2018/10/17

銀行融資には申し込みから審査、契約、実行までの各段階で、融資の判断をしながら色々な書類が必要になってきます。

必要書類は、申込者自身が準備作成するもの、あるいは公的機関等から取り寄せて銀行に提出しなければならないもの、銀行が審査に用いるため独自に用意しなければならないものなどがあります。

今回は銀行融資で必要な書類にはどのようなものがあるか、また使われる目的は何なのか、融資の流れの中で詳しく解説します。

事業性融資の必要書類

銀行で事業性融資を借りる対象は会社(法人)もしくは個人事業主です。

法人から融資の申し込みを受けた場合、実際の申込人は法人の経営者か、代表者の委任を受けて銀行と交渉や手続きを行う経理担当者となりますが、個人経営の場合は殆どが事業主本人です。

一方銀行側の融資の受付窓口は、得意先係もしくは融資係が担当者になります。

融資案件は以降の全ての交渉や手続を、この両者を通じて行われます。

銀行は融資の申し込みを受けると、相手と大まかな内容(融資額、金利、資金使途、融資予定日、希望の返済条件、担保や保証人の有無)について交渉・確認するとともに、その合意した内容に基づき銀行担当者が申込人に審査に必要な書類の提出を依頼します。

また申込内容を確認した担当者は、早速融資案件について銀行所定の申込書を作成して店舗内に回覧し、関係者間での情報を共有します。

必要書類一覧

まずは、銀行に融資を申し込む際に必要となる書類を一覧で確認しておきましょう。

資金繰り表(月単位)
本人確認書類
会社実態の確認書類(法人の場合)
過去3期分の決算書類(法人の場合)
過去3期分の確定申告書(個人事業主の場合)
事業計画書
資金使途が確認できる書類
経営計画書
印鑑証明(連帯保証人、保証人がいる場合はその分も)
物件の権利書(不動産を担保とする場合)
借入状況の一覧表
納税申込書

 銀行が、申込人に求める書類は、融資の返済方法とその信頼度、そして融資の使途を確認するためのものです。

銀行は、一般消費者の預金を融資の元金にあてている民間企業です。

その責任から、融資の返し方も返ってくるかもわからない、何に使うのかもわからないような企業には、100%融資を行いません

提出する書類は、上記の2点を意識して、用意することが重要です。

事業性融資【審査】での必要書類

融資の申し込みを受けた担当者は融資予定日を意識しながら、タイムスケジュールを組んで着々と融資案件に取り組まねばなりません。

以下では審査にあたり、それぞれの項目で重要な必要書類についてその背景も含めて説明します。

事業内容の審査

銀行融資の審査の基本は、その融資が実行後、最後まで確実に返済されるかどうか見極めることです。

そして返済の基本的な財源はその事業者の行っている事業から生み出される利益です。

短期資金の場合は1年以内の返済(通常は3ケ月以内)を想定しているので、売上代金など、どの財源で返済できるか、申込人の資金繰り表から確認します。

しかし長期運転資金や設備資金の場合は、1年以上の長期に渡る返済なので、事業の過去の実績を示す決算書類を出してもらって、返済財源を確認し返済可能かどうか判断しなければなりません。

法人の場合、その決算報告書は貸借対照表・損益計算書ですが、それはあくまで表面的な数字に過ぎないので、銀行員がより深く中身を分析するために、必ず決算書に付いている科目別付属明細書も出す必要があります。

また銀行融資の場合、連続した3期分の決算書を出すのが常識となっています。

3期分出すのは銀行員がその事業の方向性や利益の出方など、数字の傾向を確認するのに必要だからです。

決算から4ケ月以上過ぎている場合は、期中の実績を示す直近の試算表も併せて提出する必要があります。

これが個人事業主になると、税務署の受付確認印が押された確定申告書がその事業の実績を示す資料となります。

また確定申告に絡み、個人が事業を営んでいれば、毎年3月15日までに前年中の事業の所得を管轄地域の地方自治体に報告することになっていますが、税務署に所得税の確定申告や住民税の申告をした人は個人の事業税の申告をする必要がありません。

これらの必要書類が整ったら、銀行担当者は色々な角度から分析を行い、その事業内容と決算数字の妥当性や方向性、利益の有無や大きさなどの確認などを行います。

資金使途の確認

「その融資した資金が何に使われるか」「融資が使われた結果、本当に良い効果が得られるのか」「目的外のものに融資が使われる恐れがないか」などきちんと確かめるのも銀行融資の基本です。

