運転資金の場合は公庫が確認するのにやや困難があります。

運転資金の場合、仕入資金、人件費、諸経費等、資金利用が色々な項目に分散するので、公庫が資金使途を個々に把握するのは大変難しいです。

そのため運転資金の申込で公庫を納得させるためには、起業者は業種や事業規模に合わせた適正な融資希望額を想定して申し込みする必要があります。

担保

日本公庫の融資の場合、民間金融機関に比べて、無担保・無保証扱いで有利とよく言われますが、それはあくまで融資額が小さい場合の対応の話であり、誰でも無担保・無保証扱いで融資が受けられるわけでもありません。

担保のイメージ

とりわけ新規起業者に対する融資では、全く事業実績のない先に対する融資だけに、日本公庫が認可できる融資額と本人が希望する額の間には大きな差が出ることもあります。

そこでこのかい離をカバーできる条件のひとつが担保です。

仮に事業者に事業実績がなくても、事業者に公庫に出せる土地・建物等の担保物件があれば、融資には有利に働くので、交渉の結果、融資額、金利、返済期間などで事業者の希望条件に近くなってきます。

保証人

最近の融資では民間・公的金融機関問わず、個人保証をできるだけ取らない流れがあります。

そのため日本公庫で融資を受ける場合も、法人なら経営責任者を連帯保証人に取らないケースや、個人事業主の場合、本人のみを債務者として融資を実行する場合が多くなっています。

しかし一方で、公庫の新規開業者に対する融資要領を細かくチェックしてみると、「一定の要件を満たした場合、経営責任者の個人保証が不要」とか「申込者の希望を聞いて相談」などと但し書きがあり、全ての対象者が個人保証不要となっていない点に注意する必要があります。

そのため開業資金申込に際しては、逆に申込者側から積極的に保証人の追加を申し出ることで、より多くの融資額を引き出せるよう対策するのもいいのではないかと考えています。