そのため、資金使途が明確にわかる書類を作成しておき提出するのがおすすめです。

仕入れ資金やつなぎ資金のような短期資金の場合、その確認のための必要書類として、取引先から発行された見積書発注書請求書などがあります。

また、何に使うかだけではなく、どうやって返すかも明瞭に根拠立てて記載しておくことで、審査に通りやすくなります。

長期間に渡る融資の場合、事業計画書経営計画書を提出し、その計画と融資の妥当性を認めてもらわなければなりません。

事業計画書作成に当たっては、事業主が不慣れな場合、銀行員がアドバイスしてくれる場合もあります。

資金使途の中には、「事業が不振に陥り、赤字補てんのため」というネガティブな理由の追加の融資の申し込みも考えられます。

このような場合、銀行は通常の経営計画書に代えて経営改善計画書の提出を求めます。

しかし計画書の中身がお粗末であれば、当然銀行も追加融資には応じられないので、あくまできちんと具体性を伴った銀行を納得させる経営改善計画書であることが必要です。

連帯保証人・保証人

人的担保のイメージ

銀行担当者として誰がその融資の連帯保証人予定者となっているか、確認することは大事なチェック事項です。

ただし最近の銀行融資は、金融庁の指導もあり、できるだけその事業に直接関係していない第三者を連帯保証人または保証人として取らない方向なので、確認するとしてもあくまで連帯保証人のみです。

そのため現在の銀行融資では、中小企業に対する融資の場合、法人が債務者でその代表者が連帯保証人、個人事業主への融資では事業主本人のみが債務者で連帯保証人なしのような形で融資が実行されるケースが多くなっています。

さらに大企業の場合は法人のみが債務者で、会社代表者は連帯保証人にならないケースもあります。

融資で連帯保証人を取る場合、審査担当者はその本人の資産や収入も含めた信用調査を行い、保証能力の確認をした上で、個人信用調査票にまとめて審査書類の一部として添付しなければなりません。

物的担保

不動産担保のイメージ

人的担保と併せて物的担保は、融資先が支払い不能になった時に備えて、貸金を保全したり回収するための手段として大変重要なものです。

特に物的担保の中で銀行が好んで担保物件にしてきたのが土地・建物等の不動産です。

銀行が融資で信用面をカバーするために、債務者関連の不動産に担保設定する必要がある時は、まず該当する土地、建物を所有する本人に担保提供する意思があるかどうか、確認を取る必要があります。

そしてその確認が取れれば、銀行としてはまずその物件に係る不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)を取り寄せて内容を確認せねばなりません。

その際、土地建物等の登記面積はいくらか、土地の地目は申告通りか、建物はきちんと登記されているか、物件に融資の権利関係に妨げとなるような(根)抵当権等の設定はないか、などをチェックします。

物件に問題がなければ、次にその物件内容を銀行所定の不動産評価判定書に転記して、担保物件として融資金額を十分カバーできるかどうか判断しなければなりません。

また融資金の目的が通常の事業資金でなく投資物件を購入する場合だと、その不動産投資物件が物的担保そのものになるので、投資の収益性も含めてさらに厳しい査定が必要になります。

事業性融資の契約・実行での必要書類

審査も無事に通れば、融資実行までの残りの手続は銀行との契約のみです。

ちなみに近年の銀行との契約は同じ契約書を2通作成し、銀行と債務者の両者が1通ずつ持ち合う形式になっています。

(以前は債務者から銀行へ契約書を差し入れする形式で、契約終了まで原契約書は銀行が保管し、債務者が必要なら契約書のコピーを銀行から交付していました。)

まず債務者は銀行と契約書を交わす前に、契約書に必要な印鑑証明書を地方自治体窓口に出かけて必要数取るとともに、所有不動産に対する担保設定がある場合は、物件の権利証も用意しなければなりません。

また融資で連帯保証人の予定がある場合、併せて連帯保証人分の印鑑証明書も準備しておく必要があります。

契約は事業先事務所で銀行の得意先係に出向いてもらって交わすことも可能ですが、できる限り本人が銀行に出向いて契約書を交わすことをおすすめします。

そうすれば複数の銀行員が同席して契約に対応できるので、対応した担当者の説明で不十分な場合、同席した他のベテラン行員がカバーすることも可能ですし、言った、言わないという後々のトラブル防止にもなります。

また融資のお金がその場で必要な場合でも、銀行で取引すれば借用書を書いてすぐにお金を振り込んでもらって利用することもできます。

融資が実行されてしばらく経つと銀行から融資先に返済予定表が送られてきます。

返済予定表に沿ってきちんと期日を守って返済することは、その融資だけに関するものだけでなく、将来事業先が次の融資が必要になった時に返済実績として必ず活きてくるものです。

返済にはそのような意義もあることを自覚して毎月の返済期日は確実に守ってください。

他の金融機関の融資の必要書類

事業性資金を融資する金融機関は銀行だけではありません。

公的融資先としては日本政策金融公庫があり、消費者金融系のビジネスローン会社でも融資はできます。

融資を借りる時の必要書類も多くは銀行と共通していますが、一方ではそれぞれに金融機関としての特徴もあるので、この章ではその個々の金融機関の持つ特性について解説します。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫イメージ

日本政策公庫の融資は銀行と異なり融資対象の幅が広いです。

銀行融資の場合、実績主義が審査の基本なので、事業実績のない新規開業者やベンチャー企業等の業務内容が分かりにくい企業などには融資も消極的です。

しかし日本政策金融公庫の場合は、その目的が金融を通じて社会経済活動を活発化させることにあるので、新規開業者などへの融資も積極的で多くの貸出実績があります。

仮に事業実績がなくても、新規開業予定者が立てたその事業計画に実現性があり、かつ合理性があると日本政策金融公庫が納得すれば融資が実行されます。

そしてその計画内容を表した必要書類が創業計画書です。

創業計画書作成に当たっては、あくまで絵に描いた餅のようなものでなく、しっかりとアイデアが練られた具体性のあるものでなければなりません。

計画自体に甘さやあいまいさがある場合は審査も通らない可能性が高くなります。

場合によっては、費用を払って顧問先の税理士やコンサルタントの助けを借りてでもきちんとした計画書を作った方が、結果的に早く融資を受けられることにもつながると考えています。

ビジネスローン会社

ビジネスローン会社イメージ

一方、銀行融資に比べてその審査ハードルが比較的低く、かつ必要書類も少なくて済むのが消費者金融系のビジネスローンです。

消費者金融系でも事業資金を主に扱うビジネスローン会社と個人ローンを扱う消費者金融に分かれています。

ビジネスローン会社で資金調達を申し込む場合は、準備する書類が銀行融資に比べてコンパクトになります(貸金業者によって決算書は直近1期のみの提出でいい場合もあります)。

また審査時間も早く、銀行なら早くても申し込みから融資実行まで10日~2週間ほど掛かりますが、ビジネスローン会社だと申し込みから1~2日で資金調達が可能です。

中でもオリックスVIPローンカードBUSINESSなら、審査も最短60分。融資も最短即日で可能となっています。

オリックスVIPローンカードBUSINESSローンカードを発行するタイプのビジネスローンなので、今すぐ利用するかどうかはともかく、急を要する資金調達が必要になったときのために、1枚持って重宝するビジネスローンです。

ただし、ビジネスローンの金利は銀行よりかなり割高になるので、その点を納得の上で利用せねばなりません。

長期的な資金調達のために銀行融資を申し込んでおきつつ、急を要する短期的な資金調達のみと割り切ってビジネスローンを使うのがおすすめです。

【補足】住宅ローンの必要書類

銀行の取り扱う融資の中でも個人ローンとして最も多くの書類が必要なのが住宅ローンです。

何より融資金額も大きく返済も長期間に渡るため、その間申込者が安定してきちんと返済できるかどうか審査しなければなりません。

その上、住宅ローンの対象物件に抵当権で担保設定するケースも多く、融資の形式は事業性融資に良く似たようなものになっています。

そこで事業性融資と同様に、その取り組みの流れに沿って、住宅ローンで必要な書類についてその必要となる背景も含めて解説します。

まず住宅ローンの取り組みに沿ってその大きな流れを把握して下さい。

【1】購入予定の土地や建物の決定
【2】住宅ローンの申し込み
【3】事前審査(1~3週間)
【4】工事請負契約・売買契約
【5】正式審査(1週間~10日)
【6】住宅ローン契約・実行

申し込み

申込段階で必要な書類としては借入申込書に加えて、本人確認書類、所得証明書などがあります。

このうち本人確認書類としては運転免許証、健康保険証等の身分証明書が適切です。

さらに収入証明書としては給与所得者の場合は源泉徴収票、勤務先から交付される直近2ケ月の給与明細などが妥当です。

一方個人事業主が申し込みする場合は、所得確認資料として住民税課税証明書が適当です。

なぜなら課税証明書にはその本人の1年間の所得が載っているので所得証明書としても活用できます。

一方納税証明書は住民税を納めている自治体の課税課でもらえますが、この証明書は「本人がきちんと納税している」ことを示すのが主な目的なので、場合によって所得の金額が載っていないことがあります。

その点では課税証明書と比べると、納税証明書は所得証明書としては不十分なので、できれば住民税課税証明書を発行してもらうことをおすすめします。

なお住民税課税証明書は住んでいる市区町村の窓口で取得可能です。

また住宅ローンの申し込みでは、他に必要な書類として印鑑証明書があります。

事業性融資では印鑑証明書提出は審査が通って契約の段階で良かったのに、なぜ住宅ローンの場合、申し込みの段階で印鑑証明書を添付しなければならないのか、不思議に思われる方も多いと思います。