自己資金

起業に当たり必要な融資額に対し、どれ位自己資金を用意できるかも融資判定の重要な審査ポイントです。

もちろん自己資金をできるだけ多く準備できる人が融資審査でも有利ですが、公庫の場合、その自己資金をどのように貯めてきたかのプロセスも重要視しています。

融資申込に当たり、公庫では申込者の通帳等をチェックして、積立等で継続して自己資金を積み立ててきた人は高く評価します。

一方でいきなり大きなお金が通帳に入っていたような場合などは、いくら本人が自己資金だと主張しても公庫は自己資金と見なしてくれません。

むしろ一時的に他社のローンから借りてきた「見せ金」とみなされて融資を拒否される場合もあります。

起業者には公庫申し込みに当たり、きちんとしたプロセスを踏む重要性をしっかり認識しておいて下さい。

⒝面接時の態度

融資書類が整い日本公庫に融資の申し込みをしてから1週間~10日間ほど経つと、公庫の担当者から面接のための電話が入ってきます。

面接では、申込時に提出した創業計画書等に基づいてあらためて色々な質問を受けることになります。

ここでの重要なポイントは、起業者があくまで誠実な姿勢で面接を受けることで、起業後の経営に対して決して大げさな姿を見せないことです。

公庫担当者も起業者から書類が届いて以降、面接に備えて書類を詳しく精査し、色々な質問も用意していることでしょう。

もし面接の場面で、担当者の期待した答えと起業者の回答内容にあまりに落差があった場合、それはその経営者に対する評価となり、審査結果に悪く響く可能性があります。

経営者には、あくまで自然体で、自分の事業内容や将来に向けての展望、経営に対する心構えなどを担当者に誠実に答えて欲しいと思います。

⒞審査担当者による現地調査

ケースによっては、審査の一環として担当者による起業者の事務所や工場等の現地調査が行われることもあります。

現地調査と言っても不必要に神経質になったり、いつもと違った姿勢で構える必要もありません。

下手に取り繕っていると、従業員まで固くなりすぎ事業所全体がギクシャクして、訪問した担当者に逆に変な印象を与えかねません。

上記面接同様、普段の姿勢で公庫担当者の調査に協力して下さい。

⒟融資実行・返済開始

日本公庫から融資の認可が下りたらいよいよ貸付実行です。

そして早ければ融資実行の翌月から返済も始まります。

この場合、融資の実績も大切ですが、同様に返済実績も大切だということをしっかり理解しておいて下さい。

返済実績は、事業開始後あらたに日本公庫から融資を受ける場合でも、また新規に銀行融資を受ける場合でも、審査で重要視されるポイントのひとつです。

またこれは新規開業者の場合、特に重要なので気を付けて下さい。

事業スタート時、まだ売り上げが安定せず資金繰りが厳しいと、いきなり融資の返済を遅らせてしまうことだけは絶対ダメです。

銀行どころか、頼りになる公庫からも次の事業展開に必要な融資を拒否されてしまいます。

次の融資のためにもまずは確実に返済を履行することを心掛けて下さい。

信用保証協会付き融資は創業資金として活用できるものの問題もある

長々と日本政策金融公庫の開業サポート資金について解説してきましたが、それには理由があります。

その理由とは起業者に対する融資の手段が限られているからです。

その意味するところを次の信用保証協会付き融資と併せて詳しく解説します。

信用保証協会イメージ

日本公庫と同じく、銀行等民間金融機関の融資をサポートする公的機関として、全国の都道府県に配置されているのが信用保証協会です。

信用保証協会は、信用力に乏しい中小企業・個人事業主が銀行で融資を借りる場合、信用保証協会が事業者の公的保証人となることで、銀行等の融資リスクをなくし、融資を借りやすくするために作られています。

ただしこの保証制度を利用するには、融資実行と同時に事業者が信用保証協会に対し一定の保証料を支払って保証依頼する必要があります。

信用保証協会付き融資を創業資金として利用する場合、方法としては

1.直接事業所管内の信用保証協会に経営者が出向いて、保証依頼をして近くの金融機関に融資あっせんしてもらう方法
2.自分の個人的な取引のある銀行・信用金庫等に出向いて、その金融機関から保証協会に間接的に申し込みする方法

があります。

保証協会付き融資の場合、通常取引銀行経由で信用保証協会を利用するケースが多いのですが、創業融資に関しては、保証協会付き融資は日本政策金融公庫の融資ほど簡単ではないというのが私の考え方です。

筆者は元地方銀行に勤務していた銀行員なので、実際に新規開業者に対する融資に何度も関わった経験があります。

またその場合、新規開業者に対する融資には全て信用保証協会付きで対応してきました。

そこで、信用保証協会に保証を依頼してみたのですが、いくら信用保証協会でも決して全ての案件に協力的ではありませんでした。

筆者自身、顧客にも協力してもらって、創業資金に関わる色々な書類や資料を作成し、信用保証協会に持参しても、簡単には納得してもらえなかったケースが多々ありました。

またいくつかの案件は、信用保証協会の保証が得られず融資を断念したり、協会から保証が得られても、新規開業者の親族等、保証能力の高い方を連帯保証人に付けることで初めて融資が実現するなど、融資実現まで困難を極めました。

しかも現在は保証制度に関し、「責任共有制度」の導入により、信用保証協会が銀行融資を100%保証しない制度も入っているため、銀行はたとえ協会付き融資と言っても、事業者に対する融資はより慎重になっています。

それだけに日本公庫の直接融資に比べて、起業者に対する融資は、たとえ信用保証協会付き融資と言っても、保証協会の保証を必要とする間接融資だけに、担保や保証人等、しっかりした融資リスクの裏付けとなるものがなければ、なかなか簡単ではないと考えています。

これが当初に日本政策金融公庫融資を特に詳しく解説した理由でもあります。

ただし、信用保証協会付き融資は、信用保証協会という公的保証機関をバックにした融資だけに、依然として起業者にとっては、魅力のある融資制度であることは間違いありません。

信用保証協会の融資条件が満たせるような起業者はぜひ利用されることをおススメします。

ビジネスローン会社(含む消費者金融)も創業資金融資が難しいわけ

それではビジネスローン会社(消費者金融含む)の場合、起業者に対する融資はどうでしょうか ?