あえて言えば昔からある慣行としか言いようがないのですが、はっきり言えることは、この印鑑証明書は住宅ローンが認可されると、そのまま後の契約時に必要書類として流用されるので無駄にはならないということです。

要するに出すのが時間的に早いか、遅いかだけの差に過ぎません。

しかし印鑑証明書も有効期限があるので、手続きに数ケ月も戸惑っていれば、有効期限切れで再度顧客に依頼して取り直してもらわねばなりません。

そのため銀行によっては住宅ローンが認可後、契約時に初めて印鑑証明書を用意してもらう所もあります。

その他に必要な書類としては、健康保険証とか現在の健康状態を申告した団体信用生命保険告知書などがあります。

住宅ローンでは返済が長期になるので、申込者の健康チェックは欠かせない手続きのひとつです。

申込時にあまりに申込者の健康状態が悪いと、銀行判断で申し込みが拒絶される場合もあります。

銀行も民間企業なので、いくら住宅ローンの申し込みでもあまりにも健康リスクの高い人には融資をしたくないのが本音です。

また購入予定の土地建物に関する売買契約書や分譲案内のパンフレット、自分の土地に建物を建てる場合の土地の登記事項証明書(登記簿謄本)や請負契約書、土地建物の公図等々、住宅ローンの用途に沿って色々な書類を用意しなければなりません。

しかしネット銀行で住宅ローンを申し込みする場合、申込者は行員にこのような段取りを期待することはできません。

全て必要な書類を申込者自身が整えてネット銀行宛て郵送する必要があります。

それが面倒なら、直接銀行窓口でローン相談ができる地元の銀行や信用金庫で住宅ローンを申し込みするのも方法のひとつです。

審査

審査では特に用意する必要書類はありませんが、案件の進行具合によっては審査の途中で請負契約書や売買契約書が申込者から提出される場合もあります。

申し込みの段階ではまだ建物を建てる話が完全にできていなかったり、購入物件が未決定の場合もあるからです。

また最近の住宅ローンの審査は殆どがその銀行の系列の信用保証会社が行います。(例外として審査で保証会社を使わないネット銀行の住宅ローンがあります。)

一般的に最初の審査の書類作成は銀行の担当者が行いますので、審査と言っても保証会社は銀行から送られてきた書類をチェックして、ルール通り書類が整っているかなどの形式審査が中心になります。

保証会社で新たにすることと言えば、加盟している信用情報機関を通じて申込者の個人信用情報照会をすることや、ケースに応じて在籍確認を行うことなどです。

書類に不備があれば再度銀行に訂正を求めますが、特に問題がなければ保証書を銀行に対し発行して保証会社の事務手続きは終了します。

契約・実行

審査が通るといよいよ契約・実行です。

住宅ローンの契約では銀行と申込者の間で金銭消費貸借契約書が交わされますが、併せて融資対象の土地建物へ抵当権設定(担保設定)をするため、登記済証(権利証)か登録識別情報※を銀行経由で担当司法書士に預ける必要があります。

※登録識別情報とは2004年不動産登記法が改正され、それまでの登記済証(権利証)に代わるものとして物件所有者に発行されるようになった情報です。

今後はこの情報が示す固有番号を知っている人がその不動産の正当な権利者であるとみなされるようになっています。

住宅ローンの実行と不動産への登記手続きは必ず同日に行われます。

顧客の都合で融資の実行日と登記の日を別々の日にしたくても銀行は絶対受け入れませんので、融資の基本ルールとしてローン利用者はよく覚えておいて下さい。

また住宅ローンが実行され、住宅が自分のものになり、別の仮住まいしていた場所から新しい住宅に移り住み住所変更した場合は、ルールとしてできるだけ早く銀行に新しい住民票を提出しなければなりません。

また同時に銀行に届け出た登録住所の変更手続きも済ます必要があります。

まとめ

銀行融資の必要種類にテーマを絞り融資の各段階で必要な書類とその背景について詳しく解説してきましたがいかがでしたか。

融資には多くの書類が必要なため、この記事で全てを書き尽くせたわけではありませんが、基本的なことについてはほぼ網羅していると考えています。

あとは実際に事業資金を申し込みしたり、住宅ローンを取り組めば、徐々に必要な書類についても理解が深まってくるものと思います。

融資は複雑な手続きも多く、申し込みから実行まで相当忍耐を要求されるものです。

しかし次に同じような融資を受ける時には、すでに色々経験し理解も進んでいるので、当初ほど必要書類を用意するのも難しく感じなくなっているはずです。

また、書類の準備と審査期間にかなりの時間を費やすことになるため、緊急時の資金調達ではノンバンク系のビジネスローンを利用することを視野に、銀行融資の申し込みを同時並行で進めていくことが事業を円滑に運営するためには必要不可欠といえるでしょう。

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