こちらも結論から先に書けば、ビジネスローンも起業者には厳しい対応となると言わざるを得ません。

それは各社の融資要綱を見ればよく分かります。

決算書サンプル

要綱では審査の必要書類で、法人では決算書類が原則直近2期分、個人事業主でも確定申告書直近2期分必要と明確に書かれています。(消費者金融の場合でも最低直近1期分の決算書類が必要)

そうなると新規開業者では、当然事業実績もなく、これらのノンバンクへの決算書類の提出は無理なので融資が受けられません。

これらの金融会社・消費者金融等の融資を利用したい場合、あくまで創業後、一定期間の事業実績ができて、数期の決算書類が出せるようになった時が申し込みのタイミングとなります。

なお、ビジネスローンを利用する場合、当記事では以下の3社のビジネスローンがおススメです。

アイフルビジネスファイナンス・ビジネスローン
プロミス自営者カードローン
▪ビジネスパートナー・スモールビジネスローン

銀行融資以外に起業資金の一部として使える他の資金調達方法

助成金・補助金

起業者にとって事業資金に利用できるものとして、国や地方自治体が行う事業者への支援制度としての助成金補助金などがあります。

例えば、国(厚生労働省)所管の従業員の雇用維持や新たに従業員を雇い入れることを目的として交付する雇用関係助成金、あるいは国(中小企業庁)と都道府県がタイアップして、小規模事業者に対して販路開拓を目的で資金を交付する補助金などです。

これらは創業支援(開業支援)資金の一部に利用できる可能性もあるので、興味があれば国や地方自治体の関連サイトでチェックしてみて下さい。

出資

出資と言う方法もあります。

出資と言うのは、融資のような間接的資金調達とは異なり、親族含む不特定多数の人に募集して、会社に直接資金を呼び込む方法です。

株式会社の場合、出資の主体は株主(投資者)であり、株主から会社に払い込まれた出資金は資本金の一部に転換され、事業が継続されている限り返還義務がないので、経営者は安心して運営資金に利用できます。

一方、会社は出資者に対して、事業を継続して利益を上げ、その利益の中から出資額に応じて継続的に配当金を支払う義務があります。

事業規模にもよりますが、起業に際し株式会社を設立するなら、このような出資という方法も資金を得るための選択肢のひとつだと考えています。

起業者にとって便利な銀行カードローン

新しく起業する者にとって心配の種は尽きません。

いくら事前に十分準備したとしても必ず事業が成功すると断言できないのが起業です。

さらに起業では、開始から一定期間、売上や利益が不安定なので、資金繰りも厳しいことが予想されます。

資金繰りが厳しければ、当然事業から生活のための給与も十分に取れないし、起業で当面の自己資金を使い果たしている事業者の場合、事業が安定し軌道に乗るまで、何らかの方法で生活費を工面しなければなりません。

そのような場合に、生活費の補てんに役立つのが個人向けカードローンです。

みずほ銀行カードローン

さらに個人カードローンのうち、借入から生活費として使うのに最も便利なのが銀行カードローンです。

しかしもし、起業後に生活費不足に気づいて、あわてて銀行カードローンを作ろうとしても、すでに立場は会社員から会社経営者・個人事業主に変わっているし、起業から日も浅く所得証明書も出せない状況なので、銀行カードローンを作ることは大変難しくなっています。

そこで考えられる対策としては、起業する前の会社員の時に銀行カードローンを作っておいて、起業後、もし生活費が厳しくなってきたら、その借入をうまく利用して、当面の生活費に充てるという方法があります。

起業では何が起こるか分かりません。

それだけに起業前に考え付く限り、あらゆることを想定して準備しておくことが肝心だと思います。

ちなみに当記事でおすすめの銀行カードローンは以下のカードローンです。

まとめ

事業実績のない起業者に対しては、銀行は融資に極めて消極的でかつ頼りにならない存在です。

かといって、新規開業者が資金調達について何らかの努力をしなければいつまでたっても必要な資金は集まりません。

しかし社会にはそのような起業者に対し、必要な資金を出してくれるいくつかのシステムが用意されています。

起業者がこれらのシステムを活用して資金調達に成功し、一定の事業実績ができれば、あらためて本格的な銀行融資を利用することもできるようになるでしょう。

